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カムイモノ  作者: 食食食御さん
第二章【魔窟の主】
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第二章 15 【第三者の介入】

 木々は呼吸をし、人も獣も寝静まる真夜中。

 王都テルンラシアから北東、ジグラス・グゥドリッヒ公爵の治める“イスタラト”より西に約五○キロの地点。強力な魔物の通り道となる可能性が故に林業や開拓事業の計画は頓挫して、今や無名となったその大森林で一つの影が蠢いていた。

 蜘蛛の下半身に人間の上半身を据え付けて、花魁のように或いはくノ一の様な艶めかしさを漂わせる『隠形女郎』という蜘蛛の怪物(ラ・アクネ)、召喚した主にクトラと名付けられた彼女。

 隠密に特化した魔物でレベルは五十五。そんなクトラは今の主に不満は無かった。使い魔として召喚されたからには主人の命令に従うのは当然で、何より善行を働いているので気分はいい。

 だが、しかし。

 逃げなければ殺される。

 八つの脚を止めればそこで終わる。

 夜目が利き、草木があろうと立体的な軌道で素早く移動できる森こそ自分のフィールドだが、その形相は必死。

 アレは駄目だと主の命よりも先に本能が告げていて、クトラの脳内には“逃げる”という選択肢しかなかった。


「痴れ者が……その罪、その命で雪げ」


 紫紺の鎧を纏った逃げ惑う蜘蛛を超える捕食者が刃を放つ。斧、槍…或いは剣など、刃物という概念を宿らせた絨毯爆撃(とうてき)にて。


『――――……ッッッ!!!』


 奇しくも。時として、過程こそ違えど予期した結果の通りとなる。

 これは、そんな一幕の物語。











〔クトラ!! クトラ?! ……クソッ〕


 無名の大森林にて、白く可愛らしい兎の尻尾と耳を持った逃亡者は仲間の絶命に血が出るまで拳を握る。


(何てザマだ……!! というか、何なんだアイツら?!)


 ウルナ・ギウスは森の中を慌ただしく駆け抜けながらに、嵐のように突然現れた“ヤツら”について記憶と経験を擦り合わせつつ思考を張り巡らせる。

 今回、作戦自体は間違っていなかった。

 王国の北東部“イスタラト”の闇の部分。年齢から性別、種族までを偽る者が集まる奴隷窟への強襲。そして、ウルナ一人と『隠形女郎』のみでルゥル・ルグムの奪還。

 何故、獣人解放軍の現頭目…もとい隊長と助っ人五人のみでの決行なのかと言えば、解放軍はもう機能していないも同然だからである。

 人間種に恨み辛みはあるが、元より死肉の巨人(レクディオプ)の戦略性でまとまった連中。

 率いていた頭が死に、代わりにと挿げ替えられたのは自分の娘よりも若い世代の獣人。過去に人間どもがシフルフという国を山へと追いやった事実に思う所はあるものの、その若い世代に引き連れられて一個人の問題なぞ承諾するワケにはいかないのだ。

 そんな元獣人解放軍、現農夫やらの連中が餞別にと渡してくれたのは、件の彼女(ルゥル)が捕らえられているとされる建物の内部構造と警備状況。

 見て、考え、隠形女郎との意見をすり合わせて。この日ならば成功できるぞと勇み足で遠征に赴いて、適当な森に潜伏した今日この頃。


「<斬破>ッッ!」


 失敗云々以前に。

 作戦決行前に立ちふさがったのは、私を追いかけて来ているのは“?”の記号を刻んだ黒いズタ袋を被った全身真っ黒な筋肉質な男の形が、まずは十人。


『キキィ?!』


 草木にぶつかる事も省みず。走り方も両手を上げたりとか、背筋をピンとしてたりとか、とにかくバラバラな挙動の恐らく人間でも亜人でもないヤツら。

 その先頭を走る一人にウルナは斬撃を飛ばし、命中。

 足をバターみたく斬り裂かれたソイツは走る速度のまま痛々しく地面へと突っ伏し、ヤツらは突然現れた障害物に足を引っかけて思った通りに瓦解する。


(よし! このまま……――――)


