#14 決別と休息
「では票も固まったと思うので、投票して下さい。」
結局誰に入れるか…いや、あのままだと一茶が処刑されるんだよな。気は進まないけど、投票するか…。そうして俺は、一茶に投票した。
「投票が終わったようですね。では、これをご覧下さい。」
票数の一覧だ。自分に投票出来ないが、一茶以外の全員が一茶に投票したようだ。
「今回の犠牲者は…針打一茶さんです。」
「うん、分かってたよ。」
一茶はどこか悲しげに見えた。
「それにしても、一茶さんも含め、ここまでの犠牲者は強いですね。自ら死を選ぶなんて。」
「継ぎたくないし、恩返ししたいからね。…大丈夫、輪廻転生って考えもあるし、また会えるよ!」
明るく笑顔でそう言っていたがけど、作り笑いだろう。泣きそうなのを堪えている。それは俺にも分かった。
「一茶兄ちゃん、待って下さい!“りんねてんせい”って何ですか…?ぼくはキリスト教徒なので、他の宗教については分からないんですけど…やっぱり、まだ離れたくないです…!」
「また生まれ変わる、みたいな考え方で、仏教の考えなんだ。だからそれまで、さよならだね。」
「一茶兄ちゃん…。」
そうして一茶はワラベと去っていった。
一茶の処刑は外で行われた。一茶は能力で小さくなって…はいない。何もない所に一人立っている。何処か分からないが、これだけで終える筈がなかった。巨人が一茶の方に近づいている。この後は誰もが予想する通りで、一茶は逃げようと走っていたが追いつかれ、踏み潰されてしまった。巨人が去った後は何かが残った。多分さっきまで一茶だった何かだろうな、赤くぐちゃぐちゃしていて最早何なのか分からない。圧死か。
「あ…あぁ……一茶、兄ちゃん…?」
ジャックは絶望した顔になっていた。
「ジャック、一茶はお前の事も見てくれてる。一茶だけじゃない、皆の分まで生きなきゃ。」
「うっ…分かりました。一茶兄ちゃん、見てて下さいね…!」
ジャックは何とか泣き止んでくれたようだ。
「…ワラベ、また少し経ったら俺達を呼んで、ゲーム開始なんだろ?」
「いえ、今回は違います。テーマは明日の朝発表とします。個室にはバスルームがありませんし、皆さんお疲れだと思います。今日はまず入浴して下さい。男女で分かれていますので、大浴場に来て下さい。」
お、お風呂…!よかった、入りたかったんだよなー。結構動いたし。
「はわわ〜、何日ぶりのお風呂なんでしょう…。」
「二日ぶり…だね。気持ちいい〜…。」
「これならジャック君も落ち着けるかな?」
「はい、もう大丈夫です!」
「そう、よかった。…桃太君とジョンさんはまだなんですか?」
「いえ、もう少しで洗い終わります。」
ジョンはそう言っているが、彼自身は誰よりも早く洗い終わっている。洗っているのは俺だ。いや、そんな歳じゃないんだけど。俺も自分で洗おうとはしたんだぞ⁉だけど…まぁ、仕方なくって感じだ。…あれ、もう終わったんだ。
「というか、桃太君僕と同い年なのに、まだ洗ってもらってるの?w」
「ばっ、そんな訳ないだろ!普段は自分でやってるぞ、流石に!恥ずかしいわ!」
「じゃあ、何で…?」
「その…久しぶりですし、昔を思い出したのです。懐かしいなって。…そのノリです、私の自己満足にお付き合いさせてしまってすみませんでした。」
「あはは…尽くしたくなるんですね…。」
ジョォーンッッ!!見た目も宜しくないし、俺にはそんな記憶ないぞ!…それにしてもこのお湯、本当に気持ちいいな。
「ふぅ…何だか、凄く疲れましたね。」
「本当にな。」
なんて雑談をしている時のことだ。
「…もー、そんな事ないって。」
「ふふ、冗談よ。アンって案外単純なのね。」
「だーかーら、違うって!」
「はうぅ、アンさん落ち着いて下さい!」
「大人の事情というものがあるのよ、スーザンちゃん。」
「そうなんですかねー?」
⁉女子達の声だ。何で…?
「ここまで聞こえるって事は、壁が薄い上に隣なんだね。」
「…あれ、じゃあさっきのぼくたちの会話…聞こえていたんじゃ…。」
…やべ。
「…何、盗み聞きしてたの?」
「場合によってはしばくわよ…?」
「正直、良くないと思います。」
うわ、女子怖っ!スーザンまであっち側だったとは…いや、今言ったのは性別じゃなくて。
「壁が薄いので仕方ないんですよ。」
「うぅ…まぁ、さっきの貴方達の会話も聞こえてたし。」
うわっ、やっぱりか。
「…正直、ジョンさんにも桃太さんにも引きました。」
えぇっ、何で俺まで⁉
「そりゃ、中学三年生の男が成人男性に洗ってもらってるなんてね。桃太は子供っぽいし、ジョンに関しては一歩間違えれば事案よ事案。」
「事案って…確かに桃太様は思っている程子供ではないですが、私は従者ですよ?」
だから、自分で洗わせろって事だっての。俺達の関係を知らない人がみたら、確かにあれはまずかったよな。
「…そろそろあがりまーす」
「あ、僕もあがろう。」
「オレもー。…二人はどうする?」
「私はそろそろあがります。」
「…じゃ、俺もあがるか。」
風呂場を後にした。
甘蜜です。テストが終わりましたので投稿です。他のも同時にです。
今回の内容ですが…すみません、私の趣味が入りました。ゴリゴリのものではないですがBLっぽい感じに仕上がりました。まぁ、私の作風がそんなんですからね。
次話投稿までは少し間が空くかもしれません。ご了承下さいませ。