第17話_待ち構える男
建国宣言から一夜明けたコンタクトの首都プロマイズの中核、神殿。
そこには契約教の開祖にして“先達者”の称号をもつ完全なるトップ、サンダーがいた。
彼は一人神殿の最深部、“深奥の間”にいて椅子に座りよりかかったまま瞑想を通してプロマイズの情報を詳細膨大に受信していた。もちろん彼は神様連中と気象一族の企みに気付いている。情報媒体として電気を使っているサンダーは、情報戦ではこの惑星一の実力者だからだ。
そんな彼のいる部屋に、諜報員の声が届く。
「先達者様、先程プロマイズの町に『報告級』の警戒対象が73名現れました。内61名は町から程なく消え、残る12名が『湖畔荘』に宿を取ったようです」
諜報員からの報告、そんなの既に分かっていることだが、あえて知らない振りをして、サンダーは詞を発して話をする。
「そうか……御苦労だったね。建国宣言から一夜、我輩は今宵瞑想に耽るつもり故警護の者を神殿の外周に配備しておくよう取り計らってくれ」
「はっ、かしこまりました。全て先達者様の仰せのままに」
その応答とともに諜報員の気配は消え、深奥の間にいるのは再びサンダー一人となる。
瞼を閉じ、意識を外界へ広げると、案の定いる。自分の噂をする神様連中と人間達が。
その事実に安堵しつつ、サンダーは一人不敵に笑う。
「早く来るといい。お前達もすぐに知ることになる。あの女が捨てた力の凄まじさをな」
息を吐く程度の音量で「フ……フフフフフフ」と笑い声を零すサンダー。
誰も見てない領域の中、彼は一人静かに、笑い声を響かせるのであった。