おまけコーナー(ネタバレ含みます)
「ウルフと!」
「ジャンヌの!」
「おまけコーナー!」
拍手喝采!
「とまぁ唐突に始まったこのコーナーだが」
「うむ」
「何だこのクソ平凡なタイトルは!?」
叫ぶジャンヌ。
「仕方なかろう。元々、作る気なんて全くなかったものだからな」
なだめるウルフ。
「で? このコーナー、一体何をやればいいってんだ?」
「世界観の解説とか、そういう事をやればいいんじゃないのか?」
「説明って言われてもな・・・ウルフ、君に決めた!」
「某アニメの決め台詞をこれ見よがしに言わないでくれ」
台本がめくられる。
「えー、この『赤ずきんの復讐者 The Little Red Riding Hood』では、人狼によって転覆した人間社会の、その後の戦いを描くアクション作品となっております。主人公は、家族を皆殺しにされた24歳の乙女:ジャンヌ。復讐の念に燃えるジャンヌは様々な銃火器を駆使し、集団行動を原則とする組織『赤ずきん』の掟もほぼ無視して、単独で人狼を殺し続ける日々を過ごす。その狂気性と復讐心から、人類からも人狼からも『赤ずきんの復讐者』として恐れられるようになる。ある戦いでまたもや単独行動したジャンヌは、追っ手を振り切るために冷たい川の中へ自ら飛び込む。鋭敏な嗅覚をもってしても匂いが消されれば追いようがない人狼は引き上げていく。そして凍死寸前のジャンヌをウルフが助けた事で、物語が始まる」
「・・・・・・長ぇな」
「こんぐらい書かないと伝わんないだろ。これでも頑張って要約したほうだぞ? 冒頭部分なんだから、ホントはもっと長いだろ」
「まぁな・・・ん? 何? 手紙? これを読めっての?」
ジャンヌが、ADから複数の手紙を渡される。
カンペの指示もある。
「次は、Q&Aです? 質問コーナーなのか?」
「はい、ではクエスチョンを拝見・・・ふぅん? 『作中の設定について質問です! そもそも、なぜ劇中では雪が降っているのですか?』だとさ」
「アタシが知るかよ」
「はぁ。じゃあ俺が解説。劇中では人狼に支配されてから10年後の世界なんだけど、彼らは人であり狼でもあるから文明の利器をあまり使わないんだ。もちろん元々人間として育ってきた奴も多いから、そう簡単に今までの生活からは抜け出せないんだけど、とにかく電気などをあまり使わない。で、人類を尽く滅ぼそうって連中だから、当然、人間が生み出してきた文明を破壊する。人類の大多数が減るから、温室効果ガスを排出する工場などの産業が大打撃を受け、機能を停止させる。すると何が起こるか。地球のマフラー代わりになっていた二酸化炭素などが冷気によって徐々に減る。減るというよりは凍ってドライアイスになる。当時は間氷期の終わりに近づいていたから、余計に氷河期の入りが早まったと考えてもらっていい。簡潔に述べると、10年の間に温室効果ガスを生み出す機能がストップして地球の気温が減少、氷河期に突入してますます気温が下がり、劇中では雪が絶えず降っている、というわけ」
「・・・長ぇよ」
「いや、こんぐらい説明しないと分かんねぇだろ」
「あ、そうだ。アタシからも質問」
「ん?」
「第1話だと、ホークアイがお前に付き従っている理由ってのが『考えに賛同したから』と『惚れたから』だったけど、あの女帝にしては理由が弱すぎねぇか? もっと具体的な何かがないと、あの女は靡かねぇ気がするんだが――――」
「何だ、そんなことか」
突如ホークアイが割り込んでくる。
「うお!? ホークアイてめぇ、居たのかよ!」
「何を化物でも見たようなリアクションしてるんだ小娘。だが、問われたからには答えるのが礼儀だ。冒頭ではウルフが人狼だとは明かされていなかったからな、それが済むまで言うつもりは無かったんだが――――、は? 何だと? もう時間です、だと? ならば仕方あるまい。次回以降に回す」
ふぅやれやれ、と汗を拭うホークアイ。
「はぁ!? ふざけんなよ! 今説明しろよ、今!」
「第2話以降で明かされるだろうから、それまで待っててくれ、頼む」
必死に弁明するウルフ。
「じゃ、じゃあ今回はこの辺で。さようならぁ~」
言いながら逃げるウルフとホークアイ。
「あ! おい、ウルフ! 説明責任果たせ! おい!」
スタッフ一同、逃げるようにスタジオを後にした。
残されたジャンヌは、地団駄を踏むばかりであった。
<おまけコーナー第1回:完>