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七罪の召喚士  作者: 空想人間
第六章 遠征に縁あり
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第89話 試練その3

「さて、貴方たちの実力、見せていただきますよ。ユウ ナミカゼ様とそのお仲間の皆様」


 目の前の白髪の男はクフフと気味の悪い笑い声をあげると、持っていた本を何処かへ消失させ、こちらを真っ直ぐ見つめる。彼の体に内包される魔力は高まっていて、いつ攻撃が来てもおかしくはない。


「ッ!!」

「来るぞ!!」


 彼は風を切りながら敵を目の前にした蜂のような速さでこちらへ突進してくる。なかなか速いが、対応できないほどではない。

 既に取り出している刀を構え直し、ようす見とばかりに素直に突撃してくる彼にカウンターをお見舞いしようと、最近編み出したあの技を……


「ユウ駄目ッ!」

「クフフフフフ……上ですよ」


 アルトが止めたがもう遅かった。俺は流れるがままカウンターを行い、飛び込んできた彼の首元に直接刃を当て――られなかった。その姿は切り口からどんどん虚空に溶けていき、映像のように消えてなくなってしまった。いきなり俺は影分身のような何かに騙されてしまったらしい。


 刃は宙を切り、当たるかと思っていた攻撃は外れ、思いっきりバランスを崩してしまう。当然空気を切ったため、全くの手応えはない。


「ユウナミにはっ!」

「ふれさせません……!」


 レムの篭手モードによる上段突き、シーナの風の刃により、上から降り注ぐ男の拳の一撃の攻撃を相殺し、小規模な爆発が巻き起こる。――が、その程度では傷どころか服にも損害は見られなかった。気がつけば彼は攻撃を中断し、空中を蹴って再び元いた場所へととんぼ返りしていた。


「悪い……レム、シーナ、助かった」

「いえ、それよりあの人はまだまだ全力を出していないようですね」

「ゆう……油断しちゃだめ」


 レムのいうことはごもっともである。やはり俺はこんな強そうな相手でも、余裕で勝てる と慢心していたのかもしれない。彼女達が居なかったら彼の攻撃をまともに身に受け大怪我、下手したら即死もありえるだろう。


「おやおや……お仲間さんたちは随分頭が回るようですね。ナミカゼ様は無様にも引っかかったというのに。ククク……おっとこれは失礼しました」

「ふーん……人間。ユウを馬鹿にするってことは覚悟はいいんだね?」

「おっと、そのような下等種族と同等と見られては困りますね。姫は既に人間は超えましたし、我々は聖霊という、存在が十二人しか認められていない伝説の種族なのです。貴方達とは格が違うのですよ」


 アルトがさらに殺気を強める。なかなか相手もまた挑発上手なようだ。もっとも俺は挑発と分かっているのでわざわざ乗るような真似はしない。……多分してないはずだ。

 それにしても精霊って十二人しかいないのだろうか? あのちび精霊も実は希少だったりするのか?


「おい勘違いしてるかもしれないが、精霊と、聖霊は違うからな? 精霊は上位、下位があるんだが、聖霊にはない。力の差はあるが、何せ十二人しかいないからだ。その一番下でさえ化物らしいが」

「クフフっ……その通りです。中でも最強と言われているのがこの私。獅子座のレオです」

「なっ……?! そもそも存在すら怪しいのにっ……」

「まさか……人間と契約したのですか……?!」


 ドリュードは非常に驚いているが、俺には何のことだか分からない。アルトは 何言ってんだお前 的な半開きの目をして蔑みの視線を送っているが、シーナも驚いた声を出したのでこの情報は本物のようだ。


