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神様だ! 神力ゼロですが  作者: 狛猫
第1章「ひのひの村」
2/10

#01-02「本当に神なんですか?」

二日後の夕方。


空は早くも薄暗くなり始め、山あいの村には冷えた空気がゆっくりと沈み込んでいた。日が落ちるのも早い。夕暮れというより、もう夜の入口に片足を突っ込んでいるような暗さだった。


古い木造の家が並ぶ一角。そのうちの一軒の引き戸の前に、寒そうに肩をすくめる神様と、その後ろでため息をこらえる神使が立っていた。


「……ほんとに来たんですか」


神使が低い声で言った。


神様は返事の代わりに鼻をすすり、ぶるっと体を震わせた。鼻先まで真っ赤だ。二日前から続く駐車場生活は、見た目以上に神様の心を削っていた。というか、ほぼ限界だった。


「そりゃ来るだろ」

「来るにしても、もう少し順序というものが」

「順序より寒さが先なんだよ」


言いながら、神様は遠慮なく呼び鈴を押した。


ぴぃん~ぽぅ~ん、と家の中にやや間の抜けた音が響く。


返事はない。


ぴぃんぽぅ~ん。


さらにもう一回。


ぴぃんぽん、ぴぅいんぽぉん。


「神様」


神使の声が、今度は少し咎めるような響きを帯びた。


「押しすぎです」

「だって、この電池切れかけのダレた音が心に響いて」

「なんですか、それ……」


神使が額に手を当てた、そのときだった。

家の中から、かすかな足音が近づいてくる。


がらり、と引き戸が開いた。

姿を見せたのは、あの少女だった。


制服ではなく、部屋着らしい柔らかな服に着替えている。学校から戻ってしばらく経っていたのだろう。だが、戸を開けた瞬間、そこに立っていた神様たちを見て、少女の表情は明らかに固まった。


「……」

「ねぇ、なんで来ないの?」


神様はびっくりするほど真顔だった。

少女のまつげがぴくりと揺れる。何を言われたのか、本気で分からないらしい。


「……は?」

「二日も経ったよ?」


神様はぶるぶる震えながら続けた。


「駐車場で待ってるって言ったよね」


少女は何を言われているのか本気で理解できない、という顔をした。無理もない。初対面に近い相手から「待ってる」と言われたところで、普通は本当に駐車場まで行ったりしない。


「……えっと」


困ったように言いよどみながら、少女はそっと一歩身を引いた。


「失礼します」


そのまま戸を閉めようとする。けれど、その動きを見た瞬間には、神様の手がもう戸の縁に伸びていた。


「待って!」


がしっ、と戸の縁に手をかける。


「ちょ、神様!」


神使が慌てて声を上げたが、もう遅い。


少女の顔つきが、すっと変わる。戸惑いは一瞬で消え、代わりに浮かんだのは、あからさまな警戒だった。


「何ですか?」


声音まで冷えていた。さっきまでの困惑が嘘みたいに、きっぱりと距離を取る目で二人を見ている。


「私、宗教とかには興味ありませんので」

「違うの!」


神様は半ば悲鳴みたいな声を上げた。


「寒いの! コンニャクなの! 中に入れて!」

「……こんにゃく?」


あまりにも予想外の単語だったのだろう。少女の警戒が、ほんの一瞬だけ揺らいだ。


その横で、神使が静かに頭を抱える。


「神様……お願いですから、その説明の仕方をどうにかしてください」

「だってそうだろ! 二日ずっと寒くて、朝も夜もコンニャクで!」

「そうですけど、もう少しましな言い方というものがあるでしょう」

「ない!」


きっぱり言い切る神様に、少女はますますどう反応していいのか分からなくなったらしい。引き戸の向こうから流れてくる家のぬくもりが、かえって外の寒さを際立たせていた。


神様はその気配に引き寄せられるように、戸の隙間へそっと顔を寄せる。


「お願い……警察とか呼ぶ前に、せめて話だけでも聞いて……」


さっきまでの勢いが嘘みたいに、声はすっかりしおれていた。


少女は眉を寄せたまま、しばらく神様の顔を見つめた。ジャージ越しでも寒さに震えているのが分かる。後ろに立つ神使のほうは比較的落ち着いて見えたが、それでも頬は冷えきって赤くなっていた。


