#13 責任感のない者
「あ、集まりましたね。では今から話し合いスタートです。票を固めて、処刑する人を一人決めて下さい。」
うっ…また始まるのか、あれ。今回も言霊を使ってみるか…いや、様子を見よう。今回は本当に見当がつかないしな。
「誰がって言っても、今回のテーマは『人任せ』…正直、基準が曖昧だし、すぐには決められないよな…。」
「…僕に考えがあります。何か発見した事がある人とかいます?あ、僕は昨日の面子とジョンさんとで、昨日見つけた部屋の奥に入って、白い部屋を調べました。女の子の日記があったくらいですね。」
この事は俺もその場にいたから知っている。他にも別の面子といる時見つけたけど…ジョンもジャック達も、言っていいのか悩んでいるのだろう。あの事を言うと、犠牲者が決まってしまいそうで。
「他には…ないのね?これだけだと分からないし、探って…」
「待って!」
叫んだのは一茶だ。ジョンは心を読んだのか、表情に焦りが出ている。一茶は何を考えているのだろうか。…まさか。
「どうしたの、一茶。何か証言?」
「僕、さっきジャックやスーザン、桃太やジョンと三つ目の隠し部屋を見つけたんだ。コンビニの真上だったよ。」
「ちょっと、黙ってたの⁉」
「いや、ちょっとありまして…机の一つには、悪口が書かれていたんです。此処の一室にあった訳ですし、その件も何かしら関わってるのでしょうか。」
「成程、今度調べてみるよ。」
「あれ、でも一茶君が止めたのって、その報告だけじゃないと思うんだけど…。」
「うん。その…テーマにあってる人って、僕だと思うんだ。だから、今回は僕が処刑されるべきだよ。」
「いっ、一茶兄ちゃん⁉」
嫌な予感が的中してしまった。あの部屋の事を言うか迷ってたのは、一番はこの事なんだよな…。
「ちょっと一茶、それ自傷行為になるわよ?誰かに脅されたの?」
「いや…とりあえず話を聞いておこうか。」
「…教室に五人で入ってみたんだけど、一通り調べて出ようとしたら、落ちてきた檻の中に僕が閉じ込められて…皆に助けて貰ったんだ。」
「だからって、自ら死ぬだなんて…。それは仕方なかったでしょ?」
「確かにこの時はそうかもしれないけど、そもそも桃太達と一緒に居たのは、コンビニを調べたいって僕が言ったからなんだ。でもジャックに代わりに言わせちゃって…結局、僕ずっと他人任せにしてたんだ。お礼も促されて言ったし。」
「…」
これには皆何とも言えなかった。一茶はまだ小学五年生だけど、自らの欠点を見つけ、ケリをつけようとしている。強い子なんだな。でも支持するとなると、彼を殺す事になる。
「…もしかして、僕がまだ子供だから、死なせちゃいけないって考えてるの?」
皆、何も言わなかった。勿論、俺もそうだ。
「…子供だからって、そこまでか弱くないんだよ⁉僕だって一人の人間なんだし、僕もテーマに合ってれば処刑の対象になる。僕はその覚悟が出来てるんだ!」
一茶の叫びに、誰も反論しなかった。一茶は相当な覚悟を決めている。止める事は難しいだろう。でも、子供がそれだけの理由で死を選ぶだろうか。そりゃまぁ、その時一緒に行動してはいたけれども。
「…一茶さん、本当にそれだけの理由で殺せと?」
ジョンが動いた。何か察したのか。
「だからさっきから言ってるの!」
「困りましたね…一茶さん、貴方の声はきちんと届いています。ですが、納得させるには話すべきかと。」
「…。」
「…うん。僕は一人っ子だからお父さん達は僕に継がせるつもりらしいけど、後は継ぎたくないんだ。入学前から毎日修行修行って、遊ばせてもらえなかったんだ。いつまでも親の言いなりになんかなりたくないよ。」
成程、確かに自由に生きたいよな。…あれ、今一瞬チャーリーさん反応した?
「…チャーリーさん、どうかしたのか?」
「いや、何でもないよ。それよりさ、時間見なよ。」
え?…あ、もうそんな経ったのか。
「はい、そろそろ時間です。切りの良い所で終えて下さい。」
今回は意外にすんなりと事が進んだ。このまま投票するのか…?
甘蜜です。今回は割と短めです。というか、これはデスゲームと言っていいのか…。ショタが死にたがるという展開になりました。おかげで文字数稼げなかったのですが。
次回で二章は終わり、三章に入ります。三章と四章はデスゲームっぽいと思います。