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七罪の召喚士  作者: 空想人間
第十章 バケーション
215/300

第215話 休暇三日目 事故現場

 正直なところ、今本当に嫌な思い出が蘇っている。レムとのデートで作りあげたふんわりとした雰囲気は一瞬で霧散し、体中には鳥肌が走った。

 ()()轢かれて死ぬところだったんじゃないかこれ。


「こちとら、トラックに潰されて死んだんだってのに……目の前でそれを再現する気かこの世界(ルミナ)は」

「ゆ、う?」

「レム、本当に悪いが……デートは終わりだ。また一緒に出かけような」

「……わかり……まし、た」

「ごめんな」


 明らかに落ちこんでしまった彼女をぎこちない笑みで励まし、真正面を向く。


 そこでは木材の破片が無数に転がっており、馬車本体は壁にぶつかって粉々になっていた。周りにいた人々も悲鳴をあげ、急いでこの場から去っていく。俺たちを狙って誰かがこの馬車を仕掛けてきたのだろうか。気配探知にはそれらしい反応はなかったのだが。

 それに、馬車を引いてたのは間違いなく……あの人間だ。


「着てるのは……高そうな服だな」


 無残な状態の馬車の残骸の外と中に、人の反応が二つ。片方は外に投げ出されており、人間で金髪の男だ。彼の年齢は俺と近いだろうが、うつ伏せで倒れているため全く容貌は確認出来ない。観察眼サーチアイを使おうとも、確認の了承が取れていないので全く情報は浮かび上がってこない。


 そして、もう片方の気配は馬車の残骸の中にいる……よく分からない混ざったナニカ。魔族のような、竜人のような――なんとも気味の悪い感触だった。なのに、その反応は少々覚えがある。

 なんだっけかこの感覚は……


「っ、何かいる、です」


 レムも尻尾の毛を逆立て、臨戦態勢へ。

 周りに俺たち以外の人は既に逃げ出していて付近には誰も居らず、もう直ぐにでも祭りの警備で巡回している憲兵はこちらに来るだろう。その前に得られる情報は得ておかなければ。


 一歩前へ踏み出す。夕日は沈みかけており、肌寒い空気が頬を撫でた。どのような攻撃が来てもレムを守れるように、全方位に警戒を張り巡らす。


「――ッ!?」


 遠くの喧騒が残響する中、突然目の前の馬車が ズドンッ!! と爆音をたてて炸裂した。砕けた木片が吹き飛び、馬車の荷台は凄まじい勢いで空への彼方へ上昇していく。

 冷静にレムの前に立ち、衝撃波と吹き飛ばされる残骸の欠片から守る。障壁のスキルがあるので目の前で立っているだけで盾になれるのだ。耐久力はそれほどないけどな。


「――づぅぁ……痛ってぇぇ……!」


 声が響く。目の前で倒れている男とは違って、まだ変声期前の男の子のような、若々しい声だ。そしてその声もまた、聞き覚えがある。

 現れた影は砂煙が晴れるとともに徐々に姿が浮かび上がる。

 まさに小学生高学年といった小さな背中には、魔族の証ともいえる蝙蝠のような黒翼、そして竜の背中に生えているような赤黒い翼が片翼づつ、計二枚確認することが出来た。髪色は暗い赤色で、それらの情報はある一つの人物を導き出す。