「……本当に、何なんですか」

「それを今から説明するから!」

「今までの流れで信用しろっていうほうが無理では」


もっともなことを神使が挟む。神様は一瞬だけじろりと睨んだものの、すぐに少女へ向き直った。


「君、先月、神宮(かみのみや)へ行ったでしょ!」


ぴたり、と空気が止まった。


少女の目が見開かれる。

神使まで一瞬言葉を失い、戸口には妙な静けさが落ちた。


「……え?」


小さく漏れた少女の声には、さっきまでの拒絶とは違う色が混じっていた。


「やっぱり」

「な、なんで……」


少女の指先が、引き戸の縁をぎゅっと掴んだ。

家の中のぬくもりと外の冷たい空気の境目で、彼女はもう完全に足を止めていた。


「鞄に、お守りつけてたよね。 それ……私が売ったやつ」


神様は胸を張るでもなく、妙にあっさりと言った。


「御守工房社製の御祓守、六百円。在庫番号JN1358、仕入れ原価は――」

「神様、そこまで細かく言わなくて結構です」


神使がすかさず止める。


少女のほうは、もう戸を閉めようとはしていなかった。戸口に立ったまま、信じられないものでも見るみたいに神様を見つめている。


「でも……あのとき、巫女さんが」

「そう」


神様はこくりと頷いた。


「そのかわゆい巫女さんの正体が、何を隠そう私なのだ!」


言い方だけは得意満面だった。だが、そのせいで逆に胡散臭さが増していることには本人だけが気づいていない。


「……神様は位がものすごく低いので、神宮では巫女の仕事も兼任されているのです」

「お前、その説明いる?」

「必要かと」


少女は神様と神使の顔を何度か見比べた。

どう見ても怪しい。けれど、全部が嘘だとも思いきれない。神宮のことも、お守りのことも、本人でもなければ分からないような言い方だった。


戸口に立ったまま迷うあいだにも、神様は寒そうに肩をすくめ、どんどん小さくなっていく。さっきまでの勢いが嘘みたいで、その様子が少しだけ気の毒だった。


やがて少女は、観念したように小さく息を吐く。


「……少しだけなら」


その一言で、神様の顔がぱっと明るくなった。


「ほんとに!?」

「大きな声を出さないでください」

「神使君、聞いた!? 中に入っていいって!」

「よかったですね」


神使が返した声は、安堵と疲労が半分ずつ混ざったようだった。


少女は戸を大きく開けると、脇へそっと身を寄せる。


「どうぞ」


声はまだ硬かったが、さっきまでのような拒絶の鋭さはなかった。


神様はほとんど飛び込むように中へ入る。


「うわっ……あったか……」


靴を脱ぐ間も惜しいといった様子でそう呟き、その場でへなへなと力が抜けそうになる。家の中に満ちた暖気が、凍えていた体にじんわりと染みこんでいく。


神使はそんな神様の背を見ながら、少女に軽く頭を下げた。


「突然押しかけて申し訳ありません。本当に助かります」

「……いえ」


少女はそう答えながらも、複雑な顔をしていた。

それでも、追い返せなかった。

追い返してしまうには、二人ともあまりに切実そうだった。


神様は玄関に立ったまま、家の奥から漂ってくる生活の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。畳の匂い、木の匂い、どこか懐かしい夕飯前の空気。たったそれだけのことが、駐車場での二日間を思えば涙が出るほどありがたかった。


「……生き返る」


大げさな言い方のはずなのに、外から入ってきたばかりのその顔色を見ると、あながち冗談にも思えない。頬も鼻先もすっかり冷え切っていて、睫毛の先にまで外気の気配が残っているようだった。


