謎メニュー
戸の向こうに誰かが立っていた。そう、客だ。
「焦げ臭い...」
そう言いながら客が戸を閉めようとすると
「「いらっしゃいませ!」」
「こちらへどうぞ!」
「は...はい」
「こちら、メニューとなります。」
何だコイツら。客が来たとたん急に勤務態度がよくなったぞ。それに何でコックが接客してんだ?てか、もう一人は何処に行った?
そうこうしているうちに、客の注文が決まったようだ。
「味噌汁ください」
その客は、中華料理店でわざわざ味噌汁を注文した。
「おい、ここは中華料理店だから味噌汁は無いぞ」
「ありますよ」
「へ?だってここは中華飯店だろ?」
「ですよ」
「じゃあ、なんで味噌汁が?」
「やだなー、知らないんですか?ここは中華飯店ですけど、味噌汁専門の中華飯店ですよ。」
「み、味噌汁...専門?」
「ほら、見てください。向かい側の店は麻婆豆腐専門店でその隣はフカヒレ専門店」
本当だ。ちゃんと幟に書いてある。
「つまるところここは中華味噌汁の店?」
「そうですよ。何回聞けば気がすむのですか?そんなことよりもほら、お客様がお待ちですよ。」
そうだった。すっかり忘れていたが、今は接客に集中だ。ってなんで監視役が接客させられてるんだ?