第70話 生徒会登場
生徒会の連中はあっというまに騒ぎを制圧し、素晴らしい判断で生徒達を助ける。本来からそういう奴ららしいな。
「で? これが素晴らしい判断だと?」
「ええ。しかしこれは会長の判断です。あの人はよく慌てますが、間違った判断は致しません」
メガネをくいっと上げて青髪ショートヘアの生徒は俺達に言う。
あれから何があったのかというと、生徒会は少人数ながらきちんと状況の把握、被害状況の調査などを迅速にこなしたあと、俺達を部屋へと呼び入れた。というか連れられた。
当然ながら俺達の言い分は無視だ。「話が絡まる」と言われたので流石に反論できなかったが、レムとアルトも不機嫌そうな顔をしていた。無論俺もだが。
生徒会室であろう場所に連れられて、座らせられると会長からはいきなり頭を下げた。
「お前らの貢献は大きい。生徒会一同感謝する」
「お、おう」
完全にこちらの言い分を無視していた人が急に頭を下げたので言葉に困ったがとりあえず返事をした。
部屋を出るなというルールを守らなかったとはいえ、俺達は侵入者に対して、または負傷者に対して大きく貢献したということでこっそり評価されるという形に落ち着いた。だが、世間でみられている俺の対処の設定としては厳重注意といったところだ。部屋を勝手に出てたことを咎められなくて良かったとも言える。
俺としても出来る限り穏便に済ませたかったのでこれはこれで良かったと思う。事務員さんも黙っていてくれたらしいし、感謝だな。あとでお菓子とか送らなきゃダメか? 菓子折りっていう言葉があるくらいだからな。
「では被害総額の計算をするので私はこれにて」
「みーは会長といっしょー!!」
「おいおい、恥ずかしいだろ?」
そう言って青髪ショートヘアはメガネを再びクイッと上げて席を立って行った。他の役員も各々の仕事や授業へ戻っていったが、このピンク色の髪でぼさぼさセミロングの生徒は、生徒会長といちゃいちゃし始めた。それと生徒会長は爽やかな顔立ちをしていて、ちょっとくせっ毛のブラウンの髪色。
モテるのは分かるが目の前に来客が居るのにそうのようなラブラブすることはやめて欲しいものだ。
ピンク髪の役員はゴロゴロ喉を鳴らしながら生徒会長の膝枕で寝転んでいる。
こういうことだ。こういうことをやめて欲しいというのだ。実現するな。やめろ。
「もう帰っていいか?」
俺はピンクの甘ったるい雰囲気に流石に音を上げ逃げることを決めるが
「ああ。あと少し待ってくれ。君たちへの生徒会加入許可書が来るはずだ。ちょうど風紀委員の枠が空いているんだ。強盗と対等に渡り合えることから君達に任せたいのだが」
こいつちゃっかり俺を生徒会に加入させようとしていたのか。油断ならない奴だな。
「やだなぁ……」
「ご遠慮します……」
「俺もお断りだ。そもそも俺は召喚士だし、戦闘能力は皆無だ」
俺達はそれぞれ断ったが俺の言葉を聞いて生徒会長は腕を組むと飄々とした雰囲気から一転。鋭い目つきで俺を射抜く。
「へぇ。闘技大会であんな機敏に動いて竜人を足蹴にした程実力があるのに、か?」
「見てたのか」
「当然のこと。俺は生徒会長だぞ?」
こいつはいろんな意味で手ごわそうだな。しっかりと生徒一人一人の情報を細かく把握しているとか言われても不思議ではなさそうだ。竜人に様をつけないことからこいつは普通の生徒となにかが違うようだ。
「俺はどっちにせよやらんぞ。そんな面倒くさいのやってられないな」
そう言えばこのように断りを入れたら大体は脅されてそのことに巻き込まれるんだよな。今回ばかりは脅しが来ても俺は断りを
「そうか残念だが仕方ない、諦めよう」
「引き止めないのか?」
「なんだ? 引き止めて欲しいのか?」
俺はついつい驚いて変なことを言ってしまった。生徒会長もニヤニヤしている。
「いや俺はこの学校に来てからというものの脅されたりとか色々あってだな」
嘘と本当を半分半分で混ぜて俺は正直に語っているように見せかけていると、どうやら信じてくれたようでなにかを察したような表情で俺に話し出す。
「学園長とかか。まぁ、あの人はいろんな意味で危ない。オレもあの人には逆らえないことから、いい駒とか言われたりするんだよな」
どうやら生徒全般にそういう嫌味を含んだあだ名がつくようだ。だから嫌われているんだろうか。
「だけどオレだって完全にあの人に忠誠を誓ったわけじゃない。いずれあの人にはしっかりと学園長というに相応しい存在になって欲しいんだ。それとお前らは、どっちなんだ?」
