3話 放課後
ギャルちゃんと仲良くなってから1週間が経った。ギャルちゃんはまだ不慣れながらも俺たちに自分から積極的に話してくれるようになった。最初の方は俺たちから話しかけてギャルちゃんと会話する機会を作っていたが、俺たちが話しかけるようになって何気ない会話でもいいのだと気づいてくれ話してくれるようになった。最近見た映画やアニメの話をしてくれたり、坂本さんとはネイルや化粧品などの女子トークで盛り上がっているようだった。と言ってもギャルちゃんの話し方や声の大きさなどは変わっておらず、まだまだ改善点は多い。
月曜日の昼休み、いつも通りみんなとお昼ご飯を食べていると坂本さんが言った。
「最近仲良くなってきたしみんなで遊びに行かない?」
「「いいね」」
俺と真司は二つ返事で了承した。でも、ギャルちゃんは違った。何だか複雑そうな表情をしておりうんともいいえとも言いづらそうな感じだった。そんなギャルちゃんを見て坂本さんが聞いた。
「ギャルちゃんは行きたい所とかある? ゲーセンとかカラオケとか」
「ゲ、ゲーセン!? カラオケ!? わ、私にはそんな所無理ですー……」
ギャルちゃんのリアクションはなかなかのもので少し笑ってしまった。どちらかと言うと、ギャルちゃんの反応は嫌というより自分には不相応だというようなニュアンスが含まれているようだった。そこで俺がギャルちゃんに聞いた。
「根暗さんはゲーセンとかカラオケにどんな印象抱いてるの?」
「え、えーと世間一般で言われている陽キャと言われている人が行く所であって私のような陰キャが行くような場所では……」
ギャルちゃんの認識に俺たちは驚きと疑問が尽きなかった。なぜそのように思うのか、なぜ自分が行くような場所ではないと決めつけるのか不思議でならなかった。そして、俺たちは全員でそんなことないとギャルちゃんに言った。それでもギャルちゃんは乗り気にはならず、坂本さんが別の場所を提案した。
「それじゃあ放課後に商店街に行くのはどう? 商店街ならゲーセンとかと違って行きやすいでしょ?」
「ま、まぁそれなら大丈夫だと思います……」
「それじゃあみんなの予定が合う日に行きましょ。みんないつ空いてる? 私は火曜と木曜以外なら大丈夫」
「わ、私はいつでも大丈夫です」
「俺は部活ない水曜なら」
「ボクも水曜ならいけるよ」
「なら今週の水曜日に決まりね。各々行きたい商店街のお店とかあったら行くから事前に調べておいてね。特にないんだったらみんなで喋りながら良さそうなお店探そ」
「「はーい」」
「は、はい」
そんな会話をしていたら昼休みが終わり5時間目が始まってしまった。今日は月曜日、水曜日まで遠いななんて考えていると、授業に集中できておらず先生に怒られてしまった。ギャルちゃんと真司、坂本さんが
笑ってくれ何とか気まずい雰囲気にはならなかった。6限目は気持ちを切り替えてしっかりと集中して取り組んだ。6限目は怒られることなく授業を終えた。俺と真司は部活にギャルちゃんと坂本さんは帰宅した。
俺が通っている高校のバスケ部は県でトップ3に入る実力を有している。だから、部活のスタメンはかなりの実力者であり、小学校からバスケをしている俺はスタメンになれるように日々努力している。今日も全力で部活に取り組んでいると、体育館の外にギャルちゃんが見えた気がした。今はバスケの試合中であり再度確認するわけにはいかなかったが、ギャルちゃんが見てくれていると思うとやる気が湧いてきた。残り試合時間は僅か、こちらが少し点数をリードしているが油断はできない状況。俺はスリーポイントラインに向かって走った。
「ヘイ!」
俺はスリーポイントラインに着く前にパスを呼んだ。チームメイトはそれを察したのか少し前にパスを出してくれた。俺がスリーポイントラインに着くと同時にボールが手元に来た。俺はそのままスリーポイントを打った。そのシュートは見事にネットを揺らした。それと同時に試合の終わりを告げる音が鳴り響いた。俺のスリーポイントシュートはブザービートとなりチームメイトに褒められた。少ししてギャルちゃんがいたように思えた所を見てみると、そこにギャルちゃんはいなかった。でも、ギャルちゃんが見てくれていると思うといつも以上にポテンシャルが発揮できたように感じた。このまま頑張るぞと意気込み部活に取り組んだ。
今日はいつも以上に体が動いたなと思いながら家に帰っていると、見覚えのある金髪が道端で座っていた。横には自転車が置いてあった。その金髪はギャルちゃんであり、俺は何かあったのかなと気になり話しかけることにした。
「根暗さん? こんな所でどうしたの?」
「あっ、佐藤君……実は自転車がパンクしちゃって、お母さんを待ってるところなの……」
「パンクしたって大丈夫? 怪我とかしてない?」
「それは大丈夫……」
ギャルちゃんはそう言うとそのまま俯いてしまった。俺はどうしたのか分からずあわあわしているとギャルちゃんが続けた。
「でも、お母さんを待ってる間……一人でこうやってるの恥ずかしい……」
ギャルちゃんを恥ずかしがらせるわけにはいかないと思い俺はギャルちゃんの隣に少し間を空けて座った。
「それじゃあ俺が一緒に待っててあげるよ」
「え、いやでも……もう時間も遅いし……」
「それを言うならこんな時間に根暗さんを一人になんて出来ないよ」
「そ、そう?」
それからしばらくの間沈黙が続いた。俺は何か話さないとと思っていると、さっきの試合のことを思い出した。
「そう言えばさ、帰る前にバスケ部見てた?」
「……ちょっとだけ」
「俺のブザービート見た?」
「うん」
「どうだった?」
「……カッコよかった」
俺はギャルちゃんの褒め言葉に言葉にならない嬉しさが込み上げてきた。その時、俺たちの前に車が止まり運転席の窓が開いた。
「お母さん」
ギャルちゃんがそう言うと、そこにはギャルちゃんと瓜二つのギャルママがいた。
「お待ちーってそんなに早く来なくて良かった感じ?」
「そ、そんなことないよ。佐藤君とは十分お話しできたから」
「へー佐藤君って言うんだ。ウチの茜と仲良くしてくれてありがとうね」
「いえいえこちらこそ仲良くしてくれてありがとうございますって感じですよ」
「それじゃあ今後も仲良くしてあげてね」
そう言いギャルママが車から降りてきた。すると、ギャルちゃんを車に乗るように促し自転車を後部座席を倒し載せようとした。俺はそれを手伝った。自転車は一人で持つにはかなり大きく面倒なので手伝うために自然と体が動いた。無事後部座席に自転車を載せられた。
「ありがとうね。このまま送って行こうか?」
「いえ、大丈夫です。俺の家すぐそこなんで」
俺の家は学校から近いため気持ちだけ受け取った。
「そうかいそれじゃあほんとありがとうね。気をつけて帰るんだよ」
「そちらも気をつけてくださいね」
「お気遣いありがとうね。バイバイ。ほら茜も」
「バ、バイバイ」
「うん、バイバイ」
そう言い別れを告げると車は走り出した。車が見えなくなるまで見ていると、ケータイに一件の通知が届いた。何だと思いケータイを見ると、ギャルちゃんからのラインの通知だった。ラインを開けるとそこにはありがとうという一言があった。俺はどういたしましてと返した。




