第二章 0 第十七代皇帝 ロー
始原の大樹、その根元にて彼の人生をなぞるとしよう。
神に選ばれて、神となり、十七番目の皇帝の冠を授かった彼は良き暴君であった。
民草を導き、助け、敬い、慕われる存在。
だが、彼は良き暴君。
偏にそれが悪ならば、
偏にそれが敵ならば、
例え身内であっても八つ裂きに、一族郎党末代まで、一切の容赦はなく塵殺。
全てを統べる帝として裁定を下すが己が務め故。
大帝国は泰平に。
彼の執政は平安に。
続きに続くかと思われた日々。しかして、とある日に“転機”がやってきた。
星々煌めく外宇宙の大海原より世界の端へと飛来したのは国を滅ぼし、世界を滅ぼし、星をも滅ぼす大災厄。
名を、凶つ星。
大地、生きとし生けるモノ、命無き存在、星、全てを喰らい尽くす飽食暴食の権化。
奴らの食欲に飽きは無く、喰いに食い荒らされ、星の終わりは始まって。
ならばと、人を救う神は提言した。
“帝が手中に収める都、その民草を神と成せばいい”
であればと、ローは質問した。
“手中に収めておらぬ同胞が統べる国はどうなる?”
当然と、神は断言した。
“この帝国に住まわぬ者ならば、神となる必要はなし”
衆生を救う神が救うのは、即ち神が支配し、神を信奉する人類のみであった。
“ならば、私は全てを救おう”
と、ローは宣い。
元は人間であった彼の言葉を神は嘲り、嗤う―――――その次に紡がれた言葉を聞くまで。
“掌の者らを神に堕としたいのなら好きにするがいい。だが、憶えておけ”
彼は自らの正しさを選んだ。頽廃する神ではなく、
“一切の容赦なく。たとえすべてを殺しても、私は神とはならぬこの星の全てを凶つ星に勝利させよう”
進み続ける人類を、と。




