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七罪の召喚士  作者: 空想人間
第六章 遠征に縁あり
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vs八岐大蛇

 彼女の魔法により両腕が自由になり、魔法が再び使用可能となった。いまの魔力量は24なので使えるのは威力が高い魔法一発分しかない。このままならな。


「さすがに驚いたが……さっさと仕留めて帰りたいとろだ《体魔変換》っと」


 今の体力は満タンだ。しかしこれから戦闘ということを考慮すれば体力を削りすぎるのも良くない。恐らく体力がゼロになった場合のデメリットは経験上、意識が失われるのだろう。城で気絶した理由は何らかの魔法がアイテムを使ったのだと思うが。


「いやーそれにしても大きいのぉ」

「どどーん と迫力がありますね」

「うーん……一撃じゃ無理かなぁ」

「アルト、一撃で仕留められるようなサイズではありませんよ。それにこちらの国も大変な事になっているようですね」


 恐らく、侵入者が王族を誘拐したからであろう。国のことは全然気にしていなかったが、国としてはかなり大事件である。そして犯人グループからもなんの要求も、音沙汰すらないのだ。国は大騒ぎになっていることに違いない。


「さてと、これぐらいでいいか……なっと」


 俺が今回変換した量はおおよそ5000。武芸を使う分も考えればこれぐらいが妥当であろう。レベルは150超えという強敵には変わりはないのだ。出来る限り油断はしないでおきたいところ。


「さて、待たせたな。早速向かうとしよう」

「ほんとに大丈夫?」

「我らの主であるから心配はないじゃろう! それに我らもついておる!」


 アルトの心配をよそにファラは高笑いを上げる。いまから戦闘だというのに重々しい雰囲気はどこにも感じられない。むしろ勝ちを確信しているな。これは負けるフラグになりそうだから先にへし折っておこう。


「いや、分からんぞ。なにせ初めて戦う相手だ。不測の事態が起こるかもしれない。警戒してくれ」

「そうですよファラ。わいわいしていては危険です」

「う、うぬぅ……」


 少しだけ警戒を強めたファラを視界からはずしつつ、いつの間にか八岐大蛇ヤマタノオロチを見上げているシーナを見る。彼女はじっと見つめていて、なにかを警戒しているようだ。彼女はなにか気がついたようすで体をピクン と震わせると蛇と目を外さないまま、俺たちに向かって語りかけた。


「皆さん、見てくださいあの右から三本目の蛇頭、こちらを見ていませんか?」

「えっと……」

「なにせあちらからかなり離れておるからな。気のせいではないのかの?」

「…………」


 ソラとファラはその考えについて有り得ないと、考える。二人は更に会話し始めたが、アルトだけは未だに蛇頭をじっと見つめていた。あちらの頭の動きも止まっていた。確かに見つめあってるようにも思える。ただ、ファラも言ったようにあちらとはかなりの距離がある。まさかとは思うが――


「あいつ気がついてる!! みんな散って!!」

「「「?!」」」


 アルトの指示に従い、俺たちは一気にその場所から離れる。その瞬間、真っ赤な炎が視界を埋め尽くす。ゴォォォッ!!という、竜人が昔放ったブレスとは比べ物にならないくらいの火力と、到達速度を持った炎のブレスが俺たちが元いた場所を焼き尽くす。

 放たれたブレスは一本。しかしながらここは森であるので火事の被害は大変な事になりそうだが、消火活動に徹する暇はなさそうだ。


「 「グォァォアァッ!!」」

「完全に気づかれたみたいだな……」

「どっちにしろ気がつかれるのです。今気がつかれようが、気がつかれまいが結果は変わりません」

「なかなかの火力をもってるね……意外だよ」


 シーナは至って冷静で、気づかれたことにも特になんとと思っていないような振る舞いを見せてくれた。が、現状はなかなかに厳しい。火の火力がなかなか高いおかげで、ここも急いで移動しなければ俺達が火に囲まれてしまう。


