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ミコの影帽子 夢心背話(ゆめうらせばなし)  作者: 心環一乃(ここのわ むの)
第11話 ななつの魅せ場
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第11話_祝ちゃんに視得ているもの

 遂に始まった神様連中とミコとの決着、神感覚カードゲーム“ファニータイム”。

 1本目を終え、早くもギャラリィたる神様応援団はハラハラハアハア。興奮、発奮、絶頂、欲情etc…とミコに対する千差万別個神個神の想いが抑えきれずに熱くなる。言いたいことは分るが此ればっかりは体質。だからしょうがないとして、全員有りの侭を受け入れていた。自分の業として。

 そんな神様達。基本的に全員仲良しだが当然相性に差は出るもの。応援団としての観覧も自然と派閥別……元実力別に固まる。其の特等席、ミコを真正面視線の果てに見られる位置に居るのは魚、哉、祝、迷、絵の最強戦隊。その中でも最前列、手摺の上で腕を組んで身を乗り出して見ている神様が居る。誰でしょうか――祝だ。

 魚の教え子で哉の特別、最後に加わった絆の神。外見通り幼子のまま鍵を使って扉を開き神様となった。其の秘められた可能性は今尚全容が見えぬ程。彼女が師事した魚でさえ、共に歩んできた哉でさえ、未だ祝の実力を計りきれていない。何を考えているか分らない訳では無い。祝は外見通りのメンタリティで或る意味『一番安全な神様』と云える。ただ其の底知れない可能性が、どう転ぶか分らない。だから常に傍に置いていた。

 なんとなく、彼女が自分達神様仲間達の未来を変えてくれるような可能性を感じたから――これが最大の神望神徳を持つ魚や其れに連なる絵、迷達が祝に一目置く理由である。そしてその祝は今勝負中のミコに夢中になっていた。脇目も振らず、色目も使わず。なんてことはなさそうで、そうでもなさそうなその様子。微笑ましく見守っている魚は後ろから抱きつく様にして絡み尋ねた。

「祝ちゃん、ミコちゃんばっかり見てる……どうしてなの? かっこいい? それとも惚れた?」

「師匠……ヤキモチ焼くなら冬にしてくださーい。おいしくもちもちしますよわたしー。そうじゃないです。ミコおねーちゃん、堂々としてるなーって思っただけです」

「そうね……」魚が其処から先を繋げようとした矢先、隣に割り込んできた哉が口を挟む。

「そうだよね! アノ余裕の態度はムカつくってゆーか一周回って羨ましい! アノ椅子も、アノワークアシストも、そしてアノ天蓋も! 全部ロイヤルドリーム社が持てるパッション注ぎ込んで創ったって云う伝説の逸品だよ? ソレラを惜しげも無く見せびらかして優雅にやってる姿はもう……憧れ転じて憎くなるぅ! あたしもアレしたいしたいしたーい!」

 哉の困ったちゃん台詞を聞いた祝は、「そうです。わたしたちはこの闘いが終わったらミコおねーちゃんにあの家具類を借りに行くのです! 最低銅貨1枚で35分レンタルするです」と相方の無茶に負けず劣らずの無茶で応える。と言っても其れは社交辞令。祝の顔に哉同様片目ずつ備わった神眼・気雷眼と気炎眼が気迫の稲妻と陽炎を発し遠くのミコに只ならぬ視線を照射する。正直其処までするか?――同じ気炎眼&気雷眼を持つ哉と2名に其れを修得させた魚は祝の気迫の度合いに戦くが、此処で吃驚ハプニング。何とゲーム勝負中のミコが上体起こして祝の方に目を遣り、フリーとなっている自前の両手を小さく振って祝の観覧に応えたのだ。其の時の魚、哉、迷、絵の気持ち。「ウソ」

 一瞬の事で終ったが、其れでも其の一瞬ミコと通じ合った祝は「こりゃミコおねーちゃんの勝ちですね」としれっと爆弾発言をかます。小声だから他の仲間達には聞こえてないものの、一応翠の応援団である魚達からは一分、血の気が引いた。どうにか我を取り戻してから迷と絵が祝に尋ねる。勿論小声だ。

「みいこが君に手を振ったね。ひらひら扇に手を振ったね。まさか祝、みゅーんみゅーんぐるるっポーと直感してたの?」

「迷……此のえまーじぇんしー状況下でも相変わらず其のとーくすたいるなのね。関係ないでしょ、そんなこと。此処で大事なのはこんたくと出来ることを直感してたんじゃなく、実際にこんたくとがあって祝が其処からあのミコの勝利を感じたってこと。でしょ?」

 迷と絵、紛うことなき実力者コンビの漫才コンビもいけそうな落のアイデンティティを脅かすやりとりで祝に本題を吹っ掛ける。すると祝は片手一本人差し指でミコを指差しこう答えたのだ。

「なーんていうのかなー。細かい説明は出来ない分らない限界なんだけど……やっぱり役者が違うなーって思ったんだー。あ、大事なことはちゃんと言うからあんしんしてー。然るべきタイミングで。ね」

 何時だよ……4名は心中揃って突っ込んだが、祝が続け様に発した「見てればわかるよ」との御詞を戴き、受け入れることにした。祝同様、ミコに執着することを。応援団としての仕事を事実上放棄することを。

 ま、応援の度合いそのものも個神個神で違うので後ろめたさは全くない。翠のイカサマ乱舞があるからなんとかなるだろと云う楽観的視点の方が此の場では勝っていたのだ。ぶっちゃけ翠の勝利は動かない――然う思っていた。

 しかし此の実力者一味でも祝の勘と詞の真意は理解出来ずに終る。自分達の予想は正しかった。が、同時に祝の呟きも真実になろうとは、此の時の4名は知る由もなかったのだ。

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