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カムイモノ  作者: 食食食御さん
第一章【白銀の英雄】
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第一章 29 【どうしてこうなった】

 コルコタより北に五キロ。

 曰く、神話の大戦の残り香だとか、魔法使いの元実験場だとか。

 広がるのは若干に苔などが生え始めた猛獣の顎を模したかのような鼠色の岩肌の景色、そこを歩けば洞穴にも似た坑道が真っ暗な口を開けている。

 往来する者は居らず、住まうはこの環境に適した動植物や魔物たちが大半な場所。

 ここはハリガン砦の強化や補修の材料を手に入れる為に開拓された石切り場。しかして、当の砦が使われなくなった今では人っ子一人存在しない廃墟である。

 

「合言葉は…?」


「“トラとウサギ”、これでよろしいでしょうか?」


「………よし。いいだろう」


 今は誰も寄り付かぬ真っ暗闇の石切り場の中腹にて、彼は合言葉を交わし、彼女は重い石の扉を開いて二人を迎え入れた。


「久しぶりね。ロー・ハイル・ヘルシャフト」


 部屋の広さは八畳程度。天井には淡い白色の魔法の光が輝き、床は一応に掃除されているのか小石一つとして無い。ただ、石切り場の中腹ともあって埃っぽく、空気も何となしに淀んでる。

 そんな部屋に招き入れてくれたのは、白いうさ耳に尻尾とそれらを覆い隠すように黒のローブを纏っている『獣人解放軍』の元副官、現司令…もとい隊長ウルナ・ギウスであった。


「そうだったか?」


「そうよ、一か月ぶりの再会。今まで何やってたの…? アレから連絡も何もなかったけど」


「復興作業という名の慈善事業だよ。派手に壊してくれたから、派手に直すことも出来ず地道にコツコツとコルコタの全住民総出でね」


 皮肉めいた言葉にウルナは生返事で頷き、視線はローの後ろに佇む彼女へと向いた。


「ふーん――――で、その彼女(エルフ)は?」


「フィリアナ・ルーゲル・フェンドルドと申します。私は、そうですね…ニーナの代理、と言った所でしょう」


 フィリアナの言葉にウルナ・ギウスは背筋が寒くなったのだろう。

 纏ったローブからうさ耳をピンッと張った後に顔をこわばらせて左右にフルフルと振っている。


「……安心しろ。フィリアナの言った通り彼女(ニーナ)は来ていない」


 ローのため息交じりの言葉にウルナは胸を撫で下ろす。

 一度殺されそうになった仲なのだし、当然と言えば当然だが、そこはこれから()()()()仲になるので時間が解決するであろうとローは楽観視。


「あー…で、首尾はどうだった?」


 ともあれ、このまま押し黙った状態では埒が明かないのでこちらから本題に入る事に。


「……も、問題なし。そっちが用意した偽装死体が役に立ったよ。今のところ死体のすり替えは憲兵にも気づかれていないしね」


 ウルナが後ろへと目配せすれば二メートル弱の白い布に包まれた彼は丁寧に化粧をされて置いてあり、ローは安堵する。


「死臭も無く、腐乱もしていない。停滞の絹(フレクル)は上手く作用しているようだな」


 停滞の絹(フレクル)とは魔道具(マジックアイテム)の一つで、ゲームでは腐りやすい食物や素材を包んでおくと時が止まったように腐乱を防止してくれる絹である。因みに、この世界に来た時に効果は実証してあるので一応にしていた心配は杞憂であったと言えよう。

 そして、それは“死体”という物も例外ではなく。


「ええ、その点には感謝してる。テルガスさんの遺体をみすみす燃やされる訳にはいかないし、かと言って腐らせない管理方法なんて思いつかないし――――ま、アンタらが()()()()()()()()()なら尚更だしね」


 あの晩、商業都市コルコタでの戦火。

 その終幕とも言えるテルガス・ルグムとロー・ハイル・ヘルシャフトの戦いを終えて彼女、ウルナ・ギウスには全てを話した。

 テルガスとの会話、託された思い、獣人解放軍への協力。加えて、これ以上“奪わぬよう”ローの個人的な要望としてテルガス・ルグムを生き返らせる提案……“蘇生魔法”の話をすれば、ニーナやローの実力も相まって疑りかかっていた彼女は血相を変えて了承した。

