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第31話『おつかれさま』

 火曜日からも午前中は学校で期末試験。咲夜、紗衣、麗奈先輩とお昼ご飯を食べた後、咲夜か麗奈先輩、俺の家のどこかで翌日の試験科目の勉強を行なった。俺の家で勉強したときは小雪も一緒に勉強をした。

 去年までは定期試験の勉強はもちろん自分一人でやって、たまに小雪の宿題を手伝ってあげたくらい。なので、試験勉強は1人でやった方が良さそうだと思うほどだった。ただ、咲夜や紗衣、小雪にも勉強を教えることで理解を深めることができたので、誰かと一緒にいいなと思えるようになった。




「颯人君、期末試験終わったね!」

「ああ、そうだな。お疲れさん」

「お疲れ様!」


 7月5日、金曜日。

 正午過ぎ。全科目の期末試験が終わり、終礼もつつがなく終わると、咲夜はとっても嬉しそうな様子で俺のところまでやってきたのだ。小動物のようで可愛らしい。


「苦手な科目はあるけれど、颯人君達に教えてもらったおかげか赤点はないと思う。これまでにない達成感だよ! 試験が終わった開放感もあるし。ありがとう!」

「どういたしまして」


 期末試験の結果は来週の授業で順次返却されるけれど、今は試験が終わった達成感や開放感に浸ってもいいか。

 どの教科も何度も見直したから、解答欄を間違えて記入したということもないだろうし、赤点を取ってしまうことはないだろう。


「颯人、咲夜」


 廊下の方から俺達を呼ぶ声が聞こえたのでそちらを見てみると、紗衣がこちらに小さく手を振りながら歩いてくる。定期試験が終わったからか、咲夜ほどではないが表情が明るい。そんな彼女にキュンとするのか、いつも以上に女子生徒から黄色い声が。


「颯人、咲夜、期末試験お疲れ様」

「お疲れ様、紗衣ちゃん!」

「お疲れさん、紗衣」


 咲夜は期末試験が終わったことが嬉しいのか、紗衣とハイタッチをする。そんな咲夜に対してクールな紗衣も声に出して笑っている。

 紗衣とハイタッチをしてますますテンションが上がったのか、咲夜は俺ともハイタッチをしようとする。まあ、期末試験も終わったんだし、付き合うことにするか。こういうことは今までやったことがないし、いかにも友人らしい行動とも言えそうだから。


