第10話 常識的な提案
シャルルの父視点です。
みんな同じこと思ってます。
(シャルルの父・アルフォンス視点)
正直に言おう。
これは危険だ。
王子との婚約。
名誉? 確かにそうだ。
だが、それ以上に――不自然すぎる。
「殿下」
私は震える手を抑えながら、エドワード王子と向き合っていた。
「我が娘は、平凡な准男爵家の娘です。
この婚約は、少々……重すぎるのではないでしょうか」
隣でマリーも深く頷く。
「シャルルは、のんびりした子です。
王家の責務や緊張に耐えられるとは……」
これは、
娘を守るための言葉だった。
上級貴族たちも多数同席している。
ルーカスやラーゼンにウィルドもいる。
王家の顧問、学園関係者。
誰もが空気を読んで、
遠回しに同じことを考えていた。
――婚約解消。
もしくは、延期。
「今なら、まだ穏便に……」
そう続けようとした、そのとき。
エドワードが、口を開いた。
「解消?」
静かな声だった。
感情の起伏はない。
だが、空気が変わった。
「それは、誰のための提案だ」
王家の顧問が慎重に答える。
「准男爵家と、シャルル嬢の将来を考えて――」
「違う」
一言で切られた。
エドワードは、私たちを順に見た。
「それは、君たちが“安心したい”だけだ」
息が止まる。
「シャルルは、不安がっていない」
「拒んでいない」
「逃げたいとも言っていない」
一つずつ、
逃げ道を塞ぐように言葉が落ちる。
「それなのに、なぜ解消する必要がある?」
誰も答えられない。
私は、覚悟を決めて言った。
「……親としてです。
殿下がシャルルに“依存されている”ように見えます」
この言葉で、
怒りを買う覚悟はしていた。
だが――
エドワードは、初めてはっきりと笑った。
それが、
とても、怖かった。
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次回もお楽しみに。