〔ウルナ、ウルナ!!〕


「ったぁ、とと……?!」


 契約という名の魔力で結ばれた召喚者と使い魔との間でのみ発動する念話魔法<レテス>には慣れたが、いきなり話しかけられたら足がもつれるくらいにはびっくりする。

 ともかく、地面に顔面を打ちつけそうになった姿勢を正して走り抜けつつ隠形女郎の一人、ベリナの念話をウルナは受け取った。


〔――――……どうしたの? 無事?!〕


〔はい。私とライだけですが森から脱出できました〕


〔そう……じゃあ、次の命令を出すわ。“石切り場に逃げなさい”〕


〔ッッ?! なりません。私達は!!〕


 召喚(ヴィロス)巻物(スクロール)で召喚された魔物にとって召喚者の命令は絶対である。

 彼女らが敬語で話すのを主が嫌えば、砕けた物言いで勤める。

 彼女らを逃がす意向を主が取ったのなら、それに従うのは当然。

 だが、召喚された魔物とは言え彼女ら『隠形女郎』には考える脳があり、理性がある。そんな彼等が主をほっぽり出して自分たちの命を優先にするなど、例え主の命令であろうと従うのは難しい。


〔大丈夫、私だって伊達に解放軍の頭やってないんだから。こんな修羅場ぐらいへっちゃらよ!〕


〔ウルナ、あなたが強いのは知ってます。ですが……!〕


 走りゆく最中でウルナの背後にまたぞろ奇怪な気配が増えつつあり、もはや最後かもしれない彼女たちとの念話の猶予は存在しなかった。


〔ヘンタイどもが来たわ。また掛けなおす〕


 一方的に頭に響く声を切り捨てて、ウルナは走ることに全集中。


「<風迅脚>ッ……」


 吹き荒ぶ風を自らの脚力とし、ウルナ・ギウスは韋駄天の加速で森を駆け抜ける。


『キ、キキィキ……!!』


 速く、鋭く、凄まじく。

 これには流石に人の形をした有象無象も追いつけず、彼女の背後からその気配は消えていった。


(撒いたかしら……?)


 女のケツめがけて走ってくるあの奇怪な集団は、速度を増しつつ振り向いても影や形さえ存在していない。

 どうやら本当に撒いたようだ。と、ウルナは安堵に胸をなでおろし、さらに加速。

 木々を足場に跳躍して突風のように森の中を駆け抜けていく。


(……?)


 が、変わらぬ景色に左右を見渡せば違和感を覚えた。

 人間が目で追うのがやっとな速度で森の中を進んでいるのにも関わらず、一向に出口が見えない。

 確かにココは大森林と言われるほどに多くの植物が群生する広い土地ではあるが、ナイアル・フォン・ラトプ辺境伯が住処としているカヅム大森林の比ではなく、数人の部下を引き連れて隠れ潜むのなら丁度いい場所という立地。

 即ちそこまで広くはない場所。

 自身の速度であれば、たとえ方向が間違っていたとしてもひらけた大地が表れてもおかしくはないのだ。


「眷属ちゃん、そこですわ」


「……なにッ?!」


 甘い香りが漂い、甘い声が囀れば、いつの間にか制空権を得たあの奇怪な真っ黒集団が木々の隙間より暗がりを後ろに狙いを定めて墜落してきていた。

 韋駄天の素早さを読まれた先に落下するそれらに対し、ウルナ・ギウスは腰の剣を抜くことは叶わない。





「眷属ちゃ~ん。ソコ、まだ直し切れていませんわよ~」


『キキィキ!!』


 ウルナ・ギウスはその奇怪な光景に、両手を縛られて横たわっていた身体をもたげる。

 最初に目に入ってきたのは“?”の記号が刻まれた黒のズタ袋を被った男ども。連中が何をしていたのかというと、倒れた木々や傷ついた地面に手を擦り付けてその身を粘土細工みたく塗りたくり、文字通り再生()している。