「あの二つの羽、見たことあるです」

「――ああ。俺もだ。竜人の里を離れる時にアイツには挨拶も出来なかったが、まさかこんな奇異な再会があるとは思わなかった」


 少しだけ戦闘への緊張感が安らいだ。彼は知り合いで、その首にまく赤いスカーフが何よりも彼の存在を証明してくれた。


「ミカヅキ」

「ッ!? なんでおれの名、前、を……」


 くるりと振り返った小さな男の子はやはり既視感がある。魔族と戦う際に協力してくれた仲間ともいえる存在、ミカヅキ。顔を見れば忘れるわけがない。


「ユウ、兄…… 生き、てたの、か?」

「ああ、ミカヅキ。竜人の里以来だな」

「っ! ユウ兄ぃぃぃっ!!」


 何を思ったのか、赤髪の少年は真っ直ぐに俺の腹部へ突進して来る。それもなかなかのスピードで。思わず身構えてしまい、受け止める体制を取ったところで――


「っと! 久しぶりだユウ兄!! それとレム……だったよな?」

「えっと、その……あなた……だれですか?」


 数歩手前で彼は飛行を中止し、体制を整えてから目の前でスカーフをたなびかせ、ピッタリと着地して止まる。

 胸を張っている彼は魔界で出会い、魔界からの脱出に協力してくれた人物でもあるのだ。

 レムの彼に関しての記憶があまりないのは、竜人の里の苛烈な戦いで彼を気にする余裕がないうえ、一度きりしか共闘してないためだろう。


 ビックリしてしまったようで、こそこそと俺の背中にレムは隠れてしまった。このようすだと彼のことを本当に忘れてしまったと考えるのが妥当か。


「ほら、覚えてないか? おれだよおれ!」

「竜人の里で魔族と一緒に戦っただろ? あの時にレムたちを解毒する時に時間稼ぎしてくれてな」

「時間稼ぎにしかならなかったけどな……」


 レムはミカヅキのことをじぃっと見つめた後、プイっとそっぽむいてしまった。

 あまり彼女は彼のことをよく思っていないのだろうか。


「タイミングが最悪です。なんで突っ込んできたですか……」


 俺の背中に抱きつき、額を押し当てならがボソボソと呟く。彼女とデートをしてからというもの、どうにも態度が変わったように思える。より一層会話やスキンシップに積極的になってくれたというか、上っ面だけではない本当の彼女の好意を感じられようになった。腕を組むなんて言われた時には本当にドキドキしてしまったが……まだ彼女にとってはそれも“でーと”の範疇なのだろうな。


 それは置いといて、どうやらデートの説得を邪魔されたこともあってか、今はあまりいい印象を抱いていないらしい。機嫌をとる目的で優しく頭を撫でておく。


「二人で出かけてたのか?! なら、体はもう大丈夫ってこと!? ユウ兄はお腹に穴が……っ!」

「ああ、そんなこともあったな……で、そっちはどこに行ってたんだ? 竜人の里では別れの挨拶すら出来なかったんだが」

「この街に来た目的はユウ兄と会うためだったんだけど……そのようすじゃ大丈夫かもな」


 お次は小走りして元々いたであろう、壊れた馬車の残骸が転がる場所へと戻る。

 彼は転がっていた麻袋を見つけると嬉しそうな声を出し、両翼を羽ばたかせこれまた喜んだようすで飛来してくる。


「元気良さそうだな」

「これ、取るのにすーっげぇ頑張ったぞ!! ユウ兄のために取ってきたんだからな!!」


 そういって力強く手渡してくるのは、彼の上半身程の大きさもある麻袋。受け取ってみるとずっしりと重く、中からは植物が擦れ合うような音と感覚、そして青臭い香りが漂ってきた。……青臭い?


「何入ってんだこれ」

「すっげぇ取るのに頑張ったんだからな!!」


 二回も同じ台詞を繰り返し、胸を張ってドヤ顔をする彼は、本当に歳相応の考え方をしているのかもしれない。

 確かに俺も昔はそこいらの草原で抜き取った花を親にあげたりしてたっけ。彼もまた俺を心配してくれたのだろう。雑草とはいえ、彼は見舞いの花を送ってくれたのだから。どこまで探しに行ったのかは分からないが。


「ありがとな。嬉しいよ」

「――ッ! 撫でるなよっ! おれはガキじゃねぇ!」


 スマイルを作って彼のボサボサの赤髪を撫でた。少々嬉しそうなところが見て取れるので、やはり受け取って正解だったな。送ってもらったのが雑草とはいえ、大変嬉しい気持ちに変わりはない。


