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第27話 領主、運が良い

 ――ガチャ。


 とキマドリウスは宿屋の扉を開く。


 すると、店内には既に二組の客が席に座っている。


 一組目は4人組の冒険者。

 おそらくこれからダイーオのダンジョン攻略に向かうのだろう。


 もう一組は3人のドワーフと2人の人間。

 近くに置かれた大きな荷物から、考えられる可能性は旅人。

 どこか別の領地に行く最中なのだろう。


「段々と人が来るようになったな、この領地も」


「前まではこの宿屋すら無く、ただの"道路"でしたからね」


「道路って……口が悪いな」


 そんな事をいいながらも、彼等3人は席に着いた。


 そこはドワーフと人間たちの旅人が座る席の後ろ。

 必然的に彼らの話し声が聞こえてくる。


「……いやー、にしても雇ってくれるかな?」


「その為に俺達がいるんだろ。"元"商人なんだから信用してくれよ」


「でもいくら元の職場が最悪だからって転職するのには勇気がいるな……」


「もう腹をくくっただろ。それにここまで来たら、もう後戻りできねぇよ」


 (どこかの領地から他の領地へと、職を求めて旅をしているのか?)


 キマドリウスは後ろの席の話が気になった。

 なので、もう少し聞き耳を立てる事にしてみた。


「でも雇ってくれるかな? 俺達……中途採用になるんだぜ」


「大丈夫大丈夫、俺の『交渉』スキルで何としてやるから」


「でも面接は個人面接だぜ……」


「なんでそんなにマイナス思考なんだよ! お前は技術があるんだから、胸を張っていればいいんだよ!」


「でも『建築』スキルと『加工』スキルなんて、ありふれたスキルだよ……」


 (ん!? 『建築』と『加工』!?)


「おい!! お前達は何者だ!!!」


 キマドリウスは突然席から立ち上がる。


「な、なんだ!?」


「だ、誰だお前!?」


 当然、旅人たちは驚く。

 だが彼は気にも留めない。


「俺の名はキマ、このダイーオの領主だ!」


「えええ!? 領主様が何故!?」

「いや、いきなりすぎるでしょ!!」

「なになになに!!?」


 領主という肩書が彼らを更に驚かせる。


「えぇい!! うるさいうるさい! 一度静かにしろ!」


「お、おう……」

「す、すいません!」


 キマドリウスは無理矢理彼らを黙らせる。

 そして自らの話に無理矢理持っていく。


「再度聞く! お前達は何者だ!」


「お、俺達はザキーミャから来た商人と大工です」


「ほう……」


「な、なにか、気に障る事を言いましたか?」


「違う!」


「ひぃっ!!」


 いつもとは異なるキマドリウス。

 だが、その理由はすぐに明らかになる。


「俺はお前達を――雇いたいのだ!!」


「……え?」


 突飛すぎるスカウトに旅人たちはぽかんとしてしまう。


「そ、それはどういう……?」


「お前達は就職先を探しているだろう。今この領地では商人と大工を求めている、だからお前達を雇いたいのだ」


「い、いいんですか……?」


「あぁ勿論だ」


 眩いキマドリウスの笑顔。

 だが、そんな事を話していると、


「さっきからうるせぇんだよお前らああぁぁ!!」


「マーーージでうるせぇなお前ら!!」


「もういい! はやくダンジョンに行こうぜ!!」


「そうだな!!」


 4人の冒険者がキレ気味に宿屋から出て行った。


「……領主様の責任ですね」


「う、うん……」


 (なんか彼らの様子も気になるし、ダンジョンに行こうかな)


 そう考え、彼は冒険者を追ってダンジョンへと向かった。

 それも領主キマとしてではなく、ダンジョンボスとして。

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