愛の叫び
そして私は独りになった。
それは、立春の前日の事だった。
炊飯器からの臭いが最近はもっぱらだめになってきた。 鍋にレンジに台所は忙しない。
夫の帰りをいつものように待っていた。
夫と出会ったのには2年前。出会いのなかった自分はマッチングアプリで相手を探していた。
別に結婚願望があったわけでない。
骨の髄まで満足させてくれる。いわゆるセフレというのが欲しかった。
夫は3人目だった。
1人目に出会った男は酒が弱く元カノの事を未練がましく話す女々しいやつだった。
安い居酒屋で呑んだくれて終いには私の容姿を査定し始め、腹が立って言葉が出なかったのは初めてだった。
気づくと自分は右手に空のビールジョッキを持っていた。興ざめてこちらを見ている女々しいやつ。
そのまま店を後にしたのは、今となっては女子会での笑い話だ。
2人目の男は、車の話ばかりしていた。
伸びきった爪、足元は小汚い一回り大きいサンダル。
あまりに退屈でドライブの最中にうたた寝をしてしまった。
重たい瞼を開けると無造作に伸ばした髭が唇にあたりヒョンな声を上げてそのまま帰ってしまった。
ろくな男は居ない、次の男がダメならサイトは退会しよう。そう思い、後の夫になる奴とあった。
夏の蒸し暑い夕方だった。最寄駅でそれらしい男を探した。
赤い服。アカイフク。。。
時計の針は待ち合わせの7時半を指していた。
田舎とはいえ、この時間は別格だ。人混みをかき分けそれらしき奴をさがす。
スターバックスの入り口付近で携帯を触っていた。赤い服に 青のパンツ。コントラスト。興ざめた。
「だっさ。帰ろ。」小さく
呟いた声は人混みでもみ消された。
サイトのチャット画面を閉じ。北口へと体の向きを変えた。その時だった。