 しかもだ。

 見るからに連中に指示を出していたのは、男どもよりも小さくこの場に似つかわしくない格好をした甘い香りのする少女。

 飾りの革ベルトを用いたピンク色のトラッパーハットでちょろっと前に出ている桜色の髪を隠し、明るい赤でゴシック調のまんまるスカート一式とその上にはトンボの翅に見立てたジレを羽織り。

 前腰には大きな黒と緑の蝶のリボン、それを守るかのように蜘蛛の手がまんまるスカートにべったりと。踏まえて飾りの革ベルトだらけの赤いブーツとくれば、頭の先から爪の先まで再三と似つかわしくない少女の完成であった。


「目覚めたか亜人」


 気取られず、気配も感じられず。いつの間にかウルナを見下ろし、声をかけてきたのは血の滴るような装飾と純白の外套を併せ持った紫紺の鎧を着こんだ顔に横一文字、傷のある金髪の女性。


「なんなのアンタら……私を一体どうする気?!」


 その金の瞳には、真っ黒男や少女からは感じられない“どす黒さ”……言葉にするならば尽きることのない殺意……がべったりと滲み出ている。

 結構な修羅場を超えてきたウルナ・ギウスでさえ、震えながら喉元よりその言葉をひねり出すので精一杯なくらいに。

 

「ほうほう。いきがいい。レベッカに睨まれて声を上げることができるとは……存外、この者使()()()()()()()()()


 もう一人、右側から()を見るように覗いてきたのは、胸元が目の形に開いた白く奇妙な服装一枚で完結しているのっぺらぼうな真っ白の仮面を被った老人。


「タージェ様。いくら反乱分子と言えど、この者は丁重に安楽に殺さなければなりません――――そうでもしないと、悲しいです」


「アエリア……戻っておったか」


「はい。今先程」


 忽然と目の前に現れて老人を諭したのは、琺瑯で出来た左右の髪飾りを揺らしつつ琺瑯の額当てで目元を隠した茶髪の女性。袖なしのリブニットに黒く肌に密着するようなズボン、サンダルと一見してマシな人物かと思えるが彼女の腰や肩の部分に目をやれば、そこには額当てに似た鎧の欠片みたいな何かが浮遊している特異性。


「リア。もういいからこっち来なさい」


「わかりましたわレベッカ。眷属ちゃん、あとよろしくね~」


『キキッ』


 手を叩いて少女が号令を出すと全身黒の眷属と言われた連中は森の闇へと消えていった。

 そうして残されたのは、ウルナ・ギウスと彼女をとらえたであろう四人……いや、今しがた()()()()()()


「オウ、戻ったぜ」


 一方は、足元まで刺々しい藍色の髪を伸ばし、三つのファスナーで紡がれた口元を覆う程の大きい襟と両肩に三つずつ金属の留め具を用いた白基調の赤のラインを中央に引いた服。

 袖口は中の腕が見えるよう正方形に穴あき。スマートなズボンは黒と赤のライン入り、髪とは正反対の色合いの靴を履いている。


「ふぅ……疲れた。どうしてわざわざ森の中なのさタージェ様? 私、ケルゼみたいに脳筋じゃないんですけどー」


「だぁれが脳筋だよ?! オレよりツエーくせして」


「相性の問題。気にすることはない」


 もう一方は、切り揃えた短い緑髪を隠すように黒基調の発光する緑のラインの入ったフード付きのパーカーとブーツのみとシンプルな見てくれでありつつ、顔の下半分を黒いもの(ガスマスク)で覆った少女。しかし、その背にある三本の刀にはまがまがしさを覚える。