「クフフ……少しは驚いてくれましたかね? この情報も貴方たちを諦めさせるためにお教えしたのですが――諦めていただけました?」

「どうでもいいな」

「だからどうしたの?」

「……どうやら、何も分かってないようですね。では、少しだけ実力をお見せすることにしましょう」


 その瞬間、白髪の男は一瞬で上まで跳躍し、宙に浮き上がりながら彼の手のひらには極大な魔力の高まりが感じられた。こんな状況でもいえることは一つだ。


「散れッ!」


 皆は俺の指示を聞くまでもなく四方へ散ってくれた。大量の光の玉が、まるでビー玉を広範囲に落とすかのように、天井から俺たちが元々いた場所で破壊と共に激しく降り注いでいく。

 回避に専念することわずか二秒後、背中にゾクリとした震えが走る。彼はこちらに狙いを付けて猛獣のような目を向けていた。召喚士サマナーに対して何やら思うところがあるのだろうか。

 だが、それはこちらからしても好都合。皆が狙われているより俺が狙われている方が、皆も安全だからだ。


「さて、貴方の折れるところを皆さんに見てもらいましょうかっ」

「お前が諦めてくれると助かるんだがなッ」


 降り注ぐ光玉の回避を中断し、気功術と、魔力を身体中に巡らせ、彼と本気で戦い合えるように準備を整える。白髪の武器は恐らく自らの四肢。魔法もできるということで遠近どちらも対応できるようだ。流石は最強と自分で呼称すふだけはある。


 俺は刀を逆手に持ち替えると、凄まじい速度で接近する白髪に向け攻撃を――っとこれもまた偽物かよ。

 観察眼サーチアイがあればある程度判断が付くので、常時発動していた方がいいのだろう。俺に対して攻撃を仕掛けるのは――後ろからだ。


「二度も同じ手を食らうと思うか?」


 逆手のまま、振り向きざまに切りつけるが、とてつもなく硬いものを擦った手応えが痺れと共に返ってくる。弾かれたか。


「おや、もう対策を取られてしまいましたか」


 彼を見れば、刃を素手で逸らし、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていた。

 刀に対して素手とは……どんな皮膚の硬さを持っていたら伝説級の武器の一撃を逸らせるのだろうか。しかも、まだまだ余裕と見た。彼の笑みはどことなく勇者を思い出すが、直ぐにそれはどこかへ放り投げ、戦闘に集中することにする。


「《地鎖(アースバインド)》」

「おおっと、土属性まで使えるとは予想外です」


 俺が放った魔法は地面から大量の鎖を作り出し、それを相手に絡みつけ、動きを封じる技だ。魔界でもこの魔法は大いに役立ってくれたので少しは効果があるだろう。


「どうしました? その程度では全く届きませんよ?」

「こいつ……っ」


 しかし、彼は非常に素早く、その上的確に土の鎖を右へ左へ避けてているが――今の俺は一人ではない。ゴウっと風を引き連れこちらまで駆けてきたのはアルトだ。


「っ!」


 俺はこれまで通りに魔法を使い続ける。この魔法は何度も使ったので操作は幾分か慣れているのだ。 一方で彼女はまるで激流のような勢いのある剣舞を舞うが、白髪の男は焦ったようすもなく、後ろに下がりながら、そして鎖を避けながら未だに回避し続けていている。


「おおっと、貴方は随分実力が飛び抜けているようですね」

「《暗閃》っ!」

 

 赤黒い刀をさらに黒い光で染めると、刃を振るう速度が極端に速くなる。まるで乗用車のスピードからスポーツカーのような速度へ変わったような錯覚を覚える。だがこれでも――白髪の男には届かなかった。やはりまだこ攻撃を当てるには至らない。


 彼女の武芸の効果が切れそうなタイミングで、俺が前線に出る。そして、アルトはそのまま後ろへ下がる。出来る限り相手の攻撃に対する有余を無くす作戦だ。この作戦のお陰でかなり安全性は増した。