「ゆう、それ貰ってほんとに喜んでる、ですか?」

「物の質も大事だが、俺を心配してくれた気持ちが伝わってくるからな。内容はどうあれそりゃ嬉しいよ」

「そうなん、ですね。勉強になるです」

「いい加減撫でるのやめろっ」


 無理やり手を弾かれ、彼は少々恥ずかしそうな表情を浮かべている。やっとここから何があったのか聞けるだろう。

 馬車を引っ張っていた人物、馬車の中に居たであろうミカヅキ。馬車は文字通り馬に引かせるものだ。なにもかも分からないことが多すぎる。


「で、だ。ここまでの過程で何があったのか教えてくれないか?」

「過程? なんの?」

「まず、なんでお前は人間が引いている馬車の中にいたのか。これが聞きたい」

「ああ、そうだった! 聞いてくれユウ兄! あの人間が、急におれのことをっ!」


 表情は真面目なものに変わり、彼はふり向いて馬車の残骸近くにいる、未だうつ伏せの金髪の青年を指を向ける。

 倒れている彼の服装はきらびやかで、まるで貴族の青年が着ているようなロイヤリティがあった。


 じっと見つめていると、倒れた青年の指先がピクンと動いたことを確認することが出来た。どうやら生きているようだ。


「っ、動いたですっ!」

「ユウ兄、あいつはおれのことを捕まえて、王都に持ち帰るとか言いやったんだ!」

「と、なるとその格好が仮装だと思われなかったってことか? それに王都? ――とりあえず、話し合える状態であってくれればいいけどな……」

「ってぇ……」


 金髪で少しだけくせっ毛の強い青年は頭を片手で支えながら起き上がり、きょろきょろとあたりを見回す。俺と同じほどの背丈だが、少し幼い容貌がこれまた完璧に整っている。やはり元の世界の人々とは比べられないほど美しい姿であった。


「っつ……んぁ? 誰だおめーら……って、ああっ! おめー逃げやがったな!」

「ユウ兄!あいつがおれのことを突然捕まえてきたんだよっ」

「捕まえた? ペットでもあるまいし……!」

「ゆうっ、迫ってくるです!」


 ずんずんと力強く踏み出す金髪碧眼の青年は不機嫌なようすでこちらを睨みつける。彼は気配探知で相手レベルが50以上で反応するフィルタに引っかかったので、多少なりとも実力はあるのだろう。

 外見に判断されてはいけないという経験から、警戒をさらに高め、身構える。


「ん?……お前、いい奴隷を持ってるな」

「ワタシ、ですか?」


 数メートル手前で足を止め、レムを見ると一瞬だけ鋭い目つきを見せ、すぐさま真顔になる。俺の見違えだったのかもしれないが、彼は彼女を見て何らかの感情を抱いたことは明らかだ。


「おいお前。その奴隷、俺様に寄越せ」

「レムは奴隷じゃないんだが」

「気をつけろユウ兄っ! あいつ普通に強いぞ!」


 こちらの意見を聞く素振りも見せず、さらに近づいてくる。

 いつの間にかミカヅキでさえ俺の後ろに逃げ戻っており、彼はこの金髪の青年に捕まったという情報に間違いはなさそうだ。


「あのなぁ、そんな分かりやすい嘘ついてんなよ。その竜人と魔族の混血の子供と知り合い、しかも白狐とも関係があるんだぞお前。俺様から見たらただの珍しいモノ好きにしか見えないけどな」

「仮装かもしれないってのに随分な言い草だな。どこにそんな証拠があるんだ?」

「俺様の見る目に間違いはねぇ。信じられねぇが、お前の髪色は黒ってのも知ってる。変わったヤツは変わった趣味を持ってるってのも知ってるからな。第一、この仮装の祭りで変幻の魔法を使う時点で怪しさ極まりないと思うんだが?」


