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「天使のキャラメル」

作者: いまっく
掲載日:2018/04/20

 天空に浮かぶ大聖堂は、光に満ち溢れていた。

その一角に天使たちが集められ、落ち着きなくざわついていたが、大天使が現われると皆々は口をつぐんだ。

大聖堂は荘厳なる静寂に包まれた。

しばらくして大天使が口を開いた。


「今日集まってもらったのは他でもない。我ら天使族の使命を今一度問う」


集まった天使たちは、仄かにざわめきだったが、一人の小さき天使が元気よく答えた。


「はい! 愛です。人間界を愛で満たすことです」


「おお」と、天使たちの歓声が上がる。

大天使はしばし目を閉じ、静かに目を開くなり、ゆっくりと大聖堂全体を見渡しながら言った。


「その昔、弓矢を使って人々の心に愛を満たしていた。そう、我々天使族は愛のキューピッドと呼ばれ、世に崇められてきたのだ。しかし昨今は弓矢を扱える天使が少なくなってきた。おぬしらの中で唯一弓矢を使える小さき天使も、先日失敗したと聞いておる」


大聖堂に集まった天使集団の最前列にいた小さき天使キヤラが、ほっぺを膨らませながら言った。


「あれは手が滑ったのでござりまする」

「ほほう、言い訳は無用じゃ、小さき天使キヤラよ。下界にて男女が歩いているのを見つけ、一番矢を男に中て、二番矢を隣にいた女に中てようとしたのはいい。しかし、肝心の二番矢は近くを歩いていた犬に中った。それによって男は犬に恋してしまったではないか」

「ははーっ。面目次第もござりません!」


大天使に咎められ、小さき天使キヤラは、柔らかいほっぺをぷくーっと膨らませながら頭を下げた。


「ふむ、弓矢を使って愛を満たすのはもう古いのじゃ。何か弓矢以外のものを使って愛を満たせないものか? 皆の者の知恵を借りたい」


大聖堂はまたしても静寂に包まれたが、しばらくして一人の若き天使が口を開いた。


「宇宙の愛をエキスとした食べ物はいかかでしょう? 実は、前まえより研究しておりました食べ物が、このたび完成致しました」


言葉を発したのは、若き天使メイルであった。

大天使様の命が下される。


「よろしい。若き天使メイルよ、小さき天使キヤラとともに地上に舞い降り、その食べ物を人間たちに振る舞い、地上を永遠なる愛で満たすがよい」


大天使様の命を受け、地上に舞い降りたキヤラとメイルは、宇宙の愛をエキスとした食べ物の量産化に成功した。

そして、その食べ物は「キヤラ・メイル」と名付けられ、後世において「キャラメル」として親しまれることとなる。


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