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第5話 領主、ダンジョンを作る

 あれからキマドリウスが行ったのはダンジョンの作成だ。

 屋敷から一時間程歩いたところにある平野を土魔術で変えていった。


 まずは入り口を作った。

 四角い箱の形をした巨大な石造りの建物を地上に作り、その中に地下へと続く通路を作った。


 だがこれに関しては彼もまだ不満がある。

 前に彼がいたダンジョンに比べれば貧相だからだ。

 しかし大きく豪華にすれば手間がかかるので、今の所はこれでよしとした。


 次にダンジョンそのものを作った。

 通路を作り、小部屋やボス部屋を作った。


 その作業を5階層分。

 一週間という短い時間の中で考えれば異常な速さだろう。


 そうして領主キマドリウスのダンジョンは出来上がったのだが……しかし、肝心のモンスターがいない。

 だがこれでいいのだ。

 今から生み出すのだから──


「スキル『ダンジョンの主』発動!!」


 ダンジョンの現在最下層である5階層。

 そこでキマドリウスは高らかに宣言しながら、手を前に突き出した。


 すると手の前に光が集束し始めた。

 その光はしばらくした後、水晶を形どった。


 この水晶こそがこの地下迷宮をダンジョンに変え、モンスターを発生させる鍵だ。

 そしてキマドリウスがダンジョンの主である証でもある。


「よし。これで俺がこのダンジョンの主となった。じゃあ始めるか……」


 彼はそっと水晶に触れた。

 そして、


「我が魔力を捧げ、ダンジョンに願う。我に眷属を与え給え!」


 そう詠唱し、魔力をこめた。


「うおおおぉぉぉ!!」


 彼は全魔力を注ぎこんだ。


 そしてまばゆい光と共に現れたのは――1匹のゴブリンだった。


 ゴブリン――

 緑色の身体に尖った耳をした人型のモンスターだ。

 邪悪とよく言われるが、どちらかというと小さくて可愛らしい。

 ……見た目だけは。


「ふぅ……元魔王とはいえ、レベル1ならこれが限界か……」


 はっきり言って、ゴブリンは最下級クラスのモンスターだ。

 知力も器用さもさほど高くないし、何より戦闘力が弱い。

 一匹だけなら農夫にもぼろ負けする。


「え、えっと……これからよろしく。俺はこのダンジョンの主だ」


「こちらこそよろしくゴブ!」


 ゴブリンは敬礼した。


「ずいぶんと分かりやすい語尾で助かるよ……」


「ごび? ごぶと似てるゴブ! ギャハハハハ!!」


 ゴブリンは腹を抱えて笑い出した。


「お、おぉそうだな……」


 (こいつ……めんどくせええええぇぇぇぇ!!!)


 キマドリウスは声を荒げたくなるのを必死に抑え、平静を保った。


「ハハハ……面白かったでゴブよ。で、主様のことはなんとお呼びすればいいゴブか?」


「……あぁ、それならキマでよい」


「分かりましたキマ様!」


 ゴブリンは再度敬礼をした。


 (はぁ……これからが思いやられるな……)


 こうして、キマドリウスの新たなダンジョン製作はひとまず終わった。


 ◆領主生活8日目


 領民:252人

 ダンジョン:5階層

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