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ワラベノエンド  作者: 倉 奈ノ佳
三章〜殺人犯の話〜
16/17

#15 事件は突然に

 三人目の犠牲者が出てしまい、プレイヤーは残り九人となった。一茶はまだ小学五年生なのに、自ら死を選んだのだ。意志は強かったけど、いざとなると怖かっただろう。それにしても、何で今回は夜のうちにテーマが発表されないのだろうか。もう11時半なのに。


「イレギュラーなので、いつも以上に不安になりますね。念の為、今日は私の部屋にお泊り下さい。」


「え、二人なんて安全保障出来てないわよ?私も泊まるわ。」


「確かに、三人の方が保障出来ますよね。いいですよ。」


そうして、俺とアンはジョンの部屋に泊まる事になった。


「そういえば…このゲームが終わったら、二人はどうするつもりなの?」


「俺は、ジョンとも一緒に普通の生活をしたいな。」


「桃太様…!私も、また小河家の皆様と平和に暮らしたいです。」


「二人共本当に息が合うわね。でも、執事がいる時点で普通ではないわよ、桃太。」


はいはい。


「じゃあ、アンさんはどうなのですか?」


「私は…生き別れたお兄ちゃんに会いに行きたいの。あと、ボランティア活動にもっと参加したいの。」


アンにはお兄さんがいるのか。…あれ、生き別れ?


「小さい頃に親が離婚して、私はお母さんの方について行ったけど、お兄ちゃんはお父さんの方に行ったの。お母さんは病気で死んじゃったから、今私はおじいちゃん達と暮らしているのよ。」


「…辛い事を思い出させて申し訳ありません…。」


「いいのよ。それと、脱出出来たら桃太達の連絡先教えてほしいの。友達から、始めたくて。」


「何言ってんだ、もう友達だろ。それに、“脱出出来たら”じゃない。脱出するんだ。」


「あ、今格好良かったですよ。」


「おい、そういうのやめろよー。」


「ふふ。…じゃあ、そろそろ寝るわね。おやすみ。」


「俺も。おやすみ。」


「おやすみなさい。私はもう少し起きてますね。」




 朝になって招集がかかった。今、丁度広間に着いた所だ。次のテーマの発表だろうな、どうせ。


「次のテーマを発表します。…が、その前にお知らせがあります。昨晩の間に、殺人事件が発生しました。現場に向かって下さい。」


殺人事件…?えっと、この場にいない人は…。


「現場って、神久夜さんの部屋…?」


「神久夜さんって、確か能力分かっていなかったわよね?…兎に角、行ってみましょう。」




 神久夜さんの部屋に入ると、電気は点けっぱなしだった。部屋を見回すと、ベッドの近くで倒れている神久夜さんを見つけた。腹部を損傷しているようだ。


「神久夜さん!神久夜さん!」


「…桃太様、ワラベはさっき何と言っていました?」


えっと、殺人事け…あっ!つまりは、神久夜さんは亡くなっている…?


「やっぱりですか…。もう死後硬直が進んでいます。亡くなってすぐ、という訳でもないのでしょう。」


あぁ…なんで急に、何があったんだろうか。


「ではここで質問です。今回のテーマは何でしょうか。」


はぁ⁉普通に教えてくれよ!


「はい。」


「何ですか、スーザンさん。」


「殺人事件と言っていましたし…『犯人』、とかでしょうか…?」


「正解です。それも、貴方達八人の中に犯人がいます。そこで、誰が犯人なのかを推理して、その人に投票していただくという感じです。ですから、今回のテーマは『殺人犯』です。」


す、推理…?いきなり犯人を見つけろと?ちょっと無茶にも思える。それに、神久夜さんなら推理ゲーム経験者だけど、彼女は被害者だ。他に誰か経験者はいるのか。もっとも、俺は未経験者だ。


「あれ、でもジョンさんの能力があれば…。」


「と思いますよね?こういうのって、心を読めば一発じゃないですか。でも、世の中そんなに甘くはありませんよ。今回はジョンさんの能力を無効化させていただきます。」


「…やはりそうなりますよね。」


えぇっ、それは凄く困る!


「…あの、私達は…?」


「大丈夫です、皆さんのはそのままですよ。心なんか読めなくても、その能力があれば暴けると思いますよ。」


は?能力で…? 


「そ、それはやっぱり難しいんじゃないかな…?」


「もう一度言いますけど、世の中はそんなに甘くないですよ。能力が与えられているだけマシだと思って下さい。…他、質問があるなら今のうちです。」


「えぇと…神久夜姉ちゃんの能力って、まだ分かってませんよね?」


「あぁ…確かにそうですね。ですが、この部屋の中に手がかりがありますよ。勿論、死体も含めてです。」


死体もって、わざわざ言ったあたり怪しい。他にワラベから聞きたい情報はないな…。


「…他、ないですね?でしたら、今から捜査を始めてください。午後9時に招集をかけるので、それまでにお願いします。では、スタートです。」


遂に、始まった。捜査って言っても、何をすればいいんだ?

甘蜜です、年明けましたねぇ…。

このシリーズの本編更新は久々…ですかね?三章でちょっと急展開を迎えました。書いてみて思ったのですが…書いて面白そうなネタにしたら逆に書きづらい!まぁ、何とか書き進めております…。

次回もお楽しみに!

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