 目を見開いて仰天させる彼女に話を聞くと、これもまた創作物の展開(テンプレート)であった故にある程度予測できていたのですんなりと理解できた。


 曰く、死人を生き返らせる“蘇生魔法”の使い手はこの世界に数える程しかおらず、四天教に三人、王国に二人、帝国の冒険者チームに一人いるらしい。

 

 国にとても重宝されている死者を蘇生する秘術、四天教は“奇蹟”と称している魔法。

 使い手に関しての情報は主に四天教が指揮を執って箝口令を敷いており、帝国の“蘇生魔法”保有者の身元が少し割れているのは()()()だそうだ。

 つまるところ、四天教の総本山を構える王国にとって亜人種を迎え入れている帝国は仮想敵の一つ。“神の愛を受けた奇蹟の保有者”に対して最大限の譲歩…もとい敬意を払うものの、()()()()()()()のが彼等の尊厳(プライド)からして手一杯らしい。

 余談だが、商業国については周辺諸国――主に四天教や王国――が獣人に排他的である為に国の情報を中々漏らさないので数は不明だそうだ。


「じゃあ、さっさとテルガスさんを――――」


「今は駄目だ」


「なんで?! 協力してくれるって…」


 彼女が驚くのも無理はない。

 テルガス・ルグムを蘇生するという話を聞いた以上、期待に胸を膨らませる事は必須でこんな場所に死体まで持ってきたのだから、もうひと押し。故人の復活を望むのは当然の帰結。


「協力しないというわけではない。大手を振って動くことが難しくなったんだ。フィリアナ、アレを―――」


「はい。準備できております」


 だが、それは出来ないとローは首を振って。侍らしていた翡翠色の彼女から束になった五つの巻物(スクロール)を受け取り、ウルナへと“お詫び”として手渡した。


「これは?」


 高級そうな緑の紙に包まれて紐で封をされた巻子装。

 見た事も無い作りの巻物(スクロール)に首を傾げるウルナであったものの、それを渡した本人は見越して疑問につらつらと答える。


「口寄せ巻物(まきもの)。或いは召喚(ヴィロス)巻物(スクロール)――――呼び方はともかく、ソレは魔物を召喚する魔道具(マジックアイテム)だ」


「……まさか、協力って」


 ウルナの可愛らしい眉間に相手を訝しむ皺が寄る。

 それもそうだ。

 テルガス・ルグムの話を聞き、自ら協力すると申し出て、殺した相手を生き返らせず魔道具(マジックアイテム)五つを渡すだけ。

 魔道具(マジックアイテム)こそ強力なものだが、これだけで『協力』とは雀の涙な後方支援もいいところ。さしずめ、傍から見れば『協力』した体を作る様な行動だ。


「勘違いするな。言っただろう? “大手を振って動くことができなくなった”と」


「じ、じゃあ何でテルガスさんを生き返らせてくれないの?!」


 もちろん。フィリアナ達にも事情を説明して今回の『協力』に納得してもらえたロー・ハイル・ヘルシャフトも最大限に協力はしたい。

 しかして、時と場合に事情に情緒を見極めなければならず。ローは彼女の疑問を払拭するべく、一つの例題を提示する。


「……では反対に聞くが、死んだはずの獣人解放軍の頭が突然生き返って、君らの元に帰ってきたらどうなる?」


「そ、それは……」


 コルコタの事件から一か月が過ぎて獣人解放軍へと死んだはずのテルガス・ルグムが帰ってきたのなら、間違いなく士気は上がるであろう。

 ただ、それは恐ろしいほどに悪手だ。

 王国と帝国にしか蘇生魔法が無いという常識故に、事情を知らぬ者にとってテルガスの復活とは文字通り“奇蹟”。事情を説明しても仲間内に“蘇生魔法”の使い手が居ると知れれば、尚更だ。

