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第11話 領主、職を与える

「俺ならここにいるぞ」


「おお、丁度よかったですのう」


 4人の老人は嬉しそうだ。

 老体に鞭打って探す必要が無くなったからだろう。


「どうかしたのか?」


「前に領主様が、商店や宿屋を作るこっちへ移住して欲しいって言ってたじゃないですか」


「あぁ言ったな」


「それで、職を探しに来たんです」


「そういう事か」


 おそらく、仕事をしたいが年ゆえに畑仕事などの肉体労働がきつく、こちらなら出来ると踏んだのだろう。

 そして丁度、キマドリウスにもやってもらいたい仕事があった。


「なら、是非やってもらいたい仕事がある! こっちだ!」


 そう言うなりキマドリウスは宿屋から出た。

 そして宿から10数メートル程、ダンジョンの目の前に来ると、


「『集え』」


 一言詠唱し、地面から石を隆起させる。


「おおぉぉ!!」


 その様子を老人たちは驚いた様子で見ている。

 そしてそんな驚きを裏切らず、地面から隆起した石はすぐに受付を形どった。


「ふぅ……屋根付き窓付きでスタッフルーム有り、内装は……後日ドワーフに頼む事にする」


 ダンジョン入り口のすぐ横に作られたそれは、受付というより大きめの移動販売車に近い。

 なんでこんなものを作ったかというと……。


「お前達にはこれからここで、ダンジョンの受付をやってもらいたい。要はダンジョンに入る冒険者から一人銅貨一枚を搾り取るんだ、フハハハハ!」


「これならわしらでも働けるのう」


「風通しも悪くなさそうじゃしの」


 老人たちは『ダンジョンの受付』という新しい職業に前向きだ。

 だが、


「安心するのは早いぞ。何故なら俺の与える仕事は厳しいからな……」


「なん……じゃと……」


「……ごくっ」


 微かな緊張が走る。


 労働環境……それは働く上で何よりも大切なものだ。

 いかに給料が良かろうと、ブラックでは人が離れ、いかに給料が悪かろうと、楽な仕事なら人は集まる。

 そしてキマドリウスは――


「よく聞け! お前達はこれから最大で一日八時間労働、最低週休二日、一時間の労働のたびに15分の休憩を課す!!」


「5時間働いて、実働4時間……っ!」


「更に、昼休憩は30分! 昼食は必ず食べろ!」


「プラス30分……っ!」


「休憩も立派な仕事だ……よって休憩時間も給料を出す!」


「休憩も仕事……っ!」


「水分補給や食事はしっかりする事! 怠った結果倒れたら、俺が助けなければならんからな!」


「助けてくれる……っ!」


 スーパーホワイトッ!

 圧倒的、スーパーホワイトッッ!!


 キマドリウスは人間の労働環境を全く分かっていない。

 あくまで彼の労働基準はモンスターや悪魔なのだ。


「フハハ! 元の職場ではこの地獄のような労働環境に耐えられず、何人もの軟弱者が逃げ出した! 果たして貴様らは耐えられるかな!」


「うぅ……うぅ……」


「なっ!? 何を泣いておる! むぅ……仕方ない、昼休憩を15分延長してやろう……」


「「「「いや、もういいです!!!」」」」


「うおぉ!! そうか……分かった」


 こうして、老人達は『ダンジョンの受付スーパーホワイト』という職に就いた。


 そしてキマドリウスは「厳しすぎたかなぁ……?」と頭を悩ましながら屋敷へと帰って行った。


 ◆領主生活11日目


 領民:252人

 ダンジョン:5階層

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