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ワラベノエンド  作者: 倉 奈ノ佳
二章 〜人任せな話〜
12/17

#12 不思議なアドバイス

 アンやチャーリーさんと別れた数分後、俺達はまだ図書室にいた。


「はぁ…何か参考になる文献でもないかな…。」


「桃太様、この記事…!」


ジョンに見せられたその記事には、『天野夫妻殺害事件』という見出しが大きく書かれていた。この事件は俺も覚えている。一般家庭に何者かが入り、夫妻が殺された、六年前の事件だ。夫妻には二人の女の子がいたらしく、二人は学校にいる時間だったので無事だったという。犯人は捕まったけど、残忍すぎて途中で報道禁止になったんだよな。


「何故、こんな所にこれが…?」


「さぁ…。」


 俺達がそう考えている時、誰かが部屋に入ってきたのが分かった。


「二人共、調べ物中かな?」


ヘンゼルだ。あの後は単独で行動しているらしい。


「あぁ。それで?」


「用件という訳ではないけど、ちょっと興味があってね。」


「…何を企んでいるんですか。」


「まぁそんなにカリカリしなくても。雑談でもしたいなって、それだけですよ、ジョンさん。」


やっぱり怪しいような…いや、とりあえず雑談に付き合うか。


「…その記事、少し見てもいいですか。」


「はい。六年前の事件についてですよ。」


「へぇ、娘さんがねぇ…。此処にあるって事は、誰かしら関係があるんでしょうね。」


だよなー。でも誰に…?


「そういえばジョンさんの能力って何ですか?ワラベも『汎用性が高そう』って言ってたし、気になります。」


「…『読心』です。ですから、貴方が何を考えているかも分かりますよ。」


「成程、確かに汎用性高そうですね。あ、僕のは『予知』です。」


「…そうですか。貴方が何か動こうとしているのは分かりました。」


「はは、流石ですね。」


何だ、二人共何か悟った上で会話してるんだろうけど…。


「あ、一つ僕から桃太くんにアドバイス。危険を顧みず行動するのも、他人を頼りすぎるのも良くないよ。効率的にかつ安全な手段を選ぶべきだ。まぁ、君のポリシー次第だけどね。」


そう言ってヘンゼルは部屋を去った。何だったんだ、今のは。


「そろそろ、私達も移動しましょうか。」




 昨日の事もあり、酒場は避けていた。でも、おとぎさんの行動には目的があったのだと思う。いるとしたら、此処かもな。そう思って、酒場に来た。


「あら、桃太君にジョンさんじゃない。」


やっぱりか。おとぎさんは大学生、サークルに入っていれば酒を飲んだ事はあるのかもしれない。


「こうやって落ち着いて話すのって初めてじゃないですか、ちょっとお付き合いして下さいな。桃太君もいいでしょ?」


「えぇ、いいですけど。ところでおとぎさん、其処にも書かれてあるように貴方は未成年ですよね?何故酒場に…。」


「私が入っているサークルでは、結構な頻度で飲み会をするんですよ。それで私も飲んでるんですよね〜。」


本来なら19歳の飲酒もいけません。サークルってそんなものなのかもしれないけど。


「桃太君、昨日はごめんなさいね。」


「良いけど、他の人に同じ事すんなよ?」


「勿論、もうやらないから。」


「…次は無いと思って下さい。」


「だから、やりませんって。」


心を読んだのか、ジョンが怖い。


「もう、馴染めました?」


「…そう、ですね。桃太様とお供させて頂いただけでしたが。顔がお広いおかげで、といった感じです。」


「それは良かったですね。桃太君はどうなの?テーマについて、何か思った事とかある?」


いや、いきなり振ってきても…。


「えぇと…誰が人任せだとかってやつだろ?そんなの分かんねぇよ。…でも、俺が皆の事、特にジョンの事を頼りすぎているように見えるのかもな、とか…おとぎさん、なんでにやついてるんだ。」


「両お…いえ、共依存してるのね。」


「両思いって言おうとしてましたよね?おとぎさん、桃太様に変な事言わないで下さい。不健全ですよ。」


「ふふ、冗談ですよ〜。本当、ジョンさんは桃太君の事となると敏感ですよね〜。」


「ふざけないで下さい。」


お、落ち着けって!俺とジョンはそんな関係じゃなくて主従だし、おとぎさんも冗談って言ってるし!


「でもまぁ、何かミスをしている場合は、無自覚よりは自覚してる方がマシかもですね〜。改善できますし。…あ、無自覚の方が良い事もありますか。」


「急に何ですか、もう…。絶対酔ってますよね?」


「え〜、そんな事ないですよ〜。主に桃太君にアドバイスしてるだけです〜。」


「…酔ってますね、これ。桃太様、こうなってはいけませんよ。」 


あ、駄目だこりゃ。…ん、でも俺にアドバイス…?参考にはしておくか。


『24時間経過しました。広場に集まって下さーい。』


「え、アナウンスですか…?」


もうそんな経ったのか。そうだ、ジョンは前回不参加だったからな、アナウンスの事も知らないんだ。


「あら、もうこんな時間…広場に行きましょう。もう少し話したかったけどね。」


「広場…最初に居た所ですか?」


「あぁ。」


俺達は急ぎ足で向かった。

甘蜜です。副顧問とデスゲームについて語ったりしてたので、これを投稿しました。

今回はこんなタイトルですが、あまり難しい事は書いてないと思います。私が馬鹿なので難しく書けないんですよー!今回桃太達と話していた二人は、共に一章にて若干怪しくなったキャラです。

次回は話し合いパートです。内容の面白さはさておき。

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