第8話 昔から、変わらない
エドワードの幼なじみのルーカス視点です。
(ルーカス視点)
――ああ、やっぱりな。
シャルル嬢を見た瞬間、
嫌な予感が確信に変わった。
エドワードが、
あんなふうに隣に立つ相手は久しぶりだ。
いや、正確に言えば――
初めてかもしれない。
昔から、あいつは変だった。
王族だからとか、立場がどうとか、
そういう話じゃない。
距離感が壊れてる。
子どもの頃、飼っていた鳥がいた。
弱くて、すぐ驚いて、放っておくと死にそうなやつ。
エドワードは、よく世話をしていた。
誰よりも丁寧で、優しくて、
鳥は彼の手の中でしか落ち着かなかった。
問題は、その後だ。
別の使用人が世話をしようとしたとき、
鳥が怯えた。
次の日、その使用人はいなくなった。
事故だった。
公式には、そういうことになっている。
エドワードは、泣きもしなかった。
「怖がらせたから、入れ替えただけだ」
当時十歳の口から出る言葉じゃない。
それでも周囲は、
“賢い王子”で済ませた。
――俺だけが、気づいていた。
あいつは
守る対象を決めた瞬間、世界を切り分ける。
守る側。
不要な側。
間に、感情は挟まらない。
シャルル嬢は、
完全に「守る側」に入っている。
だから危険だ。
彼女は、
何も知らない顔で笑っている。
婚約者様、なんて呼ばれて、
困ったように首をかしげて。
……ああ、最悪だ。
エドワードはもう、
自分でも止まれない段階に入っている。
あいつは、
自分が異常だと思っていない。
正しい、最善、合理的。
その枠の中で、全部終わらせる。
だからこそ、止められない。
せめて――
「……シャルル嬢が、壊れないといいが」
それだけを祈るしかない。
あいつは、
守るためなら、
世界の方を壊す。
昔から、ずっとそうだ。
学園に入学してから仲良くなった宰相子息のラーゼンと将軍子息のウィルドにも、この話はエドワードには内緒で話してある。
ふたりは立場上、注意は出来ないから私がするしかない。
「...ルーカス様、シャルル嬢は大丈夫ですかね?」
ラーゼンがぼそっと呟くように問い掛けてきた。
「いくら、側妃殿下の第2王子とはいえ、準男爵令嬢がお相手とは...」
ウィルドも心配そうだ。
「あの、エドワードだ。シャルル嬢の幸せを祈るしかない…」
そう...
エドワードを止めれる者はいない。
お読み頂きありがとうございます。
エドワードの過去をルーカス視点で描きました。
異常ですよねw
次会、波乱が巻き起こります!
お楽しみに。




