4話 商店街
待ちに待った水曜日になった。今日、学校を頑張ればギャルちゃんたちと商店街に遊びに行ける。俺たちのような思春期真っ只中の男子にとって、女子と遊びに行けることがどれほど貴重な体験か。俺はいつもよりオシャレに気を遣い、ワックスや香水を吟味した。放課後に商店街に行くことからワックスはなるべく落ちないものを選び、香水も香りが長持ちする物を選んだ。お金もある程度持っていき準備万端だ。
学校に着くと部活の先輩や友達たちにオシャレしていることを指摘されたが、何とかはぐらかした。教室に着くとギャルちゃんはもう席に着いていた。いつも早いなと思って席に着くとギャルちゃんが少し驚いた顔で言った。
「香水してる?」
俺はギャルちゃんの問いに少しドキッとした。まさかこんなすぐに気づかれるとは思っておらずどう答えるべきか困った。でも、流石に沈黙は気まずくなるため適当に答えることにした。
「ま、まぁ気分転換にね……」
「良い匂いだね」
俺の答えにギャルちゃんは微笑みを浮かべながら言ってくれた。ギャルちゃんの言葉と表現に俺の心臓の鼓動は倍増し、鼓動の音がうるさいほど鳴り響いた。ギャルちゃんにまで聞こえているんじゃないかと思っていると後ろから真司の声がした。
「おはよう」
「お、おはよう」
ナイスタイミングの真司に感謝し息を整えた。俺はぎこちない動きだっただろうが何とか席に着いた。ギャルちゃんのいつもと違う感じに動揺して1限目が始まるまで心拍数が落ち着くことはなかった。1限目が始まり2、3、4と時間は過ぎていった。昼休みになると真司と坂本さんが一緒に昼ごはんを食べようと机をくっつけた。俺とギャルちゃんも机をくっつけて4人で昼ごはんを食べることにした。
「今日商店街行くけど何か欲しい物とかある?」
坂本さんの問いに俺とギャルちゃんは少し考えた。俺は今欲しい物は特になくそのまま伝えることにした。
「今これと言って欲しい物はないから欲しくなった物を買うよ」
「茜ちゃんは何か欲しい物ある?」
「え、えっと……可愛い日用品とか」
「良いじゃん! ちなみに私時々商店街のお店でインテリアとか買ってるけど見に行く?」
「じゃ、じゃあそこに行きたいです」
「それじゃあ決まりね。真司たちはどうする?」
坂本さんが俺と真司に振ってきた。俺は特に欲しい物もないし、真司も同じような感じだったので適当に答えた。
「ボクたちは適当にブラブラしとくよ」
真司がそう言うと坂本さんは少しムスッとして言った。
「せっかくみんなで行くんだから二人も一緒に来てよ。欲しいインテリア見つかるかも知れないよ?」
「確かにそうだね。それに、俺インテリアなんて買ったことないし教えてよ」
俺は坂本さんの機嫌を取るために建前を混ぜ込みながら事実を述べた。すると、坂本さんの表現は明るくなった。
「分かった。私が佐藤君に合うインテリアを見つけてあげる! 真司はひとりで商店街ブラブラしてたら?」
「そ、それならボクも一緒にインテリア見るよ」
「最初からそうしてくれれば良いのよ」
そう言うわけでみんなでインテリアを見ることに決まった。それから昼休みは坂本さんの家にどんなインテリアがあるのかや商店街にある店にどんな物があるのかなど話した。そんな話をしていると昼休みが終わり5限目が始まった。あともう少しでギャルちゃんとショッピングできると思うと授業などあっという間だった。
放課後になりみんなで商店街に向かった。学校からみんなで歩いて商店街に向かうと、そこには近くに住んでいるであろう主婦や子どもたち、学校帰りの生徒たちなどかなりの人数がいた。この辺りはかなり立地が良く、学校があり近くに商店街があり、住宅街も近い。したがって、人が多いのは当然だと言える。俺はこの街で生まれ育ったから人が多いのは知っていたが、ギャルちゃんは自転車通学であることから少し離れた場所に住んでおり、知らないのは仕方がないだろう。真司と坂本さんは電車通学だが、何度か来たことがあるのか見慣れたようにしていた。そして、坂本さんが先導してくれインテリアを売っている店に向かった。
店に着くと、そこには数え切れないほどの小物のインテリアが置かれていた。無機物な物から猫や犬を模したものなど様々だ。想像以上のインテリアの数の多さに驚いた。この中から自分の欲しいインテリアを見つけるのは楽しいだろうなと思っていると、ギャルちゃんが嬉しそうな表情をしながらインテリアを見つめていた。猫の物を見たり少し大きな物を見たりととても楽しそうだった。真司も想像以上だったのか手に取って見たり、どんな風に使えるのか頭の中で想像していた。坂本さんは2人の反応に嬉しそうにしていた。
「それにするの?」
俺がギャルちゃんに話しかけると、ギャルちゃんは少し恥ずかしそうにして手に持っていた猫のインテリアを隠した。
「こ、これにしようかな」
ギャルちゃんは猫のインテリアを見ていたのを恥ずかしいと思ったのか、実用的なインテリアを手に取った。俺は猫の物も良いと思っていたので近くにあった犬のインテリアを手に取った。
「俺はこれにしようかな」
俺がそう言い手に取るとギャルちゃんは少し恥ずかしそうな表情が和らいだ。しばらくインテリアを吟味した結果、俺は小物を置ける物と可愛らしい犬のインテリアを買った。ギャルちゃんは猫の物を複数個、真司は実用的なインテリアを数個買っていた。
「みんなに紹介できて良かったよ」
坂本さんは嬉しそうに言った。
「こちらこそありがとう」
俺たちは坂本さんに感謝を伝えた。時間も少し経ち夕方になってきて小腹が空いてきた。商店街には昔ながらのお肉屋さんがありそこでメンチカツを買って食べ歩きをした。しばらく歩き各々の帰路に着くと少し名残惜しかったが、清々しく別れを告げた。楽しかったなと思っているといつの間にか家に着いた。インテリアを机の上に置き眺めていると坂本さんからラインが来た。また一緒に遊ぼうねという旨のラインだった。俺は坂本さんに同意するようにラインを返した。そして、インテリアを飾っている写真を送った。すると、坂本さんも自分のインテリアを送ってくれた。そこには猫の物から小さな物、少し大きな物など多種多様な物があった。それだけ好きなんだなと実感した。




