人を偲べば
掲載日:2021/11/17
早くに父を亡くして、祖母、それから母と失くしてしまいました。幸いなことに、いまのわたしを取り巻く環境の中では、当面、そういった心配はなさそうです。
ですが、それだけに、たまに人を送ることがあると気分が沈んだりします。そういうときは、何も考えずに進められる作業が向いています。
休日の朝から、おでんの下準備を始めて、ひたすら焦がさないように、煮崩さないようにとろ火で煮込んでいると、秋の一日も長いのだなと思います。料理は、気分転換には不向きかもしれません。
人を送れば、このからだ つなぎ止めたる糸の、また
残り儚く 死を想う こころ強くもなりにける
祖母を偲べば、夏休み、ずっと、昼間を病院で
看ていた頃の繰り言の いまも、時々こだまする
父を偲べば、幼き日 精霊舟を流すため
船にて、沖で母と見た 暗い海原おもわれる
母を偲べば、病むを得て、管に生かさる痩せこけた
姿ばかりの病室の 窓の明るさ浮かびくる
我を想えば、細やかな 送りであれと願いつつ
きみの姿のなきそれを 少し哀しく描きだす
人を送れば、淋しさは 募るばかりの秋の日の
休みの朝に、夕食の おでんの鍋をひとり煮る




