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目覚めたらピンク頭の屑ヒロインだった件~罰は醜怪騎士団長との婚約だそうです  作者: 灰銀猫


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聖那と王子はどこへ…

 それからの私は、出来る限り街に出るようにした。勿論、王子が中に入ったと思われる「私」を探すためだ。

そうは言っても、貴族の令嬢が市井に出るのはあまり褒められた事じゃない。まどろっこしくて仕方がないが、この世界は治安が良くない。人買いや奴隷商人なんかもいるので、貴族の令嬢が気軽に街になど出られないのだ。

何とか外に出る方法がないかと考えた私は…シンシアさんの慈善活動を手伝う事にした。


 これは貴族のご婦人や令嬢が行う慈善事業の一環で、街の孤児院や貧民院などに出向いて彼らの世話をし、生活向上に努めるものだ。貴族女性にとっては嗜みの一つでもあるらしい。身寄りのない「聖那」なら、貧民院などに保護されている可能性がありそうに感じたからだ。

 また、その様なボランティアをするご婦人は、定期的に情報交換と称したお茶会をすると聞いて、そちらにも連れて行って貰う事にした。ご婦人方の茶会に出て、「聖那」の特徴を話せばより見つける可能性が高いと思ったのだ。カラフルな色彩の髪や目の色を持つこの国では、黒髪黒目は珍しいからだ。




 しかし…一月経っても、私は、私達は「聖那」の髪一筋も見つけられずにいた。


「こんなに探しているのに…殿下は一体どこに行かれてしまったのかしら…」

「人相書も影も使っていますのにわからないなんて…」

「周りに知られる前に早く戻らないと」

(やっぱり…日本にいるのかも…)


 今日はお茶会という名の定例の情報交換の日で、私達はマクニール侯爵家の庭でお茶をしていた。さすがに王宮は周りの目があるし、子爵家の私が何度も顔を出すのは悪目立ちする。そもそもマクニール侯爵家の訪問だって、主家でもないのに子爵家の私が訪ねるには敷居が高いのだ。

 何と言うか…王子の中がクローディアのせいか、このメンバーだと女子会のような雰囲気だ。このメンバーだと、王子の中のクローディアが素に戻るからだ。それに王子の見た目が、線が細くて女性的なのもある。女装させても違和感はないだろう。


 二人共、王子やマクニール侯爵家の力を使って内々に探していたが、聖那や王子に繋がる情報も何一つ見つけられずにいた。聖那の顔も、絵が得意なマクニール侯爵家の護衛騎士に頼んで書いて貰って、かなり私に近い物が出来た。それを使って探して貰っている。そもそも髪も目もカラフルなこの世界では、黒髪黒目は珍しいらしいが、それでも有力な情報はなかった。


 ちなみに、王子たちの事情はこうだった。

 私がセラフィーナの中に入ったのと同じ頃、殿下とクローディアにも同じ現象が起きたそうだ。王子の中にはクローディアが、クローディアの中にはセラフィーナが入ってしまったのだと言う。

 ちょうどその時、二人は親善大使として隣国を訪問中だった。幸いにも全ての日程が終わり、帰国し始めたタイミングだったため、さっさと帰国してその後は休暇と称してマクニール侯爵家の別荘に二人で引き籠ったそうだ。半月ほど経っても元に戻らないため、今度は流行り病にかかったと称して引き籠りながら、元に戻る方法を捜していたという。


 この時点でクローディアは、王子の人格はセラフィーナの中にあるのだろうと考えていたため、あまり慌てなかった。次期侯爵家当主の自覚を持ってもらう為に、子爵家で過ごすのもいい経験になるのではないかと思ったからだ。小心者で争いごとが苦手な王子なら、逃げ出す心配がなかったのもある。勿論、監視役の影も付けるなど、身辺の警備は厳重にしていた。


「それで…殿下がお戻りにならないと、公務などに支障が?」

「それは問題ありません。元々公務も殆どなく、今は婿入りのために領地経営などを学んでいましたから」


 王子の中に入ったのがクローディアだったため、疑う者はいなかったと言う。元々王子は小心で争いごとを嫌い、人付き合いも限定的だった。それに常にクローディアが側に居たため、彼女は王子に関する事はほぼ理解していたから、彼を装う事は造作もなかったそうだ


 一方のセラフィーナが入ったクローディアは、マナーや友人関係でトラブルがあったという。セラフィーナは下位貴族のマナーしか知らなかったのもあるし、侯爵家の後継としてクローディアの人間関係がかなり広かったのもある。

 その為、入れ替わった直後に流行り病を得て高熱が出た際、記憶が混乱した部分があったと言って誤魔化したのだそうだ。今は王子の中のクローディアが出来る限りセラフィーナをサポートしていると言う。


 だが…どうもセラフィーナはクローディアを前に緊張しているようにも見えた。まぁ、身分差もあるし、近くにいるから何かとチェックが入るのだろう。クローディアは完璧主義者だったから、セラフィーナの失態を苦々しく思うであろう事は容易に察せられた。


「聖那の身体も心配です。無事なうちに見つけたいですし。それに、誰かに勘付かれる前に戻らないと政治問題にもなりかねませんから」


 そうなのだ。奴隷や娼婦にされていないだろうか…そうでなくても傷つけられていないか、病気になっていないか…私の心の憶測には、常にそんな不安が潜んでいた。

 考え出すと止まらなくなるし、居ても立っても居られなくなるから、普段は考えないようにしていたけど。そういう意味でも、一緒に探してくれる二人の存在はとてもありがたかった。

 それに、私はともかく王子とクローディアの方は、この事が知られれば大問題だ。周りに知られる前に何とか王子を見つけて元に戻る必要がある。そりゃあ、聖那の身体が日本であれば…このままいくしかないのだけど…


 アイザック様もクリフォードさんやシンシアさんも、王子やクローディアとの交流を喜んでいたが、まさかこんな事になっているとは思わないだろう。それでも、さすがに本当の事は言えずにいた。

 王子の中のクローディアが今暫くは内々にと言ったのもある。よからぬ事を考える者が現れないとも限らないので、王子の安全のためにも出来る限り内密にしておきたいらしい。歯がゆい思いもあるが、相手の方がずっと権力があるし、聖那の捜索には彼らの協力が必須だった。




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