第12話_神様達、今後の方針決定!
気象一族としてのレインの能力、水門連絡だと知っても遅い。ミコはもう雨水を通して何処かに行ってしまったのだから。神様と云えども、追うのは不可能。
途端、両手で頭を抱えて悶絶後悔絶叫する神様達。追跡しようにも手掛かりは無い。
万事休すと云った感が場の雰囲気を支配し始める頃、不意に声を張り上げる者がいた。
騒動の神、巡=サーキットドリームである。
「追いかけるのが不可能なら逆転だ。あたしたちがミコの名を騙って騒ぎ起こして本物を誘い出せば善いんじゃん!」
ピク――神様共の動きが止まる。暫し固まっていた頭脳がカタカタ動き働き出す。で。
「そっか! 其の手が在った!」と、莫迦な相槌を打ってしまった。
俗に云う『魔が差した』と云う奴である。神に魔を差したら『魔神』って詞に成るし。
其処から先は早かった。発案の神、颯=ピンポンが居たからだ。
只でさえ熟練老獪な謀略家の颯のあくど〜い発案。其れに計算能力では上を行く密室の神、直=ファンクションが改良案を出しブラッシュアップ。以下の大綱が纏め上げられた。
・場所は犯罪の起こらない街「セフポリス」
・ミコに近しい者を利用し、ミコの仕業と疑わせる
・殺すのは無し。ミコが好きな縁壊しの暗躍に絞る
・遣るからには徹底的に。ミコを貶めるつもりの事
以上の要項を纏め上げた神様達。其処迄決まると神様達の行動は速かった。皆ミコが残した水面盤を利用し、ミコの水門連絡と似て非なる業で徳利や杯、盆を片付け、傘にコート、帽子と云った外出着を引き出し身に着けハイ準備完了。神様仲間60名は、今再び俗世に降りる格好と成って、大ホールの向こう側、正面玄関へとゾロゾロ歩く。そして扉の向こうを目的地セフポリスに最接近させると、扉を開け、皆して飛び降りた。
神様にとって、落ちるのも飛ぶのも大差無い。行き先を選べる点も共通だ。
斯くしてあの日『問題』を解いたミコ=R=フローレセンスに又も完敗上を行かれた神様達は性懲りも無くミコをギャフンと云わせるため、ミコとの思出をもっと作る為に今一度俗世へと大挙して降りるのであった――。