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第26話 領主、大工見習いのやる気に驚く

「うおおぉぉ! 資材を運べええぇぇ!!」


 と、3人の大工見習いが走って来た。


「朝からやる気満々だな」


「うおおぉぉ!!」


 大工見習い達は大量の資材の元に着くなり、その資材をどんどんと次の建設予定地に運んでいく。


 はっきり言って、異常な程やる気がある。

 それにアオイが不審がらない訳も無く、


「……洗脳でもしたんですか?」


「そんな事してない!」


「異常すぎませんか? 雪の日の小学生でも、もう少し落ち着いてますよ」


「しょうが、くせい? 生姜臭いのか?」


「……は? やっぱり領主様は"あほ"なのですか?」


「えええ!? 急に言葉のナイフが飛んで来るっ!!」


 と、二人が話していると、


「よぉ二人とも」


 ドワーフの大工がやって来た。


「おぉ……ゾレムか」


「おはようございます、ゾレムさん」


「二人共、朝から仲が良いな。でも人前でいちゃつくのはやめておいた方がいいぜ」


「い、いちゃついてねーし!!」


 思春期の中学生みたいな反応をするキマドリウス。

 ……小学生よりはマシなのだろうか?


 だがそんな彼とは違い、アオイは冷静だ。


「そんな事より、あの3人はどうしたんでしょうか?」


「あぁ……あいつらか」


「もしかして元気になる不思議な薬でも使っているのでしょうか?」


「そんな事してねぇよ!」


「では何故あれ程までに、やる気に満ちているのでしょうか?」


「やっぱ労働条件なんじゃないのか?」


 労働条件でやる気に満ちている。

 その言葉に、労働条件を決めた本人は疑問を持っている。


「そんなに変わるものか?」


「大いに変わるさ。長時間で低収入なら真面目にやる奴は少ないが、短時間で高収入なら誰だってやる気出すだろ」


「まぁ確かにな」


 一応は腑に落ちた。

 だが、それを加味してもあまりあるやる気。


「別にやる気がある事はいい事だが、あのままでは身体がもたないだろう。ちゃんと休ませてやれよ」


「あぁ、勿論わかっとる」


 ゾレムの返事を聞き、キマドリウスは優しげな笑みを浮かべる。

 そしてそれを皮切りに、本題を切り出した。


「じゃあ現在の大工2人、大工見習い3人で、あの建物を作り終えるにはどれくらいかかる?」


「あの元冒険者達の中に少しだけ魔術を使える奴がいる。そいつの力を借りれば、1ヶ月ちょいって所だな」


「そうか……うーん」


 1ヶ月と少し。

 それはキマドリウスの予測よりは短い期間だ。

 だが欲を言えば、もっと早くに終わらせるか、同時進行でもう一軒の建築して欲しい。


 最近はダンジョンにやってくる冒険者の数も増え、1日に平均一組来るようになった。

 そしてそんな冒険者の定住者はまだ、やる気三人組とマッキーだけだが、確実にこれから増えていく事だろう。

 その時、宿屋が足りませんでしたでは困るのだ。


「やはり大工の数が足りないな」


「そうだな。俺としても、一から鍛えてもいいんだが、そもそも鍛える相手がいないしな」


「うーん」


 悩む二人。

 だがそうそうに解決策が出てくるはずも無い。

 それに、こんな道端で考えていては出てくるものも出てこないだろう。


 だから、はたから二人を見ていたアオイが、


「取り合えず、お昼にしませんか?」


 そう提案した。


「そうだな、飯を食ってエネルギー補給と行こうか」


「賛成だ、俺も少し喉が渇いた」


「では、行きましょうか」


 そうして3人は宿屋の一階にある食堂へと向かった。

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