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5話

 意味も無く腕を疲れさせる授業を終え、休み時間に入る。



 今更ではあるがこの学校の名前は第3ヒストリア専門高等学校という。どの県にも何校か専門の学校があるのだ。

 そして他の学校と比べて特徴的な要素が何個かある。



 まず1つ、購買にパックが売っている。ヒストリアの専門学校であるため優先的に入荷できるそうだ。最新のパックなんかも普通の店より早く入荷する為、どんなカードが収録されているのか購買の人に聞けばすぐにわかる。



 2つ、どこにでもバトル台がある。校内のどこに移動しても何故か必ず台がある。休み時間とか見に行くとどこもかしこも埋まっている。紬がよくしわくちゃのションボリ顔で帰ってくるのだ。相当競争率が高いのだろう。



 3つ、どうやら生徒会ではヒストリアの実力が重視されるらしい。学力が高くても、ヒストリアの実力がなければ生徒会に入れないという欠陥システムだ。だが確かに生徒会の人からは、オーラみたいなものがあった。周りの人間とは違う、相当な実力者なのだろう。

 周りのオーラを読み取る力なんてなかったんだけどなぁ…もう1人のボクの存在に気づいた時からやけにこう、スピリチュアル的な感じの力が上がってる気がする…


 


 「ねぇねぇ太陽!購買行こうよ!」



 「行ってもいいけど…新弾なんてまだ先の話だろ」



 「そうなんだけど、もっと色んなカードを見てみたいの!」



 「はぁ、ネットで調べりゃ1発でわかるけどなぁ…」



 「んもー、ロマンがないなぁ…実物を手に取ってナンボでしょ!」



 「はいはいわかったよ、行こうか。買いすぎないでよ、またお母さんに怒られても知らないからね」



 「うっ…気をつける…」



 彼女は厄介なことに若干コレクター気質なのだ…僕もレアカードとかかっこいいカードには興味あるけど、お小遣いの大半をパックで使う事はない。彼女は過去に何回かそれをやっており一時期はお小遣いを減額されたほどである。それを止めるのが今回の僕の役目だ。



 ちなみにこの世界のカードの値段は物によってかなり差がある。世界チャンピオンが使っていた、そんな理由だけで何十万もの値が付いたりする。そのカードがさほど強く無くてもだ。

 故にそのカードのレアリティ次第では、単品よりも収録されているパックを大量に買う方が安くなる事が多い。



 何度も言っているが素のパワーが高いカードが好まれる。僕や紬の使うカード群は需要に対して供給が多すぎるのだ。僕達のデッキはショップの格安ストレージを漁ればかなり簡単に作れる。一部イラストなどの理由で高くなるがそれくらいだ。互いにカードを集め交換し、組み上げた、これは絆のデッキと言えるだろう。



 「太陽は何か買うの?」



 「んー僕は買わないかな」



 「わかった、欲しいのあったら交換しようね!フンフンフフ〜ン♪フンフフ〜ン♪」



 「はいはい…あだッ、ごめんなさい!」



 「おっと、すまねぇな」




 そんな風に会話しながら歩いていると背の高い男子生徒にぶつかってしまった。手には大量の買い物袋。ふむ…これは多分…



 「紬、購買行ってもいいけどあんまり期待しない方がいいと思うよ」



 「え、何で?」



 「行けばわかるさ」



 そんな訳で購買の前に着いたのだが…



 「ごめんなさいね〜今日はパック売り切れちゃったの…」



 「え、えぇぇぇ!?嘘、どうしてですか!?」



 「ちょうどさっき背の高い男の子が来てねぇ…残ってたパック全て買ってっちゃったのよ」



 「そんなぁ…」



 女の子がそんなしわくちゃな顔したらダメだろ…どんだけショックなんだよ…



 「言っただろ、期待しないほうがいいって」



 「んもー、太陽は何でそれ知ってたの!」



 「さっきぶつかった人、あの人が手に大量の袋持っててさ。紬はよくわからん鼻歌してたから気づかなかっただろうけど」



 「う、全然気づかなかった…」



 「上履きの色的に俺たちと同じ1年だろうな。組はわからないけど、その内合同授業で一緒にバトルする機会があるんじゃないか?」



 「ほんと?なら楽しみだなぁ、どんなデッキ使うんだろ」



 「多分相当強いと思う」



 「根拠はいつもの"カン"ってやつ?」



 「そうだね、間違い無いと思うよ」


 

 「太陽のヒストリアに関するカンはよく当たるからなー、きっとそうなんだろうね」



 まあ勘というかオーラなんだけどね。ただいつもとオーラの感じが違った。生徒会の人達から感じる強者のオーラではなく曲者といった感じのオーラだ。恐らく一筋縄ではいかないだろう、定石などが通じないタイプだ。



 あとなんで長ランなんだろう…この学校の制服ブレザーなのに…





 無駄な時間の使い方をしてしまった休み時間、次の授業は話をしていた合同授業だ。今回の合同クラスは僕達AクラスとBクラス、他クラスとの関わりが無いからどんな人達がいるのか少し気になる。

 "ボク"が出てきても驚いたりしない人と友達になれたら良いなぁ…やっぱり人並みに友達は欲しいよね…



 「さて、今回はBクラスとの合同授業です。まずは色んな相手とバトルし経験を積む事。それがプロプレイヤーの第一歩です。それでは各自相手を探してバトルを申し込んでください。勝敗が決まった後はこちらのノートに相手と結果を書く事、サボる事は許しませんよ!」



 つくづく僕に厳しい授業である… もう少しゆとりをだな…第一1日に何回ヒストリアの授業やるんだよ… とにかく相手探すか…



 「あ、さっきの長ランの…」



 「んお、お前はさっきの…」



 どうやらパック買い占め長ランマンはBクラスの人だったらしい。ヒストリアがやれると聞いて黙ってないのが"ボク"だ。それも今までとは違うタイプのセージ。



 『相棒!いいか、いいよな!』



 『はぁ、わかったよ…頼むからあんまり派手な事しないでね…』



 『任せとけって!派手な事なんてほんとにちょっと、ちょーっとだけだからよ!』



 『既に信用できないよ…ほどほどにね』



 『あいよ!』



 何度味わっても慣れない感覚、深海を漂うような感じだ。そうして僕とボクが切り替わる。



 「なあ、お前強いか?」



 「俺は強いぜ」



 今までとは違うオーラの感じ、少し気になっていた。あっちからやるって言うならどんなもんか試してやる。



 「俺とバトルしろよ」



 「おう、やろうぜ。あんた名前は?俺は日向太陽」



 「俺か?俺は赤城快斗、よろしくな!」



 今までのテンプレ無個性セージ共じゃ退屈してたんだ。楽しませてくれよ!



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