「と、とりあえず……上がってください」

「お邪魔します!」


神様は靴を脱ぎ散らかしそうな勢いで上がり込む。神使がその後ろで無言のまま揃え直し、自分の草履もきちんと端へ寄せた。


廊下はひんやりしていたが、外とは比べものにならないほどましだった。古い木の家らしい、少し乾いた匂いがする。


少女に案内されるまま居間へ入ると、神様は一目でこたつを見つけた。

その視線の意味を察したのか、少女が小さく言う。


「どうぞ。温まってください」


神様は紙袋を脇へ置くなり、こたつへ飛び込んでいた。


「はぁぁぁ……」


魂が口から抜けていきそうな声だった。


天板に頬を乗せて脱力し、じわじわと足元から伝わってくる熱に目を細める。その姿はもはや神というより、寒空の下で保護された野良猫に近い。


「神様、最低限の品位は保ってください」

「今それどころじゃない……こたつ……文明の勝利……」

「神が文明に負けたみたいな言い方はやめてください」


少女はそんな二人を見比べ、どういう顔をすればいいのか分からないまま、ひとまず台所のほうへ向かった。


「お茶、持ってきます」

「あっ、コーラとかある?」


居間の空気が一瞬止まった。


振り返った少女の目が、明らかに「今の流れでなぜそうなるのか」と言っている。神使は額に手を当てた。


「神様」

「うそうそ。お茶でいいです」


そこまで言ってから、神様はふと思い出したように脇の紙袋を持ち上げた。


「それと、はい。お土産」


こたつから身を乗り出して差し出されたのは、つやのある黒い紙袋だった。場違いなくらい上等そうなそれを、少女は少し戸惑いながら受け取る。


「……これは?」

「どらやの羊羹。結構グレード高いやつ」


神様はどこか得意げに言った。さっきまで寒さにへたりきっていたくせに、こういうところだけは妙に胸を張る。


「ありがとうございます」

「気にしないで。あとで食べよ? 私は栗のやつがいい」

「はあ……」


受け取った紙袋と神様の顔を見比べながら、少女はどう返していいのか分からないような声を漏らした。


横で神使が、いかにも渋い顔になる。


「お土産を自分で食べるんですか?」

「いいじゃん。高いやつだし、食べてみたいじゃんよ」


神様は悪びれもせず言い切った。もはや贈答の作法も何もあったものではない。


少女は思わず小さく息を吐き、それでも紙袋はきちんと抱えたまま、今度こそ台所へ入っていく。奥のほうから、やかんを動かす音や食器の触れ合う音が聞こえてきた。


そのあいだ神様は、こたつの中で足を伸ばしきって、うっとりした顔をしている。


「もうここに住みたい。駐車場より百億倍休まる」

「比較対象が悲しすぎます」


神使は淡々と返しつつも、こたつ布団の端をそっと引き寄せて膝にかけた。彼も彼で相当冷えていたらしい。表情にこそ出さないが、指先はまだ少し赤い。


やがて少女が盆を持って戻ってきた。湯呑みが三つ、湯気を立てている。


「どうぞ」

「ありがとうございます」


神使がまず頭を下げる。神様は湯呑みに両手を添えて、その熱を確かめるようにしばらくじっとしていた。


「……染みる」

「大げさではなく、本当に染みてそうなのが嫌ですね」


少女は二人の向かいに腰を下ろしたが、くつろぐというよりは、まだ距離を測っているような座り方だった。手元の湯呑みを包む指先にも、どこか落ち着かない気配がある。


しばらくは、誰もすぐには話し出さなかった。


神様はお茶をすすり、神使は背筋を伸ばしたまま湯呑みを置く。少女はそんな二人の様子を慎重にうかがっている。静かな部屋の中で、時計の音だけがやけに大きく聞こえた。


「……それで」


最初に口を開いたのは、少女だった。

湯呑みを見つめたまま、控えめに問いかける。


「何で、私が神宮に行ったことを知ってるんですか」


その声はまだ硬い。さっき玄関先で追い返さなかった――いや、追い返せなかった理由。その答えを求めるための質問をぶつける。


「さっきも言ったけど、鞄についてたお守りを売ったの私だもん。御守工房社製の御祓守、六百円。在庫番号JN13――」

「神様」


神使の制止が、今度は前回より早かった。


「内情は言わなくて結構です」

「えー、そこが大事なのに」

「大事ではありません」


少女は目をしばたたかせたまま、神様の顔を見つめていた。


「本当に……あの時の巫女さんなんですか?」

「うん」


神様は迷いなく頷く。


「神――なのに?」


神が巫女としてお守りを授与するなんて、聞いたこともない。いや、それ以前に、神社の巫女なら御守りを“売る”なんて言い方はしないはずだ。少女はそこに、どうしても引っかかっていた。


神使が横から補足する。


「神様は神階がものすごく低いので、巫女のバイトをしないと給料が――」

「うっせぇんだよ、黙ってろ! 腐れ神使」


二人のやりとりを聞きながら、少女はまだ半信半疑の顔を崩さなかった。やはり信じろというほうが無茶なのだろう。見た目だけなら、自分とそう年も変わらないような少女が「神です」と言い張っているのだから。


やがて少女は、ためらいがちに神様へ視線を戻した。


「……本当に神なんですか?」

「その通り!」


神様は待ってましたとばかりに胸を張った。


「初めてでしょ? 初めて神を見たでしょ?」

「でもさっき、自分で神宮で会ってるって……」

「あー、うん。そこはその……そうなんだけどさ」


胸を張った勢いのまま、神様の目だけが少し泳ぐ。


神使が静かに言った。


「神は普通、人前に姿を見せませんが、この方は神力がゼロなので普通に見えます」


神様の蹴りが、こたつの中で神使の足を正確に捉えた。


「痛っ」

「余計なこと言うな!」

「事実ですし」

「今はそういう話じゃないだろ!」


神様は咳払いを一つすると、気を取り直したように言う。


「よし、証拠を見せよう」

「証拠?」

「うん」


神様は隣を指した。


「神使君。犬ころに変身する芸を」


神使の眉がぴくりと動く。明らかに不本意そうだった。


「芸ではないのですが」

「いいから」

「本来こういうものは、一般の方に軽々しく見せていいものではないのですが……」


口ではそう言いながらも、神使は居住まいを正した。諦め半分、職務半分といった顔だ。


次の瞬間。


ぼんっ、と軽い音がして、そこにいた青年の姿が揺らぐ。


少女が息を呑んだ。


人の形がふっと崩れたかと思うと、こたつの脇に現れたのは一頭の狛犬だった。凛々しい顔立ちに、整った毛並み。神々しさと愛嬌がぎりぎりのところで両立している、不思議な姿である。


