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七罪の召喚士  作者: 空想人間
第四章 闘技大会
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第53話 闘技大会 ギルド枠 vs Sランカー

『さぁぁぁっ!! 本大会一番の盛り上がりどころである闘技大会ギルド枠の開催を宣言するぞぉぉぉぁっ!!』


「「ウォォォォォォオォッ!!」」


 非常に盛り上がっている。だが俺はそれどころではない。


「頼むから、あと五分でもいいから、寝かせてくれ」


「ユウしっかり! そんなんじゃ負けちゃうよ!」

「ゆう……おきて……?」


 俺はなんとかして睡眠を確保したい。なぜなら俺は先程までアルトにも秘密の場所で、訓連をしていたからだ。魔力は魔界にあった湖の水をガブガブと大量に飲むことで回復したが、体力はそうも行かない。

 HPは1も減っていないが身体的にかなりきつくなっている。いまのままじゃ決勝すらいけなさそうだ。


「アルト……レム……試合が始まった起こしてくれ。寝不足なんだ」


「ちょ、ちょっとユウ?!」

「ねちゃ駄目です。相手の弱点を……見つけないと……」


 そんな声が聞こえたが俺は眠ることにした。

 実は経験二倍、高速睡眠などの魔法を創ろうとしたが、失敗に終わった。スキルが付与された感覚はあったのだが、ステータスのスキルページにも魔法の欄は書かれていない。これはスキルじゃないとダメかもしれないし、そもそも魔法創造のレベルが足りないのかもしれない。


