第64話 学園長との対面
「……はぁぁ」
身体が重い。魔力の使いすぎではない。気分明らかに気分からくるものだ
なぜ俺はこちらの世界に来てからというものの無駄な所で張り切ってしまうのだろうか。
「至急きてくださいまし!! あの学園長なんですよ!!」
「あのって言われても、僕達にはどれだけ凄いんだか分からなないんだけど……」
「強いん……でしょうか」
そういえばリンクス、ミリュも学園長には色々と悪態を吐いていた。確実に面倒くさい人なのだろう。
壊したからとは賠償金払えと言われてもはっきりと断らせもらおう。先に俺は警告したからな。
「さて、案内を頼む」
「では、しっかりとついてきてごさいまし」
俺達は校舎に入っていく。そしてこの施設はなかなかお金をかけていることがよくわかるほど設備は豪華そうだ。中に入ると大きなロビーがお出迎えしてくれた。
それにシャンデリアのようなものが様々な場所につり下げられている。ここまで必要ないと思うが流石は国立と言われているだけあるな。
授業の風景も垣間と見た。何をやってるのかはさっぱりだ。幾何学模様をどーたらこーたらいっても――授業についていけるといいが。
「凄く……ピカピカです」
レムがいうように大理石のような床もピカピカだ。
これ生徒が掃除するのではなくてそれ専用の掃除員もいるようだな。外に用務員さんが見えた。
ながーい廊下をトコトコと歩いていく。……こんなに長い理由が分からない。製図の人はなにを考えているのだかわからない。
「さぁつきましたわ。ではごきげんよう」
目の前にある扉の向こうからは何か嫌な匂いがした。比喩ではなく、本当に。化学的な薬品の匂いがする。
そう言って来た時より早足で帰っていった。
やはりこの学園長は嫌われてるな。
ただ単に生徒が嫌っているだけか?それともそいつの人間性が腐っているのか。まぁ会えばわかるか。
「ううっ、変な臭いがします……」
「これ、魔法薬かな。結構匂いからして危ないものもあるし……」
アルトがいうなら間違い無いだろう。取り敢えず風魔法を纏わせておいてあげよう。もしかしたら変幻をとく魔法薬があるかも知れない。
彼女達に触れて、馴染みのあるスキル名を言い放つ。
「魔法纏、風」
「ふぁ……」
「これっ……?」
彼女らに風の魔法纏を掛けるのは初めてである。
少しだけ驚いたようだ。
出力は近くにいてやっと風を感じるほど微風である。
「魔法薬の影響で何かあったら危ないだろ?念のためだ」
「なんかふわふわするっこれ楽しい!!」
「ふわ……ふわ……」
無属性以外の属性で魔法纏を全て行ったが、やはりどれもこれも特殊で纏っているだけで楽しかった。やはり楽しさは世界共通であるようだ。
「行くか」
意を決して俺達は扉を開ける。学園長は悪い噂しか聞かないので警戒をしておくには充分すぎる理由だ。
「……」
「……えー……」
「また、扉……」
レムが言うように扉を開けると廊下の奥に再び同じ扉がある。廊下細いのが余計に警戒心を強めさせた。
「気をつけろよ?」
二人はコクリと頷いた。よく考えてみると、なんで部屋にいくのにこんなに警戒しなくてはいけないんだろうか?
近づいていくことに匂いはどんどん濃く、強くなっていく。
そして再び扉に手をかけたとき、何かの装置がカコン、お動く音が微かに聞こえた。
「…………」
ガタガタと扉を揺らすが、開かない。
「えっ」
「開かない……?」
どうやらあの学園長はやはり色々とおかしいらしい。何故呼んだのにもかかわらず扉をしめてるんだ?
早く帰って寮にいきたいんだが
次はガコンと大きな音が細い廊下に響く。全員が音のなった方向、天井を見上げる。
「なにこれ」
「バケツか?」
「なかから変な臭いがします……」
その瞬間。中に入っている透明な液体が、降ってきた。この学園長いったい何を考えてやがる……!
ドバァッ!と思いっきり飛び散り、俺達に掛かろうと思えたが魔法纏により直接かかることはなかった。
あたりはびしょびしょだが俺達に影響はない。
警戒して何よりだ。だが問題はこの液体の効果だ。
「魔法纏の風が解けてるのか?」
「ほんとだ、ふわふわしないなぁ。せっかく掛けてもらったのに……」
やはり空を飛ぶとは違う楽しさだったようで残念そうな表情を浮かべていた。この透明な液体は魔法を解く効果があったようだ。彼女らがかかったら危なかったな。
レムが座り込み飛び散った液体を見ている。
「やっぱり変な臭いこれ……です。」
狐のレムがいうので間違いに無いだろう。すると ガタン と扉から音がする。予測するに先程の仕掛けが起動し終えたあと開く仕組みになったようだ。
「なんでこんな仕組みにしてるのかな」
アルトの意見に激しく同意した俺達であった。
ガチャリと扉を開けるとやわらかそうな目が覚めるような赤い絨毯が目に飛び込んでくる。次はしっかりと部屋だろうな?
