プロローグ
最後の日。
I am past my youth.
いつかは終わりが来るってわかっていたけど。
私達は、しばらくそこから動けなかった。
大きな重機。
ショベルカー。
ガラガラと崩れ落ちてゆく、コンクリートの塊。
工事は予定より早く始まっていて。
私達が集まったときにはもう、それは校舎だとは言えなくて…。
入学した時は、あまりの古さに文句ばかりつけていたのに。
壊されていく姿を見ると、胸が少しだけ締め付けられる。
3年間。
私達は、交わる事なくお互いの校舎で過ごしてきた。
近くにあるのに、遠い距離…だった。
3ヶ月間。
あっという間だった。
必死だった。
残された時間があまりにも短すぎて…。
私達はあそこで、取り戻そうとしたんだ。
やり残した事。
やりたかった事。
少しは取り戻す事ができたのだろうか?
終わってしまった今も、わからない。
崩れ落ちた校舎。
砕けていくコンクリート。
校舎があったその場所はもう瓦礫の山だ。
結局、私達は何も残せなかった。
3ヶ月ただ、ひたすら一緒に過ごしただけだ。
騒いで、わめいて、ケンカして。
ガラガラと重機が瓦礫の山を運び出していく。
私達もここから出て行く。
高校生活はもう、終わってしまった。
短かった仲間との高校生活。
悔いが無いと言えば、嘘になるけど。
ここには仲間がいる。
3ヶ月の短い期間の同級生。
クラスメイト。
今日、この瞬間。
ひとりじゃない。
仲間がここにいる。
一生懸命に、気持ちを繋げた仲間が。
それだけで、きっと。
私達は充実した高校生活を送ったはずだ。
これから先、きっとずっと忘れない。
大切な思い出。
過ごした場所はなくなってしまったけど。
絶対、忘れない。
ありがとう。
さようなら。
私達の高校生活。