「ほい、咲夜」

「うん。お疲れ様!」


 そう言って、咲夜の方からハイタッチをする。凄く嬉しそうな表情だけど、両手が触れた瞬間にちょっと照れくさそうにしていた。

 咲夜の流れで紗衣も俺にハイタッチをしてくる。彼女は咲夜のように照れる様子はなく、爽やかな笑みのままだった。

 ハイタッチをしていると、紗衣が来たとき以上に教室がざわざわする。月曜日には何事かと思ったけれど、金曜日にもなるとこうなる原因が何なのかはすぐに想像がつく。

 扉の方を見ると……やっぱり麗奈先輩がいた。俺と目が合うと、先輩は嬉しそうな様子で手を振ってくる。


「みんな、期末試験お疲れ様。どうだったかな?」

「会長さん達が教えてくれたおかげで赤点はないと思います!」

「それは良かったね、咲夜ちゃん。赤点があると夏休みも課題や補習で大変だからね。はやちゃんや紗衣ちゃんはどうかな?」

「俺はどの科目も手応えがありました」

「私も結構できたと思います。苦手な文系科目もみんなのおかげで赤点はないかと」

「そっか。みんな何とかなったようで良かった。私もよくできたと思うわ」

「さすがです、会長さん! 期末試験も終わりましたから、ハイタッチをしましょう」

「そうだね!」


 咲夜と麗奈先輩は元気にハイタッチをする。期末試験が終わって嬉しいのか、2人ともいい笑顔になって可愛らしいな。

 また、麗奈先輩は紗衣、俺の順番でハイタッチをしてくる。紗衣としたときは変わらぬ笑みだったけれど、俺としたときは顔を赤くしてニヤけていた。


「さてと、期末試験もこれで終わりましたし、みんなでカラオケとかで打ち上げでもしますか? でも、まずはお昼ご飯ですよね!」

「みんなで打ち上げしたいんだけど、生徒会の仕事が今日から再開するの。だから、生徒会室で食べるお弁当を持ってきていて。ごめんね」

「私も今日はひさしぶりのバイトがあるんだ。でも、午後2時からだから、駅の近くのお店で食事をするなら大丈夫だよ」

「そうですか……」


 今日の放課後のことを楽しみにしていたのか、咲夜は麗奈先輩や紗衣の予定を聞いてがっかりとした様子。生徒会の活動は今日の放課後から再開するのかな。紗衣も1週間ぶりくらいのバイトだもんな。

 そういえば、今日は部活用のバッグを持ってきていたクラスメイトもいたな。中学だけど、小雪も今日から美術部の活動ができるって喜んでいたし。


「ただ、私も咲夜ちゃんと一緒で、みんなと打ち上げようなことをしたいなって思っていて。そこで3人に訊きたいことがあるんだけど、日曜日の夕方から夜にかけては予定空いてる?」

「あたしは空いていますよ」

「日曜日は……バイトは昼過ぎまでなので、夕方からなら平気です」

「俺は……小雪次第ですね。毎年、駅の近くでやっている七夕祭りに行くんですけど、俺は小雪とその友達の付き添いをしているんです。ただ、中学生になったので、今年からは友達だけで行こうかなと小雪が言っていて」


 もちろん、付き添いの理由は小雪達が変な人に絡まれないようにするため。あと、たまにお菓子とかゲームの代金を俺に支払わせるため。そういったことや、小雪のフォローもあってか、小雪の友達にはあまり恐がられていない……と信じたい。


「小さい頃、颯人や小雪ちゃん、兄さんと一緒に七夕祭りに行ったよね。去年は受験勉強の気分転換ってことで、中学の友達と一緒に行ったな。そこで颯人や小雪ちゃん達とも会ったよね」

「そうだったな」


 紗衣の中学時代の友達、俺の姿を見て恐がっていたけれど。


「七夕祭りかぁ。あたしも毎年行ってるよ。去年は……あっ、宏実達と行ったんだよね……」


 はああっ、と咲夜は深くため息をついている。縁切りされてしまってから半月以上経つけれど、田中のことを思い出すと今でも気分は下がってしまうか。そんな咲夜の頭を紗衣が優しく撫でている。


「実はみんなに誘いたいのは、その七夕祭りなの。人は多いけれど、みんなで遊ぶことができたらいいなと思って」

「あたしは賛成です! 紗衣ちゃんはどうかな?」

「うん、私も行く」

「咲夜ちゃんと紗衣ちゃんは行くと。はやちゃんは?」

「俺も行きます。小雪とは後で相談します」

「分かった。小雪ちゃんとどうするか決まったら、電話かメッセージで伝えてくれるかな」

「分かりました」


 小雪はこのことを話したらどんな反応をするだろう。俺達と一緒に回ると言うのか。それとも、お互いに友達同士で楽しもうと言うのか。


「じゃあ、日曜日の夕方からみんなで七夕祭りに行こうね。待ち合わせ場所や時間は、追々グループトークで話し合うことにしようか」

「分かりました!」


 咲夜、とても楽しみなのか元気に返事をしている。

 去年までは妹達の付き添いだったけれど、今年は友達と一緒に行くのか。七夕祭りに行くのは毎年恒例だけれど、結構楽しみだな。

 その後、俺は咲夜達と一緒に教室を後にし、麗奈先輩とは生徒会室の前で別れた。

 紗衣は2時からバイトがあるということなので、駅前のショッピングモールの中にあるパスタ屋さんに行き、3人でプチ打ち上げをするのであった。

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