 四天教及び王国へ、全獣人反逆の手筈が嵐のように整うのは必然。『不死身の獣人』『死なぬ救世主』と担ぎ上げられてしまえば、テルガスも“進む”という選択肢以外は選べなくなるであろう。

 彼の望み“娘を救い出す”という一抹の思いを踏みにじってまで、奴隷となった者らの命を省みず、何の根拠も勝算もなしに虐げられた全獣人による王国への報復が勢いのままに開始されるのは目に見えている。


「………」


 押し黙るウルナもテルガス・ルグムの蘇生を切望していた一人だが、それぐらいの事は理解できているようで、分かっているのならとローは自身の不甲斐なさにため息を吐いてから言葉を続けた。


「ま、そういう事だ。それと私達が動けない詳しい理由は明日の号外を見てみるといい……と言いたい所だが、ソレの使い方も兼ねて話しておこう。実は…―――――」











 商業都市コルコタ『“死肉の巨人(レクディオプ)”事件』から早一か月と二日が過ぎた今日この頃。

 コルコタが以前と変わらぬ活気を取り戻しているのは、住民、憲兵、冒険者…そして商業都市の大元“コベルニクス商業国”からの派遣作業員のおかげだ。

 ()()()といっても復興作業に携わったのは人間ではなかった――――いや、もっと言えば有機生命体(いきもの)でもなかったのだ。

 人間や獣人などいるには居たが、その者らの役割は使役。作業員として手足を動かしていたのは『emeth』という文字を額に記した数秘術(カバラ)の土くれの巨人、ゴーレム。

 人型を基本にバックホウ式から高所作業(リフト)型まで多種多様なモノが存在し「ゴーレムとは正にファンタジー」と作業片手間に思ったのも束の間、彼らが行う施工に幻想(ファンタジー)は一切なく、あるのは石材や木材を淡々と運び、地面を慣らし、建物を建設し直し、施工する現実(リアル)

 ファンタジーではない作業に若干幻滅したものの、商業国からの支援によって一か月以内にこの都市を再生したその手腕には舌を巻くばかりである。


(魔力がエネルギーの主体ってだけで、この異世界と前の世界とじゃそう変わらぬものかもしれんな………いや、剣とかあるし魔物とかいるし違うな。ああ、かなり違うわ)


 ロー・ハイル・ヘルシャフトこと十川四朗は眼前の出来事から目を背ける様に考えに耽る。


(そう言えばウルナも上手く立ち回っているだろうか? 秘匿する人間の数は少ない方が良いだろうし……―――いや、ま、召喚された“彼女ら”が居るし、大丈夫か)


 口寄せ巻物(まきもの)、或いは召喚(ヴィロス)巻物(スクロール)。その中に居たのは『隠形女郎』という下半身に蜘蛛の肉体を持ち、上半身に着物をまとった女性型…花魁の恰好をした蜘蛛の怪物(ラ・アクネ)だ。

 レベルは五十五、強さはウルナ・ギウスと同格ぐらいの“彼女ら”。知性も人間程度あり、コミュニケーションを取る事も可能で、名の通り隠密を得意とする魔物だ。

 召喚者はウルナ・ギウス。よって、彼女に『隠形女郎』は従い、今頃は最初の任務に就いている頃合いか。


(なるようになるだろう。今は…――――)


 ウルナと意見を照らし合わせて『隠形女郎』に頼んだのはテルガスの娘、ルゥル・ルグムの救出。

 彼女らの強さ(レベル)は五十五と余程の事がない限り、ヘマをする事はないだろう。と、楽観視。


「……ふぅ」


 そうしてローは一つとため息をつき、思案に耽っていた思考を少しつづ戻して眼前…いや、眼下を望んだ。


「ヒュー!! アンタら最高だぜッ!!」


 その腕っぷしに男どもは憧れを抱く。


「火煉さん角までカッコイイ!!」


 その猛々しい佇まいに女性は見惚れてしまう。


「すごーい!! おめでとー!!」


 その英雄が身近にいることに子供たちは歓喜する。


「冒険者チーム“白銀”の皆さま…んーん。良い顔です!! よく撮れてますよ~」


 商業都市コルコタ、中央噴水広場の“生活管理区”役所前にて。

 鮮やかな色合いの紐に連なった旗(ガーランド)が広場を彩る、楕円に形作られた木造の舞台(ステージ)の上部。紙吹雪と声援とコルコタ全住民の熱気に包まれるは、冒険者チーム“白銀”の面子が四人。