「もちろん、我らが行いを人々に悟られぬ為よ。我慢しなさいバニティ……さて――――」


 多種多様なその六人の視線がウルナ・ギウスへと向けられる。

 なんということもないように、或いは審判を下す裁定者のように。


「率直に聞こう。()()()()()をどこで手に入れた?」


「……ッッう?!」


 息が詰まる。

 呼吸が乱れる。

 当たり前だ。当然だ。――――胃液が喉までせり上がってきても仕方のないことだ。

 数分前まで話していたクトラ、ミナ、メリルという隠形女郎三人の目のくり抜かれた生首を老人が枯れ枝の様な右手の指に刺して見せびらかしているのだから。


「タージェ様趣味悪すぎますわ~」


「ほうほう。この世界を玩具箱としたプレイヤーよりかは……遥かにマシじゃて」


「それを言われればそうなのですけど……」


 だが、せり上がる胃液を飲み込むほどに胸の内へと湧き上がってきたのは、怒り。

 仲間たちをガラド・バンバジに殺された際の無力感と、どうしようもできない状態で一矢報いてやらなければという必死さの入り混じった粘ついた憤怒。


「知るもんか! このクズどもがッ」


 ウルナは胃液交じりの唾液(ツバ)をタージェと呼ばれた老人の仮面に吐き捨てる。

 手を縛られて、六人の敵に睨まれて、彼女たちの為に出来ることと言えばこのぐらい。自身が絶対の優位性に立っていると思っている相手からすれば、これ以上ない屈辱であろう一矢だ。


「“クズ”とは……このアエリア・ギーテ。ただただ使命を全うしているだけにもかかわらず、悲しいです」


「………」


 老人は押し黙り、吐きかけられた唾を拭いも何もしなかった。いや、正確には何もせずともよかったのだ。


「ッ?!」


 温厚そうな老人の仮面が真っ二つに文字通り割れて布みたく捲られて、中から現れたのは人間の顔に皮に筋肉ではなく――――黒く、黒く、光さえも吸い込む暗闇の穴(ブラックホール)

 底が見えないほどに真っ暗なのか、底こそないのか不明瞭な虚空。

 どういう仕組みか、老人は狂ったように背筋を反らし大笑い。次いで、魅せるように右手の頭三つとウルナの吐き捨てた唾を何事もなく虚空の穴にて吸い込んだ(平らげる)


「もう一度聞く」


「あ……ぐっ…………?!」


 ただの高身長な老人かと思えば、ウルナの首根っこを掴んで軽々と彼女を持ち上げる膂力を用い、何もかもを差別なく平等に吸い込む虚空の穴へと近づける。


「この魔物らをどうやって手に入れた?」


 虚空の穴から発せられる老人の最後の警告に対し、ウルナ・ギウスの答えは決まっていた。


「ハッ、クソどもに教える事なんてないわ!!」


「……そうか。ならばッ――――」


「そこまでです。タージェ・スロノス」


 間一髪。

 唐突に表れた()()()の声に、暗黒の穴(ブラックホール)の活動が制止される。


「お仕事お疲れ様です皆様方」


「ヒュブリスか……出迎えにしてはいささか性急ではないか?」


 頭の先から足の先まで黒一辺倒な燕尾服を着た執事のような長髪の男。

 彼はタージェ・スロノスと呼んだ老人の質問を意に介していない振る舞いで、視線をこちらへと向けた。


「いたずらに原生生物(じゅうじん)を宇宙の彼方に吸い込むのはいただけませんよ?」


「馬鹿を言うな。コイツはプレイヤーに関する魔物の仲間、ないし使役しておった。この処罰は当然ではないか?」


「……それは彼女から聞いたのですか?」


「いいや? 状況証拠がそろっている以上、やはり聞くまでもないと思ってな。我らが使命を完遂しようとしたところよ」


 ヒュブリスという黒一辺倒な彼は老人の答えに肩をすくめて首を振った。


「ならば生かして本体(プレイヤー)…もといプレイヤーに関する者を叩くほうが先決です。南方の魔物が湧き出る装置が依然見つからない件もありますし、事をスマートに運ぶならその方が最適と思われます」


