第2話_気象一族の追っ手登場
年が明けた新玉の月。雪の降る冬の日。
ポスティオ郊外の山の中を駆け抜ける女の子がいた。
真っ白なシャギーショートの髪に、灰色のコート。ミコよりも年下に見えるあどけなさの残る女の子だった。彼女は深く降り積もった雪をものともせず走っていた。それはその身体の小ささや体重の軽さゆえとかそういう次元の話ではない。彼女は雪原用の靴も履いてないのに、足跡を作る重みさえ雪に与えずに、舗装された道でも走るかのように、水面に浮き、飛ぶかのように走っていた。その走った後には、足跡さえ残らない。
でもそんな彼女の表情にあったのは……焦り。彼女は急いでいたのだ。追いかける相手が自分のテリトリーを出ないうちに捕まえたい――その一心で。
数日前に踏みしめられたと思しきまだ消えてない雪の足跡を追いかけ、走り続ける。
原っぱを抜け森に入る。行き先が地獄だろうが奈落だろうが関係ない。この足跡の先にいるのだ。ずっと求めてやまなかった人物が。
やがて、足跡を追って森を抜けると、崖と泉が見えた。その周りには木々はなく、少女が追いかけ始めた当初と同じような小さな雪原が広がっていた。
そして少女が追いかけていた足跡は、泉の淵にあった岩のところで途切れていた。
そこにいたのだ――だから終点。
岩に腰掛けてこっちを見ているのは――紛れもなくレイン。
遂に見つけた――少女は万感の思いで胸をいっぱいにしながらレインに向かって息も切れ切れに啖呵を切る。
「とうとう見つけたわよっ、レイン! 神様の問題を解いたにも関わらず、わたしたち気象一族に還元することなく逃げたあなたを、一族を抜けた裏切り者のあなたを……、今日、わたしが捕まえるぅっ!」
するとレイン――ミコは岩の上でふふふっと静かに笑うと、
「レインでも構わないけど今はミコって呼んでほしいわね。それがわたしの今の名前よ、スノウ」と答えたのだ。その声からは、どこか余裕と物悲しさを匂わせる。
熱く迸る身体を臨戦態勢に持って行く少女――スノウ。そんな彼女の挙動を見たミコは座ったままの姿勢を崩さず、優しげな顔をして向き合って、こう告げるのであった。
「待ってあげる。わたしは別に急いでないから」と――。
この度は愚者ぐしゃなわたくしの作品を読んでいただき、心より感謝申し上げます。
公約通り第1話に続き第2話を章ごとに分割してサブタイトル付けて無事UP完了しました。
第2話はお昼時に集中投下って形になりましたが…文量少ねー章が多かったですね(笑・自虐)ora。
特に終わりに近づけば近付くほど読者のみなさまも「えっ? これだけ?」って思われたんじゃないでしょうか? わたしは書いてて思いました(笑・自虐)。
でもその分終わりの方は簡単に読めると思います。いいのか、そんなんで…?
相当愚者ぐしゃな作品ですが、なにかみなさんの才能・感性・能力で感じてもらえるものがありましたらこれ以上嬉しいことはありません。
一日1話のペースでチャプター・章ごとに分割してUPしていきたいと思っています。そうでないと長過ぎる話とかもあるので(ネタバレしますが6話が超長い!)。
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