 因みに寝る場所は観客席だ。テュエルの部屋へ行こうとしたが、気配感知により性別不明とその仲間達の一行がいたため仕方なくここでガマンすることにした。


 それと俺が訓練した方法とは……まぁ、ゆっくり寝てからにしよう。おやすみなさい。


 ~~~~~~~




 気がついたら何もない白い空間に浮いていた。寝てたはずだが、この感覚は死んだ直後を思い出すな。

 かといって再び寝なくては体力的に不味いだろう。

 早く寝なければ。


召喚士サマナー。呼び出したのは我らです。勝手に寝てもらっては困る」


 と女の子の声が聞こえると急に身体が激しく揺さぶられる。


 優しくも何ともない。寧ろ殺しにかかっている。例えて言うならコーヒーカップの回転を急に逆回転、しばらくして更に逆回転、という感覚だ。非常に気持ち悪くなり、夢であるはずなのに吐きそうだ。


「うぐっ……もう、分かったからやめてくれ」


 流石に耐えられなくなり俺は音をあげる。

 するとふっと遠心力が消え、楽になる。


「これからは我らの言う事をしっかりと聞き、ありがたく耳にいれるのしゃぞ?」


 と先程とは口調も全然違う女の子の声が聞こえると、空間が震える。非常に寝たいのが今の現状だ。


「ぺしぺし、噂では聞いていたものの、全く焦りませんね」


「なんなのじゃこいつ、何もない場所から声が聞こえてるにも関わらず再び寝かけておる」


「んぁぁ……で、早くしてくれ。なんで呼んだんだ?」


 俺は一刻も早く無駄な脳の活動をおさえたいのだ。夢だとはいえ、意識を途切らせたい一心であった。


「では改めて、こほん。数ある召喚士の中で貴方は我らに選ばれました」

「お主には試練を受ける権利を与える。それをこなせば更に力を付けることができるであろう」


「そうか。それはありがたいな。これで終わりだろ? 寝ていいよな?」


「…………」


 再び俺の体が揺すられる。次は上下左右にランダムに回転させられる。当然嘔吐感がこみ上げてきた。



「うぐっ、わかったから……わかったから」


「はぁ……試練をクリアできるとは思いませんがこれも決まりなので教えておきます」


「試練の場所はここより遥遠くの、天より高い塔の頂上じゃ。ヒントはこれだけで充分であろう?」


 一応力を付けられるという事なので頭には入れておこう。天より高い塔ね? あれば直ぐに見つかると思うが。


「私達に認められた者しか見ることができない故、人に聞いても無駄でしょう」


 なるほどな。そういうシステムか。

 と、ここで一つの疑問が湧き、ついつい質問してしまう。


「なんで俺が選ばれたんだ?他にも召喚士サマナーは沢山いるだろ――って話しかけちゃったよ俺」


 俺はついつい質問してしまった。会話を早く終わらせる為には詮索をしないのが一番なのは俺が一番よく分かっている。


「びしっと、お答えします。貴方が現在、召喚精霊を持っていない中では、トップの実力にあるからです。なので選ばせていただきました」


 なるほどな。召喚精霊持っていない中では を強調したので上には上がいるって事だろう。会いたくないものだ。


「それと今のお主ではどうやってもあの“勇者に”負ける。確実に」


「ほう、姿も見せないのに随分な言い草だな。それに、勇者、だと?」


 俺はついつい反論する。負けるために鍛錬した訳ではない。

 勇者という言葉に反応したのは完全に無意識だ。


「あなたも召喚士サマナーであるのに素晴らしいステータスをお持ちのようですが相手が相手です。諦めてください」


「俺が負けるだと? もし負けるとしても俺は最初からそんな意識は持っていない。たとえ負けたとしても道ずれにする心構えだよ」


 俺は勇者だろうが、魔王だろうが勝つと決めた相手には勝つ。()()()()()()使()()() な。


「お主が何を考えているのは知らぬが、経験とレベルが全然違う。恐らく魔王の娘でも一体一なら負けるであろう」


 正面から行ったら。の話だろう。俺はそこまで正々堂々やる気なんてもともとない。


「それでも。貴方は戦う意思を捨てませんか? 勇者と戦い、負ける覚悟はおありですか?」


 何もない空間が震えるような感覚。声は淡々とだが、少しだけ感情が入っているのだと感じた。


「もともと負ける気は無い。勝ってあいつを潰す。それだけだ」


 そう言うと何処か息を呑む声が二つ聞こえた後、光り始めた。光ったのは、俺の身体である。


 筋肉痛が治り、眠気もスッキリしていく。ってこれは?

 俺が自分の身体を確かめていると再び声が聞こえた。


「お主、なかなか面白そうだ。ほんの少しだけ我らが手を貸してやろう」

「たっぷりありがたく思ってくれて問題ありません。我らが契約者以外に力を貸すことなんて初めてなんですから」


「……こればかりは感謝だな」


「さぁ行け!我らは天より高い塔でお主を待っておる!!」

「善戦を祈ります」


 そう言うと急に空間が真っ暗になる。

 それと同時に激しい眠気。


 まったく、訳の分からない夢だな……


 ~~~~~~~~~


「――う。ゆう――ユウ!!」


 アルトの声だ。ゆっくりと再び意識が覚醒していく感覚。


「んぁ、おはよう……アルト」


「急いで!?もう次の試合だよ?!」

「ゆう、いそいで。もう試合……終わった」


 もうそんなに寝ていたのか。全然寝た気がしないが、体が軽い。なおかつ筋肉痛もない。夢じゃなかったのか?


