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ラストレイン〜その二〜
目を閉じたら私は、平成の横浜に立っていた。
時計を見てみると、午後七時。
通りで人通りが多いわけだ。
隣を見ても、あの人––––––草介さんはどこにもいない。
当たり前だ。
私は平成に戻って来てしまったのだから。
「僕のことは忘れて、しあわせになってよ」
まるで、少女マンガのようなセリフ。
私は彼の言葉に頷くことも、声を発することもできなかった。
本当に忘れることができるのなら、こんなに涙が流れるはずがない。
これからもずっとそばで笑っていたかった。
だけど、草介さんの本来の幸せに、私は居ないはずの人間だから。
それでも、やっぱり。
あの大きな背中を追いかけられて、
ほんのり煙草の匂いがするシャツに顔を埋められて、
一緒に夢を見られる場所を、
他の女の人になんて渡したくない。
隣で笑っていたい人も、
私の音楽を聴いてほしいひとも、
全部、全部。
––––––––草介さんだけなのに。
行き場のない愛が溢れて止まらない。
制服が雨に濡れていることにも気を止めず、ただただ、せわしなく動く街の姿を眺めて居た。