「…………一理あるな。だが、このまま放りだすのはいかがなものか? いっそリア・ルクスの眷属化で支配下に置いたほうがこちらも把握しやすいのでは?」


 名前を呼ばれた眷属の女王が胸を張るも、ヒュブリスは依然として否定し、張った胸はうなだれる。


「止めておきましょう。敵はプレイヤー、我々の【権能】を気取られる危険性がありますので――――」


「――――オイオイ、さっきから黙って聞いてりゃよぉ……」


 二人の会話に介入してきたのは、刺々しい藍髪を伸ばしに伸ばしたのガラの悪い男。


「う、ぎゃッ……?!」


 タージェの手から物のようにしてウルナの後ろ首を右手で鷲掴むと、その全身から紫色の電撃が走る。


「いい声で鳴くじゃねーか獣人――――さーて、ヒュブリス。テメェはコイツを逃がしてぇそうだが、昔獣人の女に助けてもらった恩情はそこにネーんだな?」


「はい、ございません。これは我々の安全と使命を遂行するための提案ですよケルゼ」


 即答するヒュブリスにケルゼは歯をむき出しに笑った。


「じゃあ、神経焼いて適当な町にほっぽてもいいってワケだ!!」


 ケルゼは自身が纏う紫色の電撃の電圧(ボルテージ)を肉体が焼ける電力になるまで一気に上昇させる。

 もはや、ウルナ・ギウスの意思は肉体に届かず。彼女の四肢は痙攣と覚醒を交互に続け、


「止めなさいケルゼ・ロスベイル!! それではッ――――」


『<針羅>ッッ!!』


 電撃で焼き尽くされる間際。無数の針の雨がケルゼ・ロスベイルを襲う。


「チィッ?!」


『ウルナ、撤退しますよ!!』











「………ッッ」


 女の獣人は件の魔物二匹によって連れ去られ、ケルゼ・ロスベイルは代償として自らの肉体の一部を硬質化し飛ばすスキル<針羅>によって右腕を負傷。幸い、仕込まれていた毒は自らの権能(電撃)で消し去ったが、ここで終わりじゃ気が済まない。


「ケルゼ。何をしようとしてるのですか?」


「あァ? 決まってんだろ? まだ森から出られてねぇだろーから、あいつ等ごとこの森を消し飛ばすのよ」


「なるほど。こういうことでしたか……」


 ケルゼ・ロスベイルの怒りに対し、ヒュブリス・ヘーロは得心すると彼の前に立って半身の姿勢で右手を前に、左手を腰に身構える。


「おいどけヒュブリス。テメェもオレ様の【紫電(パープル・ブリッツ)】浴びたくねぇだろ?」


「いいえ、退きません。今回早く来たのはこの為ですので」


 歯をガチリと嚙み合わせ、ケルゼ・ロスベイルは全身に己が権能――【紫電(パープル・ブリッツ)】――を走らせる。


「いっつも訳知り顔でチャチャ入れやがってよぉ……――――ブっ殺す!!!」


「やってみなさい。この馬鹿者」


 紫の雷撃は周囲一辺倒の全てを雷で焼き尽くし、黒衣の暴力はそんな権能を物ともせず避けていなして拳と足刀で一刺し。

 緑あふれる森林の木々は震え、動物たちは逃げ出す大乱闘の開幕。


「ほうほう。こまった、どうするか?」

「眷属ちゃん達で抑えましょうか?」

「いや、アタシが二人をシバくよ」

「その必要はないですよレベッカ。二人の不満や悲しみはここらで発散させるのがいいでしょうし――――というわけで皆さんこちらに」

「……眠い」


 爆心地五メートル圏内にて。

 その他の五人はアエリア・ギーテの【権能】に守られつつ、安全圏を構築してどちらが勝つかの物見遊山であった。

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