2話 友達
ギャルちゃんが初めて話しかけてくれた翌日の昼休み、俺の友達には事前にギャルちゃんのことを伝えておりなるべく配慮してもらえるようにした。俺の友達は俺たちの前の席に座っており、俺の前に座っているのが間宮真司で、ギャルちゃんの前に座っているのが坂本美優さんだ。二人とは席が近いこともあり最近仲良くなったのだ。席も近いしお昼ご飯も一緒に食べようということになり俺たちは机をくっつけて昼ごはんを食べ始めた。
「改めて、こちら根暗茜さん。二人と友達になりたいんだって」
「ボクが間宮真司で」
「私が坂本美優。よろしくね茜ちゃん」
坂本さんが握手を求めて手を差し出すと、ギャルちゃんはスカートで手を綺麗にしてから恐る恐る握手をした。
「根暗さんってどんなことが好きなの?」
真司が問いかけた。ギャルちゃんは真司の問いかけに少し考えてから答えた。
「え、映画鑑賞とかかです……」
ギャルちゃんの答えに二人はどんな映画が好きなのと捲し立てるように聞いたせいで、ギャルちゃんはキャパオーバーを起こし熱暴走してしまった。ギャルちゃんの頭から湯気が立ちのぼり真司と坂本さんはギャルちゃんがこんなことになってしまい慌ただしくしていた。俺はそんな状況に笑ってしまいしばらくその場はカオスだった。昼休みはその調子のままみんなで楽しくお喋りをして過ごした。基本的にギャルちゃんは自分から話そうと意欲的に会話に入ってはこなかったが、相槌を打ったり話を振られた時にはぎこちないながらもきちんと話せていた。俺たちはラインを交換しこれでいつでも話せるねと坂本さんが楽しそうに言っていた。そんな楽しい時間もチャイムによって終わりを告げられた。
5時間目が始まるとギャルちゃんはさっきまでの会話が楽しかったのかしばらくの間微笑んだままだった。5時間目は数学でグループワークなどはなくただ先生の話を聞いて板書を書き、問題を解くだけだった。5時間目が終わると坂本さんが体を後ろに向けてギャルちゃんと会話を始めた。さっきの数学難しかった、次は古文だねなどの話をしていた。その光景を見て俺と真司はギャルちゃんが坂本さんと仲良くなれて良かったと話していた。
6時間目が始まると坂本さんはギャルちゃんと話せなくなるのを惜しそうにしながら授業に集中し始めた。6時間目が始まってしばらく経つと先生が4人班を作るようにと言った。俺たちは自然と4人班を作り先生の指示を待った。クラス全員が4人班を作れたことを確認した先生が指示を出した。
「今からその4人班でどれだけ古文単語を知っているか競い合ってもらいます! ルールは単純。4人で古文単語を出なくなるまで黒板に書き数が1番多い班の勝ちってだけ。班内で単語を教え合うのはオッケーだけど、黒板に書いてある他の班のをパクるのはダメ。もし、被っちゃった場合はその単語を書いてる全班から消していって最後にどれだけ残っているかで勝敗を決める。だから、どれだけ他の班と被らないかが重要。それと、先に質問があるだろうから答えておくけど、明らかに隣の班の答えをパクったなってやつはパクった班のだけを消します。勝った班にはささやかなプレゼントがあります。それ以外に質問ある?」
「「「ないでーす」」」
「それじゃあ3分あげるから今のうちに作戦会議でもしておいて。先生はその間に黒板準備しておくから」
クラス全員がこのゲームに乗り気で各班しっかりと作戦を立てているようだった。俺たちも負けていられないと作戦を立てた。その作戦はこうだ。俺はバスケ部であり日頃からシャトルランをしているので俺の体力が切れるまでは残りの3人で単語を捻出し、俺がそれを書く。俺の体力が切れたら真司に交代してその間に俺の体力を回復させるという算段だ。真司はサッカー部に所属しており体力に自信はあるだろうから俺が再び走ることにはならないだろうと思った。そんなわけで作戦会議は終わり後は先生の指示を待つだけとなった。
「よし。3分経ったから始めるぞ。準備は良いな? スタート!」
俺は手始めに自分が分かる古文単語を出なくなるまで捻出した。そして、自分たちの班のところまで戻りみんなが捻出してくれていた古文単語を黒板に書くという作業を繰り返した。他の班と比べて俺たちの班は少し多いように思えたが、油断することはなく最後の最後まで全力を尽くした。
「そこまで!」
俺は全力を尽くしてへとへとになった。班に戻るとみんなが労いの言葉をかけてくれ俺は頑張って良かったと思った。先生が数を数えている間に各班はゲームの振り返りをしていた。俺たちも振り返りをすることにした。
「途中でこんな古文単語あるんだって驚いたよ。みんなのおかげで全然被らないだろうし1位ありあるんじゃない?」
俺がそう言うと坂本さんが言った。
「ほとんど茜ちゃんが教えてくれたのよ。感謝するなら茜ちゃんにね」
「ありがとう根暗さん! もしかしたら本当に1位なれるかも」
「い、いえそ、そんなことないですよ……」
俺は驚きつつもギャルちゃんに感謝と凄いという尊敬の眼差しを向けた。ギャルちゃんは恥ずかしそうに俯きながら言った。そして、先生が数を数え終え優勝した班を発表した。
「優勝は佐藤班だ」
なんと俺たちはクラスで1位になれた。俺たちは4人で静かに優勝を噛み締めた。ギャルちゃんも優勝できたことを嬉しそうにしておりこっちまで嬉しくなった。
「佐藤班はプラス5点なー」
何気なく言った先生の言葉がクラス中を混乱させた。クラスからそんなこと聞いてないだのそんなことなら全力でやっていたなどの言葉が先生に投げかけられた。ギャルちゃんはその言葉を聞いて体が震えていた。それに気づいた俺たちはギャルちゃんを落ち着かせた。そして、先生がクラスに向かって一言言った。
「質問あるかって聞いた時にお前らないって言っただろ。後から文句言うな。それに5点で振り回されてるようじゃ大学行ったらもっと悲惨な目に遭うぞ」
その言葉にクラスはしんと静まり返った。その瞬間チャイムが鳴り先生はクラスから出て行った。なんと言えない雰囲気になった教室は次第に活気を取り戻した。俺たちはギャルちゃんに別れを告げて部活に向かった。その日は何事もなく一日を終えることができた。
次回もお楽しみに