 右から、黒幕を打ち倒したロー・ハイル・ヘルシャフト。

 その慈しみは女神の如く傷を癒すフィリアナ・ルーゲル・フェンドルド。

 この街の全てを苦しめた黒幕の使い魔、“死肉の巨人(レクディオプ)”に堂々と立ち向かいコレを屠った“双角の英雄”獄炎火煉。

 黒幕との凄惨な戦いから町を守るべく結界を張り続けたニーナ・レイオールド。


「では、これより。授与式を執り行う!!」


 進行役の髭を伸ばした白髪の老人が活を入れるように大きく叫べば、辺りはゆっくりと静まっていっく。

 見計らい。

 舞台(ステージ)の脇から出てきたのは、白髪交じりの金髪をこの日の為にセットした色彩豊かな恰好の恰幅の良い人物こと商業都市コルコタの都長、彼等の働きを最前線で見たラダク・トードウと賞状盆を持った介添え人の妻が一人。

 彼はロー達の前に立ち一礼する。


「おめでとう…そして、ありがとう。君は、君たちはこのコルコタを救ってくれた英雄だ」


 死肉の巨人(レクディオプ)の討伐、建築物をも燃やし溶かす恐ろしき黒幕の打倒、怪我人の治療と救出、一般の人々に混じって驕らず当たり前のように復興作業への貢献。

 素晴らしい功績を残した冒険者チーム“白銀”。後世にも残る大事件を率先して解決した四人組。

 正しく偉業、正しく人として立派な働き。

 人々は、その心意気を“素晴らしい”と称え、彼等の総意の代表としてラダク・トードウは介添え人の妻からソレを受け取り、まず初めにロー・ハイル・ヘルシャフトの首に掛けた。


「では、君たち冒険者チーム“白銀”の功績を称えて、冒険者最高の位である白金の証を授与しよう」


 掛けられたのは鮮やかに白く輝く金属板。氏名、血液型、冒険者組合の登録番号が記載されいる長方形のドックタグで、記された全ての情報からまごうことなきロー・ハイル・ヘルシャフトの物であると否応なしに理解できる、できてしまう。


「ハッ、ありがとうございます」


 緊張からか軍人の如く、敬礼の姿勢を取りそうになるもロー・ハイル・ヘルシャフトこと十川四朗はさわやかな笑顔のまま首の皮一枚で制止する。


(どう、して…)


 傍から見れば、驕らずとても謙虚な姿勢で清廉なままの彼。

 ただ、その心中。


(どうしてこうなった―――――――!!!!?)


 まるで、嵐吹き荒れる大海に放り出されたような小舟が一隻。


(この私、十川四朗…いや、ロー・ハイル・ヘルシャフトは今一度あえて言おう、言いたい!! ()()()()()()()()()()!!?)


 冒険者団体(チーム)“白銀”…否、ロー・ハイル・ヘルシャフトこと十川四朗の考えた打算的な計画は過程はともあれ、とても上手くいった――――そう。上手く行き過ぎた。

 まず初めに。

 『“死肉の巨人(レクディオプ)”事件』に乗じた“双角の鬼による双角の鬼の為の尊厳回復作戦”については大成功だ。冒険者や憲兵、嬉しい事に都長からの信頼によって火煉は双角を額に生やした人種ではあるが皆を守り戦う信頼に値する人物と英雄視されている。

 ただ、一つ。完璧な火煉の動きに誤差(ミス)があったとすれば、それは恐怖の対象であった死肉の巨人(レクディオプ)を一撃で動けなくなるぐらい死に体まで燃やし尽くした事だ。

