園芸部
2話目の投稿です!
ご覧いただいた皆様、有難うございました!
自分が書いたものが見られるという感覚、少しむず痒い感じがしますが嬉しいです!
コメントお待ちしてますのでよろしくお願いします!
下駄箱にて靴を履き替えると体育館裏へと向かう。
運動部員達が足早に部室へと向かう姿を横目にゆったりとした足取りで体育館裏にあるプレハブを目指す。
そのプレハブこそが自分が在籍する園芸部なのだ。
基本的にこの中学校には部室というものはない。体育館を使う運動部員はステージ裏の両サイドの控室をそれぞれ男子、女子と分けて使っているし、外で活動する運動部員は下駄箱の横にある空き教室を使っていたりする。そういう意味では唯一の部室といっていいだろう。
プレハブ前で靴を脱ぐと素足のまま入っていく。案の定まだ誰も来ていない。まだ、というか基本的に自分と顧問だけなのだが。
西中学校にはある決まりがある。それは、全生徒が何かしらの部活に所属しないといけないというものだ。その割には種類が多くあるわけではなく、その大半が運動部だ。
野球部、サッカー部、バスケ部、ソフトテニス部、バレー部に水泳部が運動部。吹奏楽部、英会話部、放送部、映画研究部そして我が園芸部である。
大半の生徒が運動部に所属しているのだが、運動が苦手な生徒たちは文化部に所属することになる。中でも吹奏楽部と映画研究部に人が集まっている。
吹奏楽部は文化部の花形なので言わずもがなだが映画研究部も同じくらい人気がある。まぁ、顧問のおすすめや部員が見たいという映画を見るだけなので分からなくもない。放送部や英会話部も一定数部員がいるのだが我が園芸部は恐ろしく人気がない。
というのも、他の部活が何かしら活動をしている中、園芸部はこれといった活動がなく毎日の参加も義務付けられていない。そのため、学外でサッカーのクラブチームや野球のクラブなどに通っており学校の部活にはこないというスタンスの生徒たちの隠れ蓑となっているのである。これをよしとしなかった校長が去年から新入生の園芸部への入部を禁止したのである。
つまり、俺の世代が園芸部の最後の世代であり、卒業とともに廃部が決まっているのだ。
聞いた話によると、今では放送部がそういった生徒の隠れ蓑になっているらしい。
まぁ、誰かから直接聞いたわけではなく廊下でたまたま聞こえただけだが。
なので、今園芸部に所属している部員のほとんどが校外のクラブチームに属しておりこの時間に来るような奴はいないのだ。まぁ、それはそれでこの部室で好きなことをできるから好都合だと思っている。
もちろん、好きなことだけをしているわけではなくて一応、園芸部として花壇の手入れやいくつかの植物を育ててみたりしている。最近ではもっぱら、ポインセチアにハマっている。あと2か月もすればクリスマスなので顧問が持ってきたコイツを大事に育てているのだ。
といっても剪定も終わっているし水やり程度なので基本的には作業はなく勉強や読書が大半だが。
ポインセチアをひと通り眺めると早速勉強を始める。
学年5位といわれると頭がいいように思えるがそうではなく、勉強くらいしかすることがないので点数がよくなったというだけの話だ。実際、点数が取れているのは社会や理科、国語といった暗記物ばかり。数学や英語は苦手なのだが、問題そのものを暗記しているため点数が取れるというだけのことである。
一度、頭がよくなったと思い全国模試を受けたことがあるのだがあまりにも平凡な点数だった。母さんは期待していたようなので申し訳ないことをしたと思う。まぁ、中間、期末テストだけではいいのでそれで満足してもらいたいものだ。
しばらくするとドアが開き顧問が入ってくる。
「おーっす、今日も頑張ってるか?」
担任の山崎が入ってくる。
「まぁ、いつも通りです。」
部員が自分ひとりしかいない部室に毎日様子を見に来る当たりいい教師なのだろう。
「おっ、いい感じに赤く色づいてるな!お見事!」
「ポインセチアなんて誰でも育てられるでしょ。」
少し卑屈に聞こえてしまっただろうか。すると山崎は大げさに言って見せる。
「そんなことないだろ!先生は枯らしたことあるからな!」
そんな馬鹿なと思いつつも悪い気はしない。
「先生、園芸部の顧問なのに大丈夫すか?」
「まぁ、今年で廃部になるし、実際育てたことないからな!」
よくまぁそれで顧問をやれていたものである。
「この顧問での一番の成果としては木下の成績があがったことだからな。悪くないだろ?」
「いや、それ園芸部と関係ないんで」
相変わらず調子がいい。ただ、学校に来て会話らしい会話は部室での山崎との会話だけなので自分の中ではささやかな楽しみになっていた。
そんな調子で他愛もない会話を続けていると何か思い出したようにプリントを渡してきた。
「そうそう、これなんだけどな、廃部最後になんかしないか?」
そういって見せてきたのは学祭の出し物に関する資料だった。
「学祭の出し物?今まで園芸部は出したことありましたっけ?」
そう聞き返す。自分が1年、2年の時を思い返してもそんな記憶はない。
「いや、ないな。」
ないんかい!と心の中で突っ込むとそれを察したのか山崎が続ける。
「ないんだけど、部活動とし出せるのは出せる。基本的に学際は文化部の晴れ舞台だからな。毎年の吹奏楽部のコンサート以外にも映画部のおすすめ映画公演なんかもあるだろ?どっかの運動部もウナギ掴み大会とか企画してたしな。」
確かにそんなものをやっていた気もする。
「というかな、校長も廃部にする引け目があるみたいで予算くれるっていうから引き受けた。」
「は?」
急展開に思わず口から出た。山崎は予想通りの反応だったようでほくそ笑む。
「いや、引き受けたってなんすか?もう何するか決まってるんですか?誰も来てないのに何もできないでしょ?」
無理に決まってるだろといわんばかりにまくし立てるが山崎は笑いながら答える。
「来てないだけで部員はいるからな。何をするかはまだ決めてないから部員で話し合ってこれからきめたらいいだろう。忙しいやつが多いだろうが何もずっとやれってわけじゃないんだ。せいぜい1か月くらいなんとかなる。」
うっそん?さすがに無茶ぶりというか、もしかして、俺が全部やる羽目になるんじゃないだろうな?いくら予算があるっつってもムリゲーが過ぎるだろ。
「ということで明日の放課後に部員に集まるように言っとくからなんか考えといてくれな。じゃ、先生もう行くわ。」
そういうと部室を後にする。
おいおいおいおい!むりムリ無理!
あ、もしかしてドッキリ?担任でもある山崎が俺のおかれている状況を知らないはずもないし。クラスで総スカン食らってる俺が何をやっても残念な結果になるに決まり切っているのはわかるだろう。そうだな。きっとそうに違いない。山崎のやろう、茶目っ気出しやがって。
ガチャ。部室のドアが開くと山崎がのぞき込む。
「あ、これドッキリとかじゃなくてガチのやつだから木下も明日ちゃんとこいよな。」
そういうと再びドアを閉じる。
お前、心の中が読めるのかよ!ってか、ほんとにガチなのかよ!
思いがけない山崎からの提案、いや、決定に動揺する。
何かやれって言われてもなぁ。
総スカンを食らっている自分が何か言ったところでどうにもならないだろうなと思いつつ帰り支度をするのだった。
最初の数話は現状の学生生活を書いていくつもりなので動きだすまで少しかかりますが是非読んでいただけるとありがたいです!コメントもお待ちしてます!