「はぁっ!」

「貴方も獣人とは思えないくらいのタイミングの良さですね。お見事です」


 同時にレムも後ろから走りだし、彼に対して鉤爪を大きく横に振るものの、ジャンプして回避される。だが、俺も走り出している。逃がしはしない。


「落ちなさい。《風槌エアハンマー》」


 と、ここでシーナによる絶妙なタイミングでのアシスト。流石に白髪も驚いたようで、慌てて光の玉を作り出し、風の大槌を相殺する。

 彼は少し遠目の位置で体制を整え、地面に着地する。ちょっと遠い所だが――


「おらぁッ!! 《三閃トライスラッシュ》!」


 と、ここでドリュード待ってたとばかりに白髪の元へ肉薄し、剣モードにて熟練の剣技を振るう。長年使っているからなのだろうか、かなり効率的に剣を振るえていた。


「くっ……っ」


 初めて浮かべた苦悶の表情。どこか嬉しげに見えるが、彼の攻撃が重いのか、それとも体制が整っていなかったのか分からないがとりあえずは一撃目だ。しかしこれでもなお聖霊は二閃の攻撃を凌ぎ、蹴りで反撃する。

 ドリュードも反撃を予測していなかったのか、とっさに魔道具を横に構えて防御行う。攻撃の手は止んだが彼の隙はさらに大きくなった。


 これだけの時間があれば俺は彼に攻撃を与えることができる距離は近づける。

 達人級であろう武芸を発動しつつ、文字通り火力を期待して全身に魔法纏の炎を纏った。


「《滅閃》っ!!」

「おっと、これはまずいですね」


 その瞬間、ドォォォン!と激しい爆発音と衝撃波が俺を飲み込んで部屋を暴れ回っていく。

 皆も流石にこれだけやれば仕留めただろうと感じているだろう。だが、俺の刀に感じる手応えは――ま逆だ。防がれた。


 ギャリギャリと、火花と共に鉄がこすれたような金属音が、静まり返った空間に響く。男性は両手で俺の刀を白刃取りしていた。勿論白刃取りしたって、両手は無傷では済む筈がないのだが、彼は少しだけ笑顔のまま俺に話しかける。


「……ここまでチームワークが整っているとは予想外ですね」

「お前の強さが足りないだけだろ?」

「心外ですね。私はこう見えて獅子――」

 

 アルトが気配を消しつつ、話している間に後ろから切り伏せようとしたが――彼は俺の剣を白刃取りのまま手を裏返して、俺の刀を押す力ずらし、硬直状態から俺はバランスを崩す。しかし、タダではやられてたまるかと、彼女をアシストすべく、白髪にだけ引力倍化を放つ。

 彼の手からは剣から離れて自由になった両手で、アルトの一撃を受け止めようとしたが


「《マルテラート》っ!!」

「ぐっ?!」


 刃のこれまでとは違う凄まじい威力に、思わず苦痛の表情を浮かべる。三回攻撃して全て防がれたが、彼女の攻撃はこれで終わりではなかった。


「まだだよ!《ビス》っ!」

「ぐぅっ……!?」


 さらに同じく三回攻撃。二回目で彼の身体が浮き、三回目で大きく吹っ飛ばす。

 これで仕留めたとは俺は思えない。体制を立て直すと、彼が飛んでいった方向にに火属性魔法である《紅連くれん》を打ち込む。この魔法は火炎球ではなく、細いナイフのような形をしたものだ。俺の意思が伝わったのか、レムも《乱閃》、シーナも《風刃エアカッター》、ドリュードも銃モードに切り替え、打ち込む。

 砂埃で姿は見えないが、全員の攻撃はヒットしたはずだ。


「はぁ……はぁ……どうかな?」


 手応えは十分、火力もオーバーキルを狙ったぐらいだ。皆も少し息が上がっているので、全力で押し込めたはずだが、どうだ?