「……!」


少女の喉から、かすかな声にならない声が漏れる。


神様がドヤ顔で胸を反らした。


「どう?」

「すごい……夢でも見ているみたい」


現実ではありえないような光景に、少女は口を開いたまま固まっていた。


狛犬――いや、神使は、ややあってから不本意そうに口を開いた。


「私は狛犬の神使でして。一応、神使の中では最高位ですので――」

「だから余計なことは喋らなくていいんだよ!」


神様が即座に足蹴りを放つ。狛犬はもとの青年の姿に戻りながら、膝を押さえた。


「痛いですよ」

「神罰」

「ただの足蹴りじゃないですか……」


だが少女は、もうそのやりとりどころではなかったらしい。さっきまでの警戒も疑いも、一瞬だけ脇へ押しやられている。神使と神様を交互に見つめ、そのあと小さく呟いた。


「……嘘みたい」

「でしょ?」


神様は勝ち誇ったように笑う。


少女の目は今度、神様へ向いた。


「あなたは?」

「へ?」

「その人は変身できたけど……あなたは?」


神様の笑みが固まった。


少女の目は期待の色でキラキラと光り、明らかに――背には後光、頭には天冠を乗せた麗しき装束姿のザ・神の姿へ変身する光景を想像している。


神使が、わずかに視線を逸らす。


「えーと、それはですね……あー……」


言えなかった。そんな残酷なことを、彼には口にできなかった。


買って出たのは、神様だった。わざとらしく咳払いをして告げる。


「私は……神だから」


一拍置く。


「力を見せつけたりはしないの」


沈黙。


神使が静かに補足する。


「すみません……神様は神力がないので、何もできません」


こたつの上から伸びた神様の足が、神使の肩に落ちた。


「神罰!」

「痛いですよ。事実説明の補足じゃないですか」

「タイミングがあるだろ!」


少女はしばらくぽかんとしていたが、やがて堪えきれなくなったように、ほんの少しだけ口元を緩めた。


それは本当にかすかな変化だった。けれど神様は見逃さなかった。


「……今、笑った?」

「え?」

「笑ったよね?」

「わ、笑ってません」

「いや笑った」


神様は身を乗り出す。


「やっと笑ってくれた!」

「笑ってないって。強いて言うなら、失笑です」


少女は慌てて視線をそらす。だが頬が少し赤くなっているのを見れば、誤魔化しきれていない。


「うん、やっぱその顔のほうがいいな」


その言葉に、少女はさらに困ったような顔になった。褒められ慣れていないのかもしれない。目を伏せて、湯呑みを持ち直す。


その沈黙を破るように、神様がふいに言った。


「名前は?」


少女が顔を上げる。


「……私?」

「うん」

「少女です」


神様は一つ頷いた。


「神様です」

「……はあ」


間の抜けた返事になってしまうのも無理はない。神様はそれで満足したように、うんうんと一人で頷いている。


「よろしくお願いします」

「よ、よろしく……お願いします?」


どこまで本気で、どこまで冗談なのか分からない相手だった。

だが、少なくとも悪意がないことだけは分かる。


神様はそこで、ひときわ真面目な顔をした。


「よし。空いてる部屋とかある?」

「……?」


少女は目を瞬いた。


「部屋?」

「泊めて」


あまりにも自然な流れで言われて、少女の思考が止まる。


神使は小さく額を押さえ、神様はこたつから身を乗り出したまま続ける。


「本当は“にょろにょろ神社”に滞在する予定だったの」

「にょろにょろ神社……」

「うん。でも行ったら駐車場になってた。だから住むところがなくて」


少女の目がわずかに揺れた。


「神社は、先月取り壊して……」

「もう二日も野宿なの。外寒いの。コンニャクなの」


少女は思わず眉を寄せる。


「さっきからその“コンニャク”って何なんですか……」


神使が諦めたように答えた。


「近くにある商店がこんにゃく屋しかなく、ここ二日ほど主食がこんにゃくなのです」

「主食……?」


少女は絶句した。

神様はその反応を見て、さらに押し込む。


「お願い! 何でもするから! 来月中には出て行くから!」

「そんなに長く?」

「短くもできる! たぶん……」


こたつで生き返りかけている謎の神様と、その隣で申し訳なさそうにしている神使。どう考えても普通ではない。けれど、玄関先で見たときよりもずっと、二人とも人間くさかった。片方は自称神で、もう片方は狛犬に変身する。それでも、放っておけない感じだけが妙に強かった。


部屋の中にはしばらく、時計の音だけが落ちていた。

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