 乱暴な口調にも関わらず、呆気なく変幻を見破られてしまい、ついつい閉口してしまう。このままではボロが出るのも時間の問題になりそうだ。


「ほらな? お前は反論できねぇ。痛い目にあいたくなかったら、その奴隷二人、さっさとこっちに差し出せよ」

「ワタシは奴隷じゃないですっ!」

「おれはもユウ兄の友達だっ! 奴隷なんかじゃねぇ!」

「お前らが言ってもなんの説得力もないんだなこれが」


 彼は一歩強く前へ踏み出し、威圧感を漂わせながら手を差し出す。彼の武装は腰にある剣が一本のみ。よほど実力に自信があるのか、防具らしき一式は確認出来なかった。


「なんだその手。二人を差し出せって? 俺がよく分からん男に従うとでも思ったのか?」

「――だろうな。お前のことだ。どうせそういうと思ってたよ」


 差し出した手を握りしめて戻し、彼は腰にある剣に手を掛ける。ビリビリと肌に感じられる威圧感が空間を侵食し、魔力の高まりが彼を中心として発生し始める。


「降参するなら今のうちだが? どーすんだよ?」

「無条件降伏なら飲んでもいいんだが」

「はっ、それはねぇな。差し出すか、痛い目見るか、どっちかだぜ」

中間まんなか取ってミカヅキ。ハウス」

「色々ひでぇ! 嘘だよな!?」

「……多分な」

「ユウ兄の人でなし!!」


 と、言っても彼は俺が差し止めているので自ら金髪の青年の元へ行くことは無かった。威圧されても余裕な素振りを見せたかったつもりなのだが、対して本人は――


「おもしれェ、俺様の威圧にも全く動じねェとはな。お前、予想以上に面白そうだなァ……!」

「なんかまた言動変わってない?」


 むしろテンションが上がっており、貴族らしさは微塵も感じられなくなっていた。服装はきらびやかだが、どうやら本当の中の彼は乱雑な狂戦士に思える。


「流石に本気は出さねェが、これぐらい耐えてくれよなァ?」

「お、おう。レムとミカヅキには手を出すなよ」

「当然だ。俺様はこうみえて礼儀は一通り学んでるんでなァ。それより、もういいか?」


 レムとミカヅキに指示し、見てるように言うと大人しく離れていく。彼が手を出さないとはいえ、本当に襲いかからないとは限らないので、いつでも助けられるように警戒は緩めないでおく。


「いいぞ。何の勝負なのか分からなくなってきたのは内緒だが」

「へっ、俺様もどうでも良くなってきたぜ……!」

「……」


 対面してみると、彼は純粋に俺と戦いたいだけに思えてきた。根っからのバーサーカーじゃないのかこいつは。なんだか途端に手のひらの上で踊らされている気分になった。興ざめである。


「この一撃、お前には耐えられ『王子ッ!!』……やば」

「ん?」


 目の前でひたすら巨大になっていた魔力反応が、突然穴のあいた風船のように凄まじい勢いで縮んでいく。彼の表情もまた青くなり、影が落ちていく。


「くそっ……お前との勝負は一旦お預けだ!! じゃあなッ!!」


 声が聞こえてきた方向とは逆方向に振り向き、そのまま全力で走り去っていく。王子って声が聞こえたんだが、まさか俺の思う王子じゃない……よな? 玉子じゃないよな?