 防衛線を張る皆を鼓舞し、同じぐらいに轡を並べて全員で倒したならその手柄は平等だろう。しかし、聞いたところによれば、最終的に最前線をほぼ獄炎火煉のみが張っていて、他の者は防衛に徹していたらしい。

 となれば、死肉の巨人(レクディオプ)を追い込んだのは火煉でほぼほぼ止めを刺したのも火煉。あの状況下で英雄視される彼女に手柄がすべて回るのは当然とも言える。


 だが、まあいい――――結果として双角の魔人…ではなく“双角の英雄”の獄炎火煉の知名度は爆上がり、もう彼女があの額当てをしなくとも良くなるだろうから御の字である。


 問題は次だ。住民や冒険者達に死肉の巨人(レクディオプ)は恐ろし過ぎた件である。

 “未知”という脅威は、その本質以上に人々に恐怖を抱かせるものだ。

 例えるのなら都市伝説。口裂け女、神隠し、テケテケなどetc…姿形こそ聞いて取れるが、その本質が一切不明な存在。口伝されたことで膨れ上がった恐怖。

 死肉の巨人(レクディオプ)という死霊系の魔物もこの世界ではそれに類していたのが、ロー・ハイル・ヘルシャフトこと十川四朗の誤算であった。

 【ブレイスラル・ファンタズム】の世界では三十~四十辺りのレベルの中級死霊系モンスター。特徴は死体や生物を殺すごとにその生き物を吸収・使役し、最大体力の上限が上昇するだけの魔物―――――“だけの魔物”。なのだが、コベルニクス商業国の女王が提唱した『冒険者の決まり(ルール)』によって自然界に中級以上の死者死霊は沸かず、死肉の巨人(レクディオプ)への基本的な対策は教科書に記されているだけの全くの未知。

 よって。

 その未知と、その未知を引き(テルガス・)起こした犯人(ルグム)を討ち取ったロー達の評価は―――――“過大評価される”。


死肉の巨人(レクディオプ)を倒したんだから、てっきり中堅の第五級冒険者辺りかなと思ってたけど………はぁ~、過ぎた事は仕方ないか。なるようになれだ……!!)


 次いで言えば。何事にも特例は存在し、冒険者最高位の第十級冒険者の位を全市民の総意の元に与えられるのは当然の帰結であった。


「「「―――――――――ッッッ!!!!」」」


 ロー、フィリアナ、火煉、ニーナが白金の証を授与されて終わると怒号にも似た拍手喝采が中央広場に吹き荒れる。

 創作物の展開(テンプレート)をこなしにこなし、少し我欲を掻いたらこのザマだ。別に悪い事はしていないので、気分こそ良いが死肉の巨人(レクディオプ)程度で、という思いに少々歯がゆいのは否めない。


「では、最高位冒険者“白銀”の皆さまにもう一度、大きな拍手を!!」


 進行役の老人がマイク片手に市民を凄く盛り上げ、盛り上がる―――――というか、マイクとか魔道具(マジックアイテム)って何でもありだな?!


 更なる歓声が広場に響き渡り、ロー達は進行役に促されて市民の元へと舞台(ステージ)を降りる。


「ん、握手? いいぜ、ほら手だしなよ」


「綺麗な花ね。ありがとう」


「くっふっふ~。妾の美貌をもっと撮り収めるがよい!!」


「………あ、ども」


 降りた先に待ち構えていたのは、雑多に見えた舞台(ステージ)下で鉄柵に従い一応に列を作って並んでいた我ら“白銀”の支持者(ファン)と、広報用の写真を撮るカメラマンがちらほらと。

 そして、ラダク・トードウ都長は仕事として“白銀”のリーダーであるロー・ハイル・ヘルシャフトと握手をしつつ肩を組み、火煉達も集まった所でパシャパシャと閃光が散る。

 

「「「「英雄、“白銀の英雄”ッッ――――!!!」」」

 

 十川四朗ことロー・ハイル・ヘルシャフトは、並みのように押し寄せる歓声に観念して腹をくくる。

 俺は、この日を境に最高位冒険者の“白銀”のリーダーとして生きていく事を決意した――――――と言うか、決意することになった、なってしまった。

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