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第6話 静かに壊れた

シャルル視点です。



(シャルル視点)


 エドワードが、珍しく黙っていた。


 いつもなら、隣にいるだけで安心するのに。

 今日は、空気が張りつめている。


「……エドワード?」


 名前を呼ぶと、彼はゆっくりこちらを見た。


「どうした」


 声は穏やか。

 でも、どこか遠い。


 私は少し迷ってから、言った。


「ね、私がいるから、大丈夫なんですよね?」


 それだけだった。


 意味も、深さも、

 私は深く考えていなかった。


 ――でも。


 次の瞬間、

 彼の表情が、はっきりと変わった。


 初めて見る顔だった。


 驚き。

 焦り。

 そして、はっきりした――恐怖。


「……何を、聞いた」


 声が低い。

 いつもの落ち着きがない。


「え? 何も?」


 正直に答える。


「ただ、私がいれば安心なんじゃないかなって思いまして」


 沈黙。


 エドワードの手が、

 私の肩に触れそうで、触れない位置で止まった。


 震えている。


 ……え?


「シャルル」


 呼ばれた声は、

 初めて感情が滲んでいた。


「それは……違う」


 私は瞬きをする。


「違う?」


「君が“いるから”大丈夫なんじゃない」


 一歩、距離が詰まる。


「君が“いなくなる可能性”があること自体が、

 俺にとっては耐えられない」


 心臓が、どくんと鳴った。


 エドワードは、

 自分でも抑えきれていないみたいだった。


「君がいなくなる世界は、

 最初から成立しない」


 ……あ。


 この人。


 私を“支え”にしてるんじゃない。


 前提にしてる。


 私は、怖いはずなのに、

 なぜか笑ってしまった。


「じゃあ、私、どこにも行かないですね」


 その瞬間。


 エドワードの呼吸が、乱れた。


 ほんの一瞬。

 でも、確かに。


「……言うな」


 掠れた声。


「そんなこと、簡単に言うな」


 額に、私の額が触れるほど近い。


 それでも、触れない。


「君は……」


 言葉を探して、

 見つからなくて。


 彼は、深く息を吸った。


 そして、ゆっくりと元の表情に戻る。


 いつもの、完璧な王子の顔。


「……すまない」


「?」


「少し、取り乱した」


 私は首をかしげる。


「そうですか?」


 自覚は、ない。


 でも。


 その日から、

 エドワードは私を

 一人で行動させなくなった。


 それが、答えなのだと思った。


お読み頂きありがとうございます。

確実にエドワードがおかしくなっていきます。

次回はもっと波乱が起きます。

お楽しみに。

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