第6話 最善という判断
今回はエドワード視点で、なぜ婚約に持っていったかが描かれてます。
(エドワード視点)
准男爵家に話を通したのは、当然の判断だった。
学園内で起きていたことは、すべて把握している。
直接的な被害は少ない。
だが、放置すれば必ず悪化する。
貴族社会はそういう場所だ。
身分の低い者が、
上位の者に可愛がられる。
それだけで軋轢は生まれる。
ましてシャルルは――無防備すぎる。
悪意を悪意として受け取らない。
好意も、危険も、同じように笑って受け流す。
守りが、ない。
「一時的な庇護では意味がない」
学園で目を光らせるだけでは足りない。
卒業後は?
王都を離れたら?
私が常にそばにいられる保証はない。
だから――
「恒久的な立場が必要だった」
婚約。
それ以上に明確で、誰も手を出せない線は存在しない。
准男爵家という点も、問題ではなかった。
むしろ都合がいい。
野心がない。
派閥もない。
王位継承権に絡める価値もない。
私の婚約者として、余計な干渉を受けにくい。
家柄ではなく、
本人を守るための選択。
それだけだ。
シャルル本人の意思も、確認した。
「嫌ではない」
「安心する」
十分だ。
拒絶ではない。
恐怖でもない。
それ以上に、何が必要だというのか。
彼女は理解していない。
自分が、どれほど無自覚に人を引き寄せているか。
どれほど、奪われやすい位置にいるか。
だからこそ。
「君は、知らなくていい」
危険も、計算も、
すべてこちら側で処理すればいい。
准男爵家への説明も、簡潔に済ませた。
反対される可能性は考慮した。
だが、拒否権は実質存在しない。
王家からの正式な申し入れ。
条件は準男爵から子爵への昇爵。
娘本人も拒んでいない。
――断る理由がない。
それでいい。
シャルルは、今まで通りでいればいい。
笑って、
学園に通って、
私のそばにいればいい。
彼女が安全である限り、
それが最善だ。
それ以上の感情があるかどうかは――
考える必要はない。
守ると決めた。
それだけだ。
もし誰かが、それを邪魔するなら。
静かに、排除する。
ただ、それだけの話だ。
お読み頂きありがとうございます。
次回、エドワードの友人が登場します。
お楽しみに。




