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ハーレム委員長1

コンビニを過ぎると、お社が見えてきた。


「あそこでお祭りするんだよ。」


イケメンが指差す方には、神社らしき建物。入り口の鳥居からは、離れている。ちょうど、学校の校舎とグラウンドみたい。入り口から見て、奥に神社があり手前は広場になっている。小さな池と、緩やかなアーチ型の赤い橋。雪でも降れば絵になりそうだ。


「あたし達はどこに行くの?」

「この先の公民館。昼食まだだろ?食って働けって。」


公民館…。大丈夫かなぁ…。すっごくボロだったら…怖いなぁ。


「ほら。あそこ。」


和風の平屋が見えた。広い敷地に、小さな建物。木造の立派な日本家屋。入り口に大きな木の看板。達筆で『公民館』と書いてある。


「うわっ。これ新しくない??」

「田舎は公民館に、カネかけるんだろ?年寄りしかいないんだし。年寄りの憩いの場?みたいな。」


そういわれると、納得?家の近くの公民館なんて、もっともっと小さくってボロだ。小さい頃に集められた時は、子供が部屋にあふれていたっけ。


「ゆいー!おそいよー!」


マナとイッキが、入り口で待っていた。あたしは急に恥ずかしくなり、イケメンから体を離した。


**********


あたしが公民館に着いて、すぐに柴田達もやってきた。

どうやら、イケメンはコンビニに寄るために遠回りしたらしい。よっぽど喉が渇いていたのかなぁ?


昼食はカレーだった。しかも…。


「これくらい食べなさいよ!まったく、都会の子供は遠慮しちゃって…。」


イケメンいわく元ヤンだったらしい、おばさんの大盛りカレー。

ヤンキー全盛期に青春を送ったらしく、リーゼントに当時の武勇伝を語っていた。

見た目は、ふっくらした人の良さそうなおばさんなのに…人ってやっぱわかんないもんだ。


「残しちゃダメよ。」


おばさんはそう言い残して出て行った。

ということは…。

カレーの大食い大会?


「私。絶対、食べれない…。でも、残せない…。」


イッキは大盛りカレーを見ただけで、戦意消滅。

みんな黙々と食べ進める。


どうしよう…。


「にんじんキライ。」


ポツリとつぶやいた。

とたんにみんなの視線が集中。


「お前、どんだけ子供なんだよ…。」


イケメンがあきれている。


「玉ねぎも微妙なんだよね…。実は野菜が嫌い…なんちゃって…。」

「しょうがねーなー。」


イケメンが、あたしのお皿からにんじんを食べる。あっという間に、にんじんが無くなった。


「うわぁ。アリガト!!」

「そのかわり、残すなよ。おばさん、マジ怖えから。」

「ホントに?」

「俺が非行に走らなかったのは、あのおばさんのせい?ってかおかげかな?ちょっと悪さしたら、すっげー怒るんだから…。」


それは…怖いかも。


「そんなぁ…。」


イッキが恨めしそうに、カレーを見つめている。

しょうがないなぁ。

あたしは、カレーを一気に食べ進めた。


「手伝ってあげるよ。」

「えっ。」

「ちょっと!ゆい本気?体のどこにカレーが消えてるのよ!」


胃、だと思うけど…。


「にんじん以外なら、もうちょいいけそうな気がする…。」


あたしは、空になったお皿とイッキのお皿を交換した。

カレーはおいしかったし…イッキだけ食べれないのもかわいそう。


「コラ。ゆい。無茶すんな。」


柴田が、横から皿を取り上げる。


「こんなに大盛りに注ぐ方が悪い。本城さん、無理しなくていいよ。代わりにリョウが残した事にすればいい。リョウだったらおばさんに怒られ慣れてるだろ?」


腹黒いぞ!柴田。イケメンが席外してるからって。


「や~だ。やっぱり、2人はそういう事なのね?マナの思った通り。」

「だから、違うって。」

「ゆいって呼んでたじゃない。さっさとくっついちゃえばいいのに。」


柴田のやつー!!


スプーンを持った手に力が入る。これがフォークだったら絶対に柴田に刺してたんだから!


「おーい。おばさんが食べたら、神社の掃除に行けって。あ、あと女子は無理して食べなくてもいいって。」


席をはずしていた、イケメンが帰ってきた。良かった。柴田の話聞こえてなくて。

ほっと胸をなでおろした。


「大丈夫ですよ。まだ、ハーレムゴールのチャンスがあります!」


なぜか、山崎君があたしに耳打ちした。

ハーレムゴール??

首をかしげたままのあたしに、山崎君は親指を立てたこぶしを見せながら


「グッジョブ!」


って言って出て行った。


ハーレムゴール?


全く意味がわからない。これも、漫画やアニメの類かしら??


「木村さん。カレーもういいみたいです。片付けて掃除にいきましょ?」

「ねぇ、イッキ。ハーレムゴールって知ってる?」


このメンバーでわかりそうなのって、イッキだけじゃない?


「えぇっと…。なんで木村さん、そんな事きくんですか?」

「えっ?」


そんな事なの?山崎君に言われたって…言いにくいなぁ。


「いやぁちょっと、聞こえたんだけど…。」

「よくは知らないけど、ゲームの事じゃないですか?」

「ゲーム?」

「恋愛ものの…。多分、みんなに好かれる…みたいな。」


そんなのやったことないけど…。


「そうなの?恋愛ものって、そんな事まであるの?」


てっきり、カップルになって終わりかと…。

…ん??


山崎君、あたしの事そういうゲーム感覚で見てる??

ていうか、ハーレムって!!


冗談じゃない。


「行こう!掃除!」


あたしは立ち上がり、神社に向かう。


山崎君。見つけたら、ほうきで殴ってやる!!


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