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七罪の召喚士  作者: 空想人間
第一章 転生は突然に
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第8話 ここから出るために

 スキルというものは身体に何らかの影響を及ぼし、魔力の有無に関わらず、その起こす現象をアシストしてくれるという魔法じみたものである。魔法もこの世界にはあるのだが。


 スキルの凄さは使用し、実際に体を動かせば凄まじい違いであったために、あるのとないのとでは天地の差がある、ということは分かっている。何をするにしても案ずるより産むが易しってことだな。


「《能力創造スキルクリエイト》!」


 片手を何も無い空間に向けて前に押し出して、魔法を使うポーズを取る。もう一度いうが、中二病ではないので心配はしないで欲しい。いや、本当は半分くらい患者なのかもしれないが。


 魔法を放った途端に体の中の三分の一ぐらいの魔力が一気になくなる感覚が襲いかかり、ふらっとなる――が、倒れるのも恥ずかしいので足に力を入れてぐっとこらえる。


 ここからの流れは脳内に浮かぶイメージ通進めればいい。


「ぐっ……付加エンチャント観察眼サーチアイ!」


 思いっきり声を上げて叫んで魔法を唱えてしまったが、以前とは違い、すぐに変化は起きない。

この動きまでしたのにも関わらず、何も起きなかったらどうしようかと考えてしまう。

 数秒経つと、そんな考えもすぐに霧散し、身体があったかくなるような感覚がやってくる。


「一応成功、なのか? でもなんで今回は遅かったんだろうな」


 もしかしたら観察眼(サーチアイ)のスキルが、この世の理に逆らっているかどうかの判定に時間がかかったのかも知れないな。もっとも、能力創造は成功したので問題は無いが。


「さて、早速発動してみるか。この綺麗な泉の水は飲めるのか?」


 新しく作ったこの観察眼サーチアイというスキルは、体術とは違って常時起動しているスキルではないため、いちいち起動させる必要がある。

スキルの起動の仕方は口では説明しにくいが、例えるなら身体の何処かにある やる気スイッチ をオンにする感じだ。


 目の前の綺麗な湖をゆっくりと覗きこみ、スキルを発動させると、これまた面白い事が起こる。


 ――――――――――――――――――――――――――


 名称 魔力の泉


 レア度 LV3


 備考


 人間には無害。

 魔力を含んでいる湖。飲めば魔力を微量回復する。


 ――――――――――――――――――――――――――


「ゲームみたいな説明だな」


 そんな感想を抱きながら視界の端に浮かぶ半透明に見える映像を眺める。

この映像は使用者だけ見えているのか、それともほかの人のにも見えるのかは要検証ってところだな。


 とりあえず、これは有害ではないということが分かれば満足だ。早速喉を潤すことにしよう――と思ったが、中に海藻が生えているることに気がついた。


 その海藻はとてつもなく、体に悪そうな色をしていた。


「なんじゃありゃ……」


 透き通った湖底に生えている海草は全体的に紫色。それだけでも体に悪い影響を与えそうであるのに、さらに白い斑点がぽつぽつと浮き出ている。植物の病気を連想してしまう。


「まさか、食えないとは思うが……調べてみようか」


 今のところ、これ以外に食べられそうなものは見受けられない。草すら生えていないし、周りは石ころだらけだ。なので、食べられるとは考えたくないが、口に入れられるものはこれしかない。


 覚悟を決めてワカメのような海藻を見つめ、スキルを発動した。


 ――――――――――――――――――――――――――

 名称 怪力の海藻


 レア度 LV5


 備考


 人間には無害。魔力が豊富な場所でしか生えない貴重な海藻。食べればATKが0.05だけ上昇する。

 味は最悪である。


 ――――――――――――――――――――――――――


「…………」


 絶句してしまった。こんなものが無害だと? なおかつ魔力の泉よりレア度のレベルが高いとはどういうことなのだろうか。


「とりあえず水飲むか」


 両手で水すくい、一気に飲み込む。

 乾いた……体に水が染み込んで――って


「なんだこれ。なんか魚臭いんだが」


 何故か魚の生臭さを感じる。喉が乾いているのだが、ガツガツ飲めるものではない。喉が乾きすぎておかしくなってしまったのだろうか?


「……一応、味見ぐらいはしとこうか?」


 そうして湖にはいり、掴んだのは、わかめもどき。怪力の海藻という名前があるが、俺からしたら完全に紫色をした白斑点のわかめである。ぬるぬるして気持ち悪い。


「唯一の食料なんだ。生きるためには食べるほかないだろ……俺」


 身体が拒否しているのがわかる。現実を認めたくないのだろう。だが、先のとおり唯一の食料。そして俺の筋力も上がるし、生きる可能性を上げるとても重要なものだ。ただ色が悪いからってなにをそんなに拒否しているんだ?


 覚悟を決めてわかめに力を入れると、ヌルッと、そしてすぐに身体がぞわりとするような気持ち悪さが全身を走る。


「……生きるためだ」


 挫けそうな心を必死で持ち直して、ぬるっとしたわかめを引っ張り抜く。

 水から出したと同時に強烈に臭ってくるのは、まるで魚が腐った匂い。


「お前のせいで水が魚くさくなったのかよ……っ」


 鼻をつまみたくなるほどの強烈な悪臭に三度ドン引きする。だがしかし、こんなところでとまれない。


「せーのっ」


 口に入れた途端ぬちゃっという感覚。そして……


「………?!」


 無言でわかめを吐き出した。

 味ってレベルじゃないぞこれ。気絶するぞ。


 この時の俺の顔色はわかめより紫色になってるかも知れない。



高覧感謝です♪

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