「それにさ!! さっき、あの男女おとこおんなが始まる前になんかユウのことを確実に倒すとか言ったら、お客さん全員が立ち上がってまで盛り上がって……」

「そう言われてみれば俺失格で賞金逃したんだよな。失格したら普通通り参加しちゃダメじゃないか……」

「でも! 男女おとこおんなが一応どうにかしてくれたらしいし、ユウは普通に出て大丈夫だと思うよ!」

「頑張ってくださいっ……!!」


 どうやらあの勇者が気を回してくれたらしい。このまま出ていたらどうなったかわかったものじゃない。感謝である。


「それと、ユウの相手は……他国の冒険者ギルドの人だね。噂は全然聞かないけどランクはS。強いかも」


 語っている人はSランカーを威圧で圧倒できた魔王様である。

 なんか簡単に倒せそうな気がしてきた。勿論油断はできない。


「ゆう。頑張って……ね?」


 狐耳は変化で隠れている。がすごく可愛い。ほっぺたをぷにぷにしたい……っていかんいかん。完全に犯罪者じゃないか。


「んじゃ……行ってくるよ」


「頑張ってね!!」

「ふぁいと……です」


 女の子二人に応援されるとは俺も春が近いかもしれない。一人は男を侍らせてそうな魔王様に、一人は恋が分からない女の子だ。


 前言撤回、春はまだ遠そうだ。


 全然緊張してない俺がゆっくりと歩を進める。勿論遅刻である。まぁいつもどおりが一番大事って良くいうしな。


 ~~~~~~



『ついに入場ぅぅっ!! 亀のように現れ、電光石火で勝ち進み、失格した男! ユウ ナミカゼぇぇぇっ!!!』


「さっさと潰されろぉぉっ!」

「このルール違反野郎!!」

「まぁどーせあのお方が仕留めてくださるさ!!」


 会場がざわつき俺を罵り始める。姫も結構失礼だが俺はそんなことは気にしない。いつもどおりが一番大事だよな。

 と考えていると一際大きい叫び声が会場内を埋め尽くす。


「さぁまぁぁなぁっ!!来るのがおせぇぇぇんだよぉ!?!? 少しは責任もてやぁぁぁっ!?」


 泥酔しているギルマスであった。酒に弱いのかよコイツ……顔もニホンザルのように真っ赤だ。

 っとこんなこと言ったら俺が確実に干されるので声に出すような真似はしない。あ、もうそれは遅いか。違反してるしな。


「けっ、おせぇんだよお前の貧弱な足ではそれが限界なのか?クソ雑魚ルール無視召喚士サマナー


 目の前の大きな男の人が相手のようだ。わぁ暴言の嵐。


「無駄に筋肉つけてないからな。肉だるま」


「ほぉぉぉ?! いうじゃねぇか?!俺を誰だと思ってやがる」


「肉だるま。さっきも言っただろう」


 俺は心の底から言い放った。ここで昔の教師ががよく言っていた「いっていい事と悪いことがある」という事を思い出したが直ぐに丸めて投げ捨てた。


「この雑魚……余程死にたいらしいなぁぁっ!!」


 威圧感を出しているつもりだろう。まるで小型犬がガルガル唸っているように感じて少しだけ鼻で笑う。

 すると


「こんの……ざこがぁぁぁっ!!」


『開始ぃィィっ!!』


 開始の合図と同時に叫びながら大剣を片手で持ちながら猛進してくる。真っ直ぐに。それもどこぞの竜人より遅い。

 これでSランクか? まぁ様子を見るか。


 俺は手に魔力を纏い、大剣を片手で受け止めようとする。無慈悲に大剣がは振り下ろされ、髪を揺らす程の激しい衝撃波が吹き荒れる。


「へっ!! ざまぁな……い?!」


「ふぅ、あぶないな」


 俺は無事片手で受け止める事ができた。手は少しだけビリビリする程度で無傷である。

 魔力運用がうまくなった証拠だ。


 さてと、体術レベル8になって得た、新能力。使ってみるか。


 男は大剣を無理やり引っ張っているがびくともしない。

 小柄な男が片手を大剣を掴み、それをなんとかして抜け出そうとしている大きな男の光景は何とも不思議であろう。

 俺は大剣を離す。大男は後ろへバランスを崩す。その隙を狙い、俺は右拳に“魔力とは違う力”を纏わせ、純粋に正拳突きを放った。


 それだけだ。それだけで大男は


「ぐぉぉっっつ?!」


 凄まじいスピードで向かいの壁にぶつかり、そこでもまたクレーターを作る。場外だな。


『勝者ぁぁっ!!ユウ ナミカゼっ!!!』


「やったぁぁぁぁっ!!」


 静まり返った会場にアルトの声が響いた。

 今回は喜んでくれる人がいるだけでやりがいもひとしおだな。

 因みにだが、この大会で初めてのワンパンである。


ご高覧感謝です♪

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