第9話_神様達対ミコ=R=フローレセンス、三度目の激突!
俗世から一寸離れた何処かに在る、神様達の俗世本拠地。
学からの通信を受けて、神様達は俄に騒ぎ出し、各々ちょろまかと動き出す。
こっちから売った勝負とは言え、なんせ相手は自分達から設計図を奪いに奪ったミコ=R=フローレセンス。敵意を抱く者は備え、好意を抱く者は歓迎の準備。
どっちでも無い者は、お茶ついてる。魚、哉、祝のトリオとか迷と絵の御両所とかが正に此れ。一階大ホールにてソファに座り、お茶を啜りながら静かに待つ。本当に落ち着いている。
そして其の前には、更に別の意図を持って待っている神様の一団がいた。
寒村の神、㬢=ミルキィウェイ。
最高の神、戦=サイズ。
音楽の神、天=キャリオキ。
遊戯の神、翠=ミュージック。
更に既出。粋の神、希=ニックネームを加えたプレイヤー班。散々待たされてはいたが熟睡して待っていたと云う図太い神経の塊みたいな連中。勝負方法として零から作り上げたカードゲーム“ファニータイム”。其のデザインが決まったので叩き起こされてから略半月間、不眠不休でゲームの検証と最強デッキの構築に取り組んだ別の印象も与える連中。
寝ていたのは元からプレイヤー班に決まっていた㬢、戦、天、翠の4名だが、天、翠と仲が良く、そして外出組ながら其処でもミコに屈辱を味わわされ、猛烈に復讐心を強くした希が、デザイン決定の旨と決定版の御届け、更には寝ていたプレイヤー班の叩き起こしまで率先して動き、自分もプレイヤー班に加えるよう命令。事情を聞いた4名は寸也了承し5名体制に改組して半月間頑張っていた訳で在る。5名に共通して云える特徴は「ミコへの勝負に関するプロ意識」。勝利することが前提で最低条件且つ絶対条件である勝負を託された者達である。其の重圧を受け入れて検証作業の過程で見出し会得した5名だけのプロ意識。其れこそが勝利の必要条件である事、最初から知っていたから。
尤もミコとの勝負の前線に立つのは代表たる翠だけ。プロ意識を共有していると言ってもやはり個々の差は存在する。引っ込み思案で闘いとなれば逃亡が主義の㬢なんてその最たる者で、プロ意識以上に本質は弱気で内気、事なかれ主義の流され派女神。でも裏を返せばその場の空気に染まりやすい素直さ持ちでもあるのでこうしてプロ意識を持っている訳だ。場違いなのは解っているが、これが厭らしい此処俗世での最後の闘いよと願って覚悟を決めた㬢である。戦も、天も、そして希も、ミコに関わって尽く鬱屈した思いを抱えている。その想いの受け皿になったのが、遊戯の神の通り名を誇る翠。通り名からしても最初から適任だった実力派女神。既に準備は万端である。
(早く……早く早くおいで。ミューが……ミューがミューがこのミューが! ミューこと翠=ミュージックが、貴女を負かすわ――)
ミコ=R=フローレセンス――翠が心の独白でそう繋げようとした矢先、学ともうひとつ、当人の気配がした。周りの神様仲間達も感じ取ったようで、ざわめきながらも迎えの構え。お茶を啜っている魚達でさえ湯呑みを降ろすことはなかったが目付きが変わり、背筋も伸びている。
「来たみたいね」魚の発した詞。応じて良いのは此れから対峙する翠のみ。
「そうみたいね。嗚呼……嗚呼、嗚呼嗚呼嗚呼! 待ち焦がれた出番だわ!」
翠が然う叫んだ瞬間、扉が開いた。
見えた姿は気配通り、学とミコ=R=フローレセンス。
ミコは扉が開いた途端、送迎役の学より先に足を踏み入れ、大胆不敵堂々と、こっちに向かって歩を進めてくる。
その光景にどよめく他の神様仲間達。然し既にミコから視線を向けられている翠達プレイヤー班と背後で座っている魚達は動じない。此の殺伐と化した雰囲気の中、不敵に笑う余裕さえあった。
ミコが歩みを止めた。同時に学が扉を閉める。ミコの目が漠然から一転して一点、翠に照準を合わせてきた。其の瞬間、翠の胸が高鳴った。
「上等じゃない。ふふ……ふふふふふのふ。久しぶりね泥棒ミコさん。今回の勝負はカードゲーム。相手はこのミュー、翠=ミュージックよ!」
「あら……そうだったの翠様。嬉しいわ。闘いがいがありそうね」
神様と其の神様の問題を解いた女、三度目の対決が始まる――。
この度は愚者ぐしゃなわたくしの作品を読んでいただき、心より感謝申し上げます。
さて、本日も無事第9話を章ごとに分割してサブタイトル付けて無事投稿完了しました。
昨日の8話はノイマン家編前編で今日の9話は後編。まあ、いろいろ省きましたね。町の連中との対決とか、キティの思い出話で済ませちゃいましたからねー(笑・自虐)。
毎度ですが今回も章ごとの文量のムラが激しくなっております。終わりに近づくほど短くなるのはわたしのお家芸なのでしょうか(むしろ悪いクセって気がするぜベイベーora)。ともあれ、何とか家族再生の落としどころを見つけてやったぜって気持ちです。8歳と9歳で半自立ってのは厳しい気もしますが、ミコちゃんシリーズの物語俗世なら珍しくないことだと思ってください。大丈夫。ミコちゃんが鍛えた子供達ですからね。きっと。
相当愚者ぐしゃな作品ですが、みなさんの才能・感性・能力でなにか感じてもらえるものがありましたらこれ以上嬉しいことはありません。
一日1話のペースでチャプター・章ごとに分割してUPしていきたいと思っています。よろしくお願いします。
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