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七罪の召喚士  作者: 空想人間
第三章 人間の創造者と魔族の魔王様
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第25話 夕ご飯の重要性

 非常に体が重い。重力が俺だけ二倍大きく掛かっているようで目を開けるのも億劫である。一時間ほどだけ寝たつもりだったんだが。

 そろそろご飯が出来ていても良いだろう。

 体は相変わらず重いが、食堂に行こうか――


「……んん」


 そう考えて俺は目を開けようとするが、開ける以前に瞼の向こうから光を感じる。


 明るい? お風呂に入ってからすぐ寝た俺だぞ? いまは夜だろ? なんで明るいんだ?


 纏わりつく眠気を無視し、目を開ける。……部屋はロウソクをつけていなくても明るい。

 カーテンを開ければ、眩しい光と共に、電柱が存在しない洋風の町並みが広がる光景が飛び込んでくる。もとの世界では見ることが出来なかったレンガの家々も見ていて飽きない。


「ああ……」


 今の時間帯は恐らく早朝で、まだ少しだけ夜が残っている。しかしだ。


「めちゃくちゃ明るい」


 どちらにせよやはり朝でした。夕食、逃しました。


「……寝過ごした」


 何はともあれベットから出ることを決める。夕食は寝過ごしたため食べ損ねてしまったので、冒険者ギルドの中のお店で朝ごはんを食べることにしよう。今の時間帯は宿主も流石に寝ているだろう。


「おばさんも起こしてくれよな。って、寝汗も凄いな俺」


 さっぱりしたいので、何時間ぶりかシャワーを浴びに行こうとしよう――と、したところで、何やら物凄く近距離に違和感を感じた。まるで一つのベッドの中に他の誰かが乗っているような――


「……」


 ギギギと、さびたロボットのように首を気配の方向に向けると……完全に就寝着で、無防備な魔王様がいらっしゃいました。


「俺が寝ぼけてるわけじゃないよな」

「ぁ……ユウのにおい……ない……」


 起きてるのか寝てるのかわからない。とりあえず寝ていると仮定しておこう。


 俺がベットから出ると、彼女は何かが足りないようで、毛布の中で手を動かして何かを探している。寝ぼけているな。


 とりあえず彼女に毛布をかけておいた。

 すると寄せ集めて満足そうに抱きしめている。


 季節が春明けだが、寒いわけではないようだ。


 気配遮断を使い、起こさないように部屋を出る。ドアに掛けてある部屋番号を見ると……やはりこの部屋は俺の部屋であるだ。


 彼女との部屋分けの意味とは何だったのか。


 一度目は寝起きだったが、二度目は完全に意識が覚醒していた。意識が覚醒している中で、目が覚めると美少女が隣で寝ているとなると、男女経験のない寂しい高校生はどんな行為に出るだろう。


 ……流石に、異世界で唯一の友達といえる彼女にそういう暴挙はしないとは思うが、気がつけば相当ドキドキしていた。まだまだ俺も子供高校生……って授業どうなったんだろう。


「はぁぁ、あいつ……確信犯だな」


 ドキドキをおさえつつ、俺は浴場へと足を勧めた。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 二十分程度で疲れと体の汚れを落とし、俺は外に出る。


 少し空気が暖かい。もうすぐ春だな。

 四季があるかどうかは不明だが、もしかしたらこのまま夏に一直線かもしれない。


 周りを見渡せば、まだ夜明けであることもあり、シャッターを下ろしていたり、開店準備をしている店が殆どだ。

 ギルドへ向かう道も慣れたものだ、と物思いに耽ながらのんびりと歩いていると、ふとあることを思い出す。


「あっ……転移魔法は創ってあったっけな。ワープなんて身近にないから使うなんて発想がなかったが」


 しかしまぁゆっくりと歩くのもいいかもしれない。ギルドのフードコートは恐らく二十四時間営業だが、客を受け入れていないかもしれない。


 そう考え、止まっていた足を再び進めようとして――向こう側から歩いてくる人が視界に入った。


 見たかぎりでは中学生ぐらいの女の子だ。髪色は透き通った水色で瞳は新緑のような若葉色。髪の長さはミディアムぐらいか?

 杖を持っていることから人間の冒険者なのだろう。


 とはいえ、そんな小さな女の子がこんな早朝に歩いているのは危険ではないのだろうか。


「なにか?」


 スルーして横を通り抜けられるかと思い、じっと見つめていたら話しかけられてしまった

 俺は不審者と思われているのか?


 彼女はアルトとは調子の違う、風鈴のような綺麗な声であった。


「こんな早朝にどうしたかと思ってただけだよ」

「貴方には関係ないことです。それより、貴方の珍しい格好、貴方の真っ黒な髪色。そちらのほうがどうしたかと気になる所なのですが」


 会話広げてきたよこいつ。初対面でここまで話を広げるて相手は大体ろくなやつじゃないと思う。どこぞの魔王様含めて。

 とりあえず会話を終わらせよう。彼女と話を続けていくことには良い予感がしない。


「……こちらも話す義務はない。お前が気になっただけだ。道中気をつけてな」


 そう言い放ち、逃げるようにして足を進める。彼女は完璧に年下だが、瞳にはぎらりとした光が感じられた。その中には強い意志があるような気がした。


召喚士サマナー、待ちなさい」


 彼女は俺のことを召喚士って分かってるのかよ。尚更いい予感がしない。


「じゃあなっ」


 ダッシュで逃げる。

 傍から見れば彼女に犯罪チックな何かしてしまい、逃げているように見えるだろう。


 まぁ人がいないので関係ないがな。


「やはり私を目の前にして……」


 ~~~~~~


 ギルドまでずっとダッシュした。故にギルドは既に目の前にある。やっとご飯が食べられるのだ。

 そういえばこの世界に来てからずっとごはんを食べ損ねてるよな。もちろん現実世界……ってこっちも現実か。元の世界では朝飯を抜いたことはないのだが。


 冒険者ギルドの古い木の扉を開けると――ヤンキーじみた人々がわいわいしているような、風紀の悪い雰囲気ではなく、早朝ということもあり、人は数人しかいなかった。


 こんな朝方でも受付やフードコートの人々は仕事をしているので、きちんとサボらず二十四時間営業になっているようだ。


 早速、食事カウンターへ向かい、食事を頼むことにする。

 1200Gと少々値段は張るが、美味しそうなモーニングセットのサンドイッチを注文する。


「これをくれ。飲み物はそちらに任せる」


 カウンターの向こうでグラスを磨いている、いかにもバータンダーのマスターのような風格をもつ初老の男性に声をかける。


「先に金をだせ。それがルールだ」


 無愛想なおっさんめ……優しく教えてくれよ。

 そんなことを思いながらもしぶしぶギルドカードを差し出す。

 彼はカードを乱暴に奪い取ると、水晶に差し込む。そしてすぐに抜き出した。


 先程の行為が精算のようだ。クレジットカードと同じシステムだろうか。数秒もしないうちに俺の名前が書いてあるカードが返ってくる。


「隣、失礼しますね」


 隣に誰かが座るようで椅子がガラガラと引かれる。

 誰だろうと思い、顔を向けると――


「私も彼と同じものを」


 聞いたことのある声に思わず三度見してしまった。


「なんでお前はここにいるんだっての」


 先程の中学生ぐらいの少女であった。

 この言葉はこの世界で何度目なのだろう。


ついに総合ポイントが100を超えましたー!!


めっちゃ、めっちゃ嬉しいです!


ご高覧感謝です♪

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