 カラカラと塔の壁の破片が地面に落ちる。結構派手に暴れたつもりだが、倒壊する心配はないようだ。

 そう思っていたら、次はガラガラと大きな音がした瞬間、金色の光があたりを埋め尽くす。そして、瓦礫を大きく四方へ飛ばした。こちらには届かなかったが、彼が生きていることはその場にいる全員が分かった。


「くそ、あれだけやってこれかよ」

「ちっ……これでも火力が足りないか……」

「一応伝説の聖霊なんでしょ? これぐらいでなくちゃね?」

「なにやら先程とは様子が違いますね」

「びりびり……します」


 光が収まった部屋には、砂埃から出てくる白い髪から金色の髪へと変化した男。雰囲気もガラリと変わった。ヘラヘラとした者から、目の前の者を殺し尽くすような者へ変貌を遂げたのだ。まるで猫からライオンになったような雰囲気の変化に恐れる自分がいる。とビフォー、アフターで比べたら面白い事になりそうだ。


「久しぶりですよ。この形態になるのは」

「髪型と雰囲気しか変わってないがな」

「正直金髪ダサいよ?」

「かっこわるい……です」

「お、お前らな……いちおう最強の聖霊だぞ?」

「こんなものは聖霊様ではありません」


 彼女たちも強くなったな。と、心から思う。放たれる威圧感、覇気は変化する前ももおかしかったレベルであるのに、いまはおかしいを通り越して乾いた笑いが出るレベルである。これでも元魔王には及ばないが。


「貴方達はこの形態に誘導してくれた感謝を込めて……さっさと殺させていただきましょう」


 その瞬間、消え


「ぁ……っ?!」


 俺は全員を吹っ飛ばした音だと気がついたのは、背中に感じる衝撃と腹部を貫通したのではないかと思うほどの痛み。


 俺達は簡単に吹っ飛ばされてしまった。彼の姿も見えずに、なんの抵抗もなく。

 全員が部屋の壁にぶつかり凄まじい音が木霊する。


「ふむ、やはりこんなものですかね」


 まだまだ動きになれていないようで、手を握ったり、開いたり、屈伸をしたりしている。こいつは本当に……強いな。

 だが俺は焦らないことをしっかりと心に決め、今の状況を冷静に観察する。


 アルトは何とか立ち上がろうとしているが、かなりダメージが大きいらしく、足が震えている。レムはとっさの判断で防御したつもりだったらしいのだが、かなりダメージを負っているようで口から血が出ていた。シーナは壁に激突する事はなかったものの、横になって立ち上がれない。一応生きてはいるが、かなりやばそうだ。ドリュードも同じだ。倒れ伏していて動かない。