「どっちなんだと言われてもな」
この時の選択肢としては、学園長に忠実に従う玩具なのか。はたまた心に何らかの意志を持つ生徒なのか。ということだろう。正直どちらでもない気がするが。生徒は生徒だろうよ。
「どっちに付いているか分からない奴に学園長の事をありのまま話すことはないだろう。そんな俺のことを信じて大丈夫か?もしかしたら俺は学園側かもしれんぞ?」
「良く言われるよ。信じすぎってな。だが、お前はどこか信じられる。召喚士。そして、あれだけの実力を持ちながらそれを誇示しない。そんなところにお前が信じられる部分があるんだよ。――と、話がそれたな。お前はどっちだ?」
そこまで結果を求めるのに意味はあるのだろうか。俺は繰り返し言うが正直どちらでもない。ここに来ているのは俺自身の目的の達成感、そしてアルトの協力のために来ているからだ。俺の答えは――
「ならそうだな俺は――第三勢力とでも名乗っておくか。付かず離れずの関係を保ちたいんだよ。出来るだけ面倒ごとはゴメンだが、利用するときは利用するし、されるときはされる。これが理想だな」
そんな格好つけて言ってるが要約すると関わりたくないということだ。格好つけているだけである。
まして編入して一日目である。そう早く決める必要はない。これが最高の案であろう。
「ぷっ……あっはははは!!まさかそんな答え方をするなんて予想外だ! 流石は“愚弄の召喚士”といったところか?」
「ちょっとまて。何だそれ」
聞き捨てならない言葉が出てきた。何? 愚弄の召喚士? バカにしてるのかそれ。すごく重く、どこか心に響くんだが
「あれ? ユウ知らなかったの? 最近についたの二つ名だよ!いつもユウって戦うとき挑発するからねぇー?」
「かっこいい……です」
「やめて。しかもレムおまえ棒読み」
アルトとレムが唐突に俺を煽りはじめる。挑発は仕方ないとしてレム。かっこいいんじゃないんだ。これは中二臭いっていうんだ。
「だれがそんな名前をつけたのかは知らないが俺はそんなのお断りだ。二度と呼ぶな」
俺は怒気を含みながら言ったつもりだったがこいつらには全然効果がない。
「そう照れるなって! 胸張っていいんだぞ!!」
「照れてる照れてる!」
「照れ……てる!」
こいつらは何を感じ取って照れていると感じたのか未だにわからない。
これが異世界格差か。
「もういい。帰らせてもらおう」
俺は立ち上がり、席を立って部屋からでようとすると再び生徒会長が俺に声をかけた。
「あの学園長、何かがおかしいんだ。十分に気をつけてくれ」
「呼んどいて魔法薬ぶっかける仕組みを作っているやつがおかしくないわけ無いだろ」
「た、確かにそうだよね。あれはびっくりだったよ」
俺が当たり前のように言うとアルトとレムは白い目をして同意の意を示す。
「さて、厳重注意という設定の上で授業に戻るか」
生徒会長が学園長は危ないというのだ。一応記憶の片隅にでも残しておこう。
どうせなら事件がない二度目の学園生活を送りたいものだな。
俺は教室でどんな罵りが飛んでくるのか考えながら教室まで歩いていった。
不意に俺は学園長がいっていた遠征という出来事を思い出す。やる気があるやつが行けばいいと思うんだよな俺は。
編入して一日目で授業を中断されるというとんでも事件に巻き込まれたので、主に精神的に疲れた。
やはり人を信頼するにはじっくり時間をかけなくては――
サイレンがならない、生徒からしたらいつも通りの生活。俺はそういう風に生活したいんだけどな。
ゴォォンと鐘が鳴る。計十一回。お腹がすいてくる頃だな。授業はきっと終わってしまっただろう。
次はサボらずしっかりと出なければ。
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俺達は当たり前のように授業に出たところ先生には説明が伝わっているらしく、怒られるどころか寧ろ小さな動作で感謝された。先生には。
その様子を敏感に感じ取った生徒たちには俺達への敵意が高まってしまった。
例えば
「なんであいつが感謝されるんだ?」
など疑問に思っている人もいたり、
なぜそうなったか考えを巡らせていたり、ブツブツ呟いていた人もいた。
もともと悪かった俺イメージがこれにより地底以上深く、悪くなってしまった。
初日から印象が最悪である。
ご高覧感謝です♪




