#11 三つ目の隠し部屋
コンビニへ行くと、ジャックの他にも、一茶とスーザンがいた。そういえばこの三人、小学生同士だったな。
「あ、本当にあったんですね、ありがとうございます!」
「一茶さんの提案なんですよ。」
一茶がかぁ…確かに、思い付きそう。
「事情は聞いたけど、気になる所って何処なんだ?」
「ドアの近くの天井だよ。…ほら、ここ。」
確かに、蓋がしてある。確かに脚立要りそうだけど…こいつらの身長じゃ無理だな。俺は…届くかもしれない、やってみよう。誰だってそうだけど、死にたくないし。
「俺にやらせてくれ。…お、届いたぞ」
「あら、桃太様の身長で届くなんて…さっきのより低いんですね。」
おい、今さらっとディスっただろ。でもまぁ、天井の蓋を外す事は出来た。
「上、登ってみようよ。」
登ってみると、学校にあるような机や椅子が置いてある部屋に着いた。とはいっても、まばらに置いてある感じだ。此処、教室なのか…?上に物が置かれている物もある。何故か広めのスペースまである。
「懐かしいですが…気味悪いですね。」
「あのー、花瓶が乗ってる机、何か書いてありますよー。何て書いてあるんですか?」
「…『馬鹿 消えろ 二度と来るな 死ね』…悪口ですね、いじめがあったのでしょう…。」
うわ、酷いな。俺は今までそういうのに巻き込まれていないし、見た事もない。ただ、どんなものかは知っている。
「ちょっと酷い物もありますけど…便利そうな物は多いですね。」
「うん。でも、これとデスゲームの何が共通しているんだろう…。」
「…とりあえずは保留とするか。」
この部屋を去る事にした。長居はしたくないし。ドアがあるけど、何故か鍵が掛かっている。だから下から上がってこれるように…?そう考えていたら、檻が一茶の元に落ちてきて、彼は閉じ込められてしまった。また、電子黒板に何か表示された。
「一茶さん、大丈夫ですか⁉」
「うん…でも僕はどうなるの?」
『その檻を解除したらドアも解除される。制限時間は5分、時間内に解除出来なければ中の者は死ぬ。』
は…俺達が解除出来なかったら一茶が死ぬ…?絶対に解除しなきゃ!
「まずは檻の仕掛けを調べるぞ。…ん、○・△・□の三つの図形と…三つのボタンがあるな。デジタル画面もあるな。」
「この部屋の中でマークを探すのでしょうか…私達で数えますので、桃太様は言われた数だけボタンを押して下さい。」
「分かった。ジャックは○を、スーザンは△を、ジョンは□のマークを数えてくれ。」
「「「任せて下さい!」」」
分担した方が早いしな。…成程、それぞれ押した数が表示されるのか。
「桃太…怖いよ…。」
「大丈夫、今皆で手分けしてる。助けるから、もう少し待っててくれ。」
「うん…ありがとう、頼むよ。」
一茶もまだ小学生だし、こんなので死なせる訳にはいかない。出来るだけ多い人数で脱出したいな。皆、急いでくれ…。
「桃太様、□は4個です。」
「○は1個でしたよー。」
「△は3個です。」
皆数え終わったみたいだ。○は1個、△は3個、□は4個だから…その数だけ押そう。もう時間はないけど、焦って間違えないようにしないと。…1回、3回、4回っと。…お、檻が解除された。一茶は思わず泣いているようだ。
「うぁっ…ありがとう…。」
「よしよし、大丈夫ですよ。」
そうだ、檻が解除されたからドアも開くんだ。俺達はドアから廊下に出た。
目の前には図書室がある。成程、此処のドアってあの部屋に繋がってたのか。
「お二人共、ありがとうございました…!」
「ありがとうございます!…ほら、一茶兄ちゃんも。」
「ん、ありが…とう…。」
お礼くらいで照れるなんて、一茶らしいな。
「じゃ、俺らは他の所回るな。」
三人と別れた。
「桃太様、勢いでこうなりましたが…何処へ行きましょうか。」
「もう少し情報が欲しいな。近いし、図書室行くか」
「そうですね。」
デスゲームが始まってから、此処には何回来ただろうか。それでも、ジョンとは初めて来た気がする。
「図書室というだけあって、本が本当に多いですね。」
「あ、桃太ー、ジョンさーん!」
「お、二人共来たんだねー。」
アンとチャーリーさんだ。
「…あれ、ジョンって此処初めて?」
「はい、そうですね。」
「今話すのもアレだけど、今夜ちょっと飲まない?」
「ええと、私お酒は弱いので…すみません、考えておきます。」
大人の会話だ。…っとそろそろ話を戻して。
「話戻すけど…俺達、調べ物に来たんだ。チャーリーさん、何か気になる事ってあるか?」
「あー…昨日のアレがあったからだろうけど、ヘンゼルの視線をずっと感じて怖くてね。今も多分、近くにいると思うよ。」
え、それストーカーじゃねぇか!…いや、まだ分からないな。
「あの、すみません…皆さんの感情は読めましたが、何があったのか分からなくて…ご説明頂けますか?」
そうだ、ジョンは今回のテーマからだ。模擬投票や前回はいなかったんだよな。
「まず、一昨日の模擬投票でモーテンさんって男の人が処刑された。昨日は一回目の投票でグレーテルって女の子が処刑されたんだ。二人共他の人を守ったのがきっかけだったんだ。」
「そう。しかもグレーテルはヘンゼルの妹なんだ。彼女、オレを庇ったのがきっかけで死んじゃったんだよ。」
「そう、なんですか…。やはりこのゲーム、意図がよく分かりませんね。」
チャーリーさんやジョンの瞳は考え深そうで、悲しげだ。自分の身近な所でこんな事があったんだ、誰だってそうなるよな。
「…ごめん、オレ達そろそろ移動するよ。」
「わかりました。突然こんな事聞いてしまって、すみません。」
「いえ、情報共有って大切だもの。」
「じゃ、お互い頑張ろう。飲み会の件、出来ればでいいからねー」
そう言って、二人は去っていった。
甘蜜です。なーんだ普通に投稿出来たじゃんって感じですよね、私もです。
今回は書くのに悩んだ末、ちょっと仕掛けを入れる事に。メンタル弱いと見れないやつですね今回の。
次回は一章で本性チラ見えした(?)二人とジョン桃です。