「また不敬罪疑惑かけられんのかな俺……」

「えっと、何があったですか?」

「なんか王子って声が聞こえたんだけど……」

「君たち、ちょっといいか?」


 いつの間にか背後には赤っぽい茶髪の男で、甲冑を着込んだ男がおり、気が付かない間に接近を許してしまった。彼もまた気配探知には反応していない。背丈は俺より明らかに高く、身長は180センチほどだろうか。彼もまた剣を腰に差している。


「どちら様で?」

「ユウ兄っ! この人おれでも知ってるし、かなり有名だぞ!?」

「ははっ、私もまだまだという事か。私はガラハッド。王都で騎士をしているものだ。よろしく頼む」


 そういって手を差し出してくれた騎士と握手を交わす。あれ?ガラハッド? どこかで聞いたことがあるような名前なんだが――


「らくなの家で話してた人ですよ、ゆう」

「……思い出した。円卓の騎士の一人か」

「別に変に固くならなくてもいい。それはさておき……君たちは金髪の彼と話をしていたね?」


 あくまで子供に話しかけるように、優しい口調で問いただす。彼は元々そんな調子なのか、それともこちらを子供だと思っているのかは分からないが、どこか舐められているように感じた。


「話してたぞ。突然レムやミカヅキを俺様に寄越せって言われてな。寄越さなきゃ痛い目にあわせるって言われたんだ。あんたはあいつの関係者なのか?」

「そうだ。……本当に申し訳ない、彼は少々変わっていてね……」

「あの、さっき言ってた王子ってどういうこと、ですか?」


 レムも疑問に思ったことを言い放ち、恥ずかしそうながらもしっかりと相手の目を見て話す。こんな所で成長を感じたのは初めてだ。


「……悪いが、これについては話せない。私も彼も立場という者があってね。今まで聞いたことをすべて忘れろ、とは言わないが、あまり他言しないで頂きたい」

「と、なるとあの金髪の兄ちゃんは本当に王子様ってことなのか……?」

「あんなに口調は悪いのに王子サマか。何処ぞの姫君を思い出すな」

「とりあえず、私は彼を追わなくてはいけない。彼の無礼を許してくれると助かる。では、失礼する」


 少々焦ったようすでこちらに一礼すると彼は俺たちの横を抜け、小走りで街中へ消えていった。

 太陽は殆ど沈みかけており、夜の帳が降りている。周りにあるイルミネーションが一層目立つ時間帯だ。


「馬車の残骸に関してはなにも突っ込まなかったな」

「たしか らくな は がらはっどさん が憲兵さんを束ねてるって言ってたです。事情をもう説明したのかもしれない、です」

「だとしたら、随分準備がいいな。俺たちを観察してたわけでもあるまいし……」

「まぁ、おれはユウ兄に会えたから良かったよ」


 へへっと鼻を鳴らすミカヅキを見るのはいつぶりだろう。あれからさほど時間は経っていないが、こんな小さな子供がどこで一人生活してるのか気になるものだ。


「ミカヅキ、お前はこれからどうするんだ?」

「おれ?うーん、考えてなかったな……とりあえずユウ兄にこれを渡すことしか頭になかったからなぁ」


 これ、とは雑草が詰められた麻袋である。大きな袋いっぱいに詰められたこの植物はどのような効果があるのか分からないが、ラクナにでも見てもらうことにしよう。本当に雑草だったら魔方陣の中で倉庫番になるかもしれないが。


 ふと気がついたが、ミカヅキは元気いっぱいの少年だ。俺たちが拘束するのも良くはないが、放っておくとどんな怪我をするか分かったもんじゃない。初めて出会った時だって魔界の魔物にやられてたしな。保護するべきなのだろうが、俺にそのような余裕はない。


「みかづき、あなたはどこに住んでるんですか?」

「おれ? 特に決まった所はないなぁ」

「いつも野宿、ですか?」

「うん、そうだな。でも、たのしいぞ!!」

「……ゆう、らくなに頼んで、少しだけ預かるってことは出来ないでしょうか……?」

「んー……俺たちが居座る間だけなら大丈夫だと思うんだが」


 レムも同じことを考えていたようで、放浪する彼を放ってはおけないようだ。とりあえず、ラクナパパとママに相談してみるか。来客の癖しておこがましいこと極まりないが。


「ミカヅキ。とりあえず付いてきてくれるか?」

「ん? いいぞ! どこに行くんだ?」

「まぁ……高級ホテル?」

ご高覧感謝です♪

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