「ようこそ。私が学園長であるマージャ。まずは突然の出来事を許して欲……なぜお前らは濡れていないのだ?」
奥にある豪華な書斎のテーブルの向こうで椅子をくるりと半回転させてこちらを向き、俺たちが無事な理由を聞いてくる。学園長は黒いローブに黒い魔女帽、赤目、紺色の髪。そして30代ぐらいの顔つき。まさに魔女と言う感じであった。
「どうでもいいだろ。それよりなんで呼んだんだ?」
「……噂通りの生意気なガキだな。だが、どうでもいい訳にはいかないんだよ。あの魔法薬には魔法を解き、暫く使えなくする効果がある。お前らにはかぶってもらわないと困るのだ。」
なんとも酷い言い分である。嫌われる意味が分かったような気もする。こいつギルマスみたいな性格をしてそうだな。それと魔法纏はスキルだ。風の纏いは使えないが他の属性なら大丈夫である。
「被る気などないぞ。その為に来たんじゃない。んで用件はなんだ?」
俺は完全にスルーしてタメ口で用件を直接聞く。アルト、レムは互いに部屋を見回していたりぼそぼそと話していたりしていた。
「まったくこれだから最近のガキは……まぁいい。私も忙しい身でな。次はかぶってこい。どうせすぐ乾くようになってるからな」
「次がないことを祈るがな。用件は?」
ひたすらに用件を聞いていたらあちらが諦めたようだ。助かるな。すると学園長は
「まぁ腰をかけてくれ」
仕方なく俺達は高そうなソファーに遠慮なく腰をかける。レムは緊張しているようだが、アルトはどちらかというと眠そうである。
「ユウ、ねてい?」
「寮でな」
「余程仲がいいようだが、出来ているのか?」
またこの質問か。周りから見たら恋人にでも見えるのか?経験が少ないからわからないが。
「違う。それより早くしてくれ」
この流れもなんか言ったことがあるような気がする。
早く終わらせることにしたいところ。
「さて、ここに呼んだ理由はほかでもない。お前が魔力測定水晶を壊した事についてだ。」
「だろうな……それ以外ないもんな……」
正直言って予測済みである。呼ばれる理由はこれ以外にないであろう。よく良く考えてみればイカサマ関連のことについて言われる可能性もあった。
「エルフの審査員がいただろう?そいつから聞いたのだが、お前の体から発せられる魔力を感じなかったそうだ。魔力に敏感なエルフがだ」
「結局何がいいたいんだ?」
「お前の魔力量は幾つだ? 言わなくても別に構わんが,このままではDクラスだぞ?なにせ測定不能だったからな」
魔力量とは教えていいものなのだろうか。
俺は正直まだこの世界に疎い。まぁこういう時には適当に嘘をつくのが一番だろうな。mpの値でも言っておけばいいだろう。
「7000だ。他言するなよ」
「っ、それほどあるとは……召喚士とは思えんな」
それは誰にでも言われるな。まぁ異常だということだろう。実際にはもっとあるが、嘘をついて正解のようだ。
「正直魔力量にかかわらずDクラスへ入れようとしていたが、こんな面白そうな生徒を近くに置かないとは惜しいよな。近々遠征もあるしな。よし。Sクラスにしてやろうか。ありがたく思え」
生徒とかいて玩具と読むのは教育指導する立場においてどうかと思うが、コイツにとってはそういうものなのだろう。学校に仕掛け作っているくらいだからな。
「お、おう」
「ほんと?よかったぁ……」
「よかった……です」
彼女達も安堵の表情を浮べている。
「それとお前ら二人もなかなか外見に見合わない魔力と戦闘力があるようだな。見させてもらったよ。今年の闘技大会は色々あったがお前らの様な存在は初めてだ。まぁ竜人様を足蹴にしたお前はどうかと思うがな」
俺に冷たい目線を向けてくる。竜人は信仰対象でもあるようだ。嫌われる理由がまた一つ確実に分かった。
「さて……帰っていいぞ。私は私で書類を片付けないといけないのでな――っとああ。忘れていた。学生証だ。これがあればある程度のとこは大丈夫だ。首にかけてあるそれも挟んだおいたほうが助かる。寮には教科書等あるからそれらは心配しなくていい。出来れば明日から参加して欲しいところだ」
「それは忘れちゃダメだろ」
何か適当な学園長である。3つの学生証を投げて渡す。俺達はしっかりとキャッチし、首にかけてある仮のカードを学生証に挟む。
この学生証は大学で見るようなそれだ。
「んじゃ、これにて失礼させてもらうぞ」
「ああ。存分にこの学園での生活を楽しんでくれ。授業にはでなければ落とすが」
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「へぇぇ、これが拠点にする寮ね」
「おおきい……です。」
「以外だなぁ」
俺達はレムがいう通り宿よりかなり大きい。
外装はもはやビル。ホテルだ。
中に入ると食堂が――っ?!
「なにこれ?!」
色々とツッコミどころがある食堂? であった。
ロボット、電子掲示板、自動販売機……などなど、もはや元の世界顔負けである。それに電気ではなく魔法結晶という魔力が込められている石を燃料として動いているので環境面でも負けたな。
「すごい……です」
「まさかここまで現代化が進んでいるとはな」
俺達は感嘆しながら部屋がある上の階へと歩いていった。視線は勿論のこと集中していた。やっとなれてきたな
掲示板によると女子は四階、男子は三階である。
アルトたちとはここでお別れだ。
「んじゃ、またな」
「うん!また晩御飯の時に!」
「おなかすきました」
軽く挨拶をして俺達は別れた。さて俺の部屋は……と、ここだな。
階段から十メートル程の奥手の部屋だ。意外と近くて良かったな。
「さて……鍵を開けるには学生証をかざして――」
ガタン!と何かを落としたような物音が聞こえる。
この部屋は俺しか入れないはずなのだが――
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