第13話 領主、ゴブリンを鍛える
「ふふふーん、ふっふっふふーん♪」
商人との商談を終えたキマドリウスは、森にある隠し通路からダンジョンの5階層へと降りて行った。
そして5階層に着いたところで、
「キマ様! ちょうどいい所に来てくれたゴブ!」
「そうだコボ!」
ゴブリンとコボルトが一匹ずつ、彼の元に寄ってきた。
「どうしたんだ?」
「さっき冒険者が来て、こいつがやられちゃったゴブ!」
ゴブリンは背中にもう一匹のゴブリンをおんぶしている。
しかもその背負われているゴブリンは背中から血を流している。
「そいつを寝かせてくれ」
「分かったゴブ!」
キマドリウスに指示され、ゴブリンは仲間を床に寝させた。
そしてキマドリウスは傷ついたゴブリンに右腕を伸ばし、
「はああぁぁ!!」
回復魔術を発動させた。
「ご、ゴブ……」
それによって背中の傷が塞がり、徐々にゴブリンの容態が良くなっていく。
そしてそれ程時間を待たずして、ゴブリンの傷はすぐに治った。
「これで治ったぞ。……だが、しばらくは安静にしておけ」
「……ありがとうゴブ、キマ様」
ゴブリンは弱々しくも、キマドリウスに感謝した。
「気にするな、お前達を生み出したのは俺とこのダンジョンだ。だから俺にはお前達を助ける義務がある。……それより、いつまでも俺が回復する訳にもいかないし、ヒーラーが必要だな」
回復魔術を使えるモンスターは必須だ。
しかし回復魔術の使えるモンスターは今のキマドリウスでは呼べない。
なら選択肢は二つ。
キマドリウスが強くなってより上位のモンスターを呼べるようになるか、
それとも"今いるモンスターに覚えさせる"かだ。
「よし。ゴブリンを5階層の広間に集めてくれ。コボルトはダンジョンの防衛を継続だ」
「わかったゴブ!」
「了解コボ!」
◇◇◇
ダンジョン5階層、最深部の手前にある大広間。
そこで、
「よく集まった、ゴブリン諸君!」
キマドリウスはいつものようにマントをはためかせる。
「ゴブ―!」
「ゴブゴブー!」
この場にいるのはキマドリウスと3匹のゴブリン。
先程怪我したゴブリンは休憩室で休憩中だ。
「今日は君たちに魔術というものを教えてしんぜよう!」
「キマ様、それはいいんですが……何で眼帯してるゴブ? それに、そのベレー帽には意味があるゴブか?」
何故かキマドリウスは眼帯とベレー帽をつけている。
ゴブリンが不思議に思うのも無理ないだろう。
「これは訓練をする際の正装だ! それに今の俺はキマ様ではない! キマ教官と呼ぶのだ!」
「は、はい、キマ教官!」
「よーし、良い返事だ! では、このキマ軍曹が早速魔術を教えていくぞ!」
「キマ教官じゃないのかゴブ……」
その後、キマドリウス……キマ軍曹はゴブリン達に魔術を教えた。
そして「そうだ、細かい魔術式はいい。腕の先に魔力を集中させるんだ」「魔力を上手く魔術に変換するんだ。腕の中で魔力が渦を巻くイメージだ」と指導しながらも、一応ゴブリン達は魔術を使えるようになった。
「やったゴブ! 魔術が使えるようになったゴブ!」
「これでゴブも冒険者に勝てるゴブ! ありがとうキマ軍曹!」
「フハハ! これでも悪魔魔術学院卒なのだ。初級魔術を教えるくらい、このキマ先生にとっては赤子の手をひねるようなものだ!」
キマドリウス……キマ先生は、全員に回復魔術を教えた訳では無い。
一匹には簡単な火属性魔術を、一匹には支援魔術を、そして一匹には回復魔術を教えた。
そして3匹の『ゴブリン』は『ゴブリンウィザード』『ゴブリンサポーター』『ゴブリンヒーラー』にジョブチェンジした。
◆領主生活14日目
領民:252人
ダンジョン:5階層