 何とか彼女達を何処か安全な場所へ移動させなければ、俺達は……全滅するな。

 必死で考えを巡らせているときに、脳内に直接音が、否、声が聞こえた。


『我……らが……力を……』

『試練……を……最後の……試練……を……』


 ノイズが走っていて聞こえにくいが、確実に夢に出てきた彼女達だ。アルトもレムも気が付いたらしく、上を見上げている。


「ほう、聖霊の一撃を喰らいつつ、なお生き残りますか。対した精神力、いや、防御力というべきでしょうか」


『召喚士を……この上へ……!』

『我らが……試練を……与えよう……さすれば……こやつを倒せるほどの……!』


「ごふっ……なるほど……ね」


 ドリュードが魔道具を握り締め、ふらふらと立ち上がる。それに続き、シーナもふらふらと杖を支えに立ち上がる。


「ユウナミを……精霊さんと契約させれば……いいんですね……!」


 アルトはひと呼吸すると変身を解き、黒い翼、オッドアイ、灰黒色の髪に戻ると、金髪を見つめながら、俺に話しかける。


「ユウ、僕達があいつを押さえつけるから」

「ゆうは……精霊さんと……契約をっ……」

「なに考えているのかは分かりませんが、ここを通すわけにはいきません。それと私を馬鹿にしましたね? 」

「ユウナミ、早く行ってください。ここ私たちがっ!」

「さっさと行けよ少年!おじさんが人のために尽くしてやるっていってるんだ。まさか……成功させろよ?」


 皆は再び武器を構え、金髪の星霊、レオに立ち向かう。皆の覚悟が痛いまでに伝わった。


「…………悪いな。こんなところに連れてきちゃって」

「何言ってるの? 僕はユウと出掛けられるだけで幸せなんだよ?」

「ワタシも……まだ……ゆうと……お出かけしたいです……!」

「私の恩返しはこんなところでは終われません。なのでここから出てからまずは話しましょう」

「まだ、貸しを返してねぇからな俺は。こんなところで死にたくねぇんだからさっさと契約してこいよ!」

「っ……皆……」


 命の危険が迫っているというのにもかかわらず、俺のために、皆の身を徹しての時間稼ぎをするということに思わず泣きそうになるが、こんなところで無駄な力を使ってはいけないと、ぐっと堪える。レオはこの様子を見て非常に楽しそうだ。


「クフフ……いいですね……この状況を叩き潰すのがとても楽しみです……よっ!!」


 再び消失。だが、俺は慌てない。

 ここで俺が唱えるのは、魔法創造スペルクリエイト。成功しないなら……成功するまで唱え続けるだけだ!


「《魔法創造スペルクリエイト》っ!」

「ぐぅ……これ……はっ?!」


 金の光が俺のそばから遠くへ飛んでいく。魔力の渦が巻き起こる。成功だ。創った魔法は……転移魔法。レベルは1に戻っている。


「皆。ここは任せるぞ」


 俺は呟くと同時に魔法を発動する。目的地は目の前だ。


「任せてね!」

「まかせて……ください!」

「お気を付けてください、ユウナミ」

「これで貸一つ返したかんな!」


 光が収まると、螺旋階段の目の前にいる。結界はない。


「っ!行かせるわけには……いかなっ?!」

「ふふふ、行かせないよ?《アダージッシモ》!」

「ちょっと落ち着いてもらおうかっ!《震》」


 アルトとは手のひらをレオに向け、ドリュードは剣を地面に突き刺すと、レオはがくがくと揺れながら膝をつく。


「たびたびありがとな。すぐ戻ってくる」


 俺は魔法纏の風を使いながら螺旋階段を無視し、空中歩行で全力で駆け上がる。今求められるのは速さだ。


 階段は一番長かったが、無視して真上に突き進む俺には関係ない。階段の終わりがみえるとそこから階段に沿って全力で走る。


 遂に頂上へつくと、空がみえる、そしてその場所は星が綺麗な場所であった。しかし、塔の頂上には何やら大きな機械のようなものがあり、雰囲気は台無しだ。それらは、グオングォンと音を立てながら、なにかの波動を発しながら動いている。なにより不思議なのが、女の子が二人並んで額に汗を浮かべながら辛そうな笑顔を作りながら腕を組んでいることだ。


 彼女たちは外見的に見れば十五歳程度で、に俺より少しだけ年下であり、右にいるのキリッとした女の子は黒髪のサイドテール(右向き)をしており、左にいる女の子はどこかぼんやりとした表情で、こちらも黒髪のサイドテール(左向き)をしている。そのようすはまさに双子のようだ。


「悪いが急いでるんでな。さっさと済まさせてもらおうか」

「ふふふ……そう……じゃな!」

「はやく……済ませましょう……!」


 ビリビリと音を立てながら首輪が赤く光る。どうやらレムが装備していた奴隷の首輪と同じような仕組みをしているようだな。


「これ……より……」

「最終……試練を……」


「「……開始するッ!!」」


 その言葉を放った途端、彼女たちの目の光が失われると同時に、彼女たちから感じ取れる魔力は微量なものから、レオにも負けじと劣らずの莫大な魔力へと増大する。だが、そんなものに一喜一憂している場合ではない。


「こっちも急いでるんでな。悪いが早めに終わらさせてもらおう。《魔法纏》闇 炎」


 アルトが纏っていたイメージで俺も纏う。

 魔法纏によって合成されたものは、俺の体から真っ暗な炎を吹き上げるような姿をとっていた。

ご高覧感謝です♪

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