「さて、休憩は終わりだ。いまからあいつを倒しにいくぞ」


 全員がコクリと首を縦に振る。体力の回復をしつつこっそり向かいたかったところだが、この場合は仕方ない。相手からしたら中距離だが、俺たちからしたら超遠距離だ。俺達が攻撃を与えるためにはなにより近づかなくては。

 久しぶりに刀を取り出し、走り出す。それに続いて後ろの皆も続いてついていく。電撃の魔法纏を使ってからというもの、筋肉の使い方が効率的になっているような気がする。あくまで気がする程度だが、スピードは前回走った時より速い。俺も成長しているな。


 その後ろをしっかりついてくる彼女達もなかなか凄いと思うが……ん?


「っ! 風魔法がきます!」


 シーナの驚いた声はしっかりと耳に伝わった。なので俺達は来る前にしっかりと聞いていたので凄まじい速度で迫る風の刃をジャンプして回避することができた。皆もひらりと身を交わし、命を刈り取る風から逃れる。これには手抜きなんてなく、純粋な殺意が伝わってきて思わず身震いする。


「ほう、あの魔物もなかなかの魔法を使うのぉ」

「魔物なのにここまで威力が高いとは……びっくりです」


 魔物にも魔法が使える者はいる。しかしながらその魔法は俺たち人間からしたら、扱い方等々がいろ色々雑なため、大した威力の魔法になることはなかった。だが、この大きい魔物は普通の人間ほ魔法より遥かに高い威力をもった魔法を放った。これはしっかりと丁寧に魔法を構築しているということである。


「再び大量に魔法が飛んできます!」

「できる限り俺が弾くから、皆は直進しろ」

「なら僕が引き寄せるよっ!!」

「いや……俺にやらせてくれ。ちょっとやりたいことがあってな」


 そういって俺はスピードをあげ、更に速く駆け出す。やりたいこととは、無属性魔法による反射だ。

 ソラ、ファラと契約した恩恵なのか、無属性魔法のレベルが幾つか上がり、直感的に反射の魔法が使えることが分かった。この感覚は決して根拠のないものではない。この感覚が起きた場合は必ずその魔法が使えるのだ。


「さて、魔法を使うのも久しぶりだ《反射リフレクション》」


 俺が走りつつ、作ったのは透明な膜。この膜に触れれば魔法が反射する、と脳内には浮かんでいるので恐らくその通りになってくれるであろう。これが妄想であったなら俺はいろいろな意味で死にそうだ。

 バシッバシッと何かを弾くような感覚がした後、周りの燃えかけている木々がスパっと切れる。おお、見事に弾いたが、火事を広める結果になってしまった。


「やはり反射させる方向にも工夫が必要だな」

「グォモァッ!!!」


 先程から俺達は全力で駆けてきて距離を詰めてきただけあり、本体までおおよそ1kmまでとかなり近くに本体がいる。その本体はついに首を動かして――


「っ! しゃがめ!!」

「「?!」」


 全員に土属性魔法である引力倍加まで使って地面に伏せさせる。こうでもしなければ間に合わなかったかも知れない。

 頭の上を巨大な首が通り抜ける。もはやパルテノンの柱が頭上を通り抜けるような恐怖感がある。立ちすくんでいたままであったなら700mぐらい吹っ飛びそうだ。勿論吹っ飛ばされたら死ぬ。確実に。


「大丈夫か?」

「危ないのぉ」

「あの首は驚異ですね……」

「地平線まで吹っ飛ばされてもおかしくありませんね」

「意外とこの魔物って頭回るのかな……?」


 それぞれが思いを抱いていると、ついに相手も動き出す。移動の意味で。


「おっと……このまま戦えとかいわないよな?」

「炎がだいぶ回ってるし、ここから出た方がいいと思うんだけど……」


 グォァォォォアァァ!!と叫び声が聞こえた途端、目の前の八岐大蛇ヤマタノオロチは俺たちに向かって、()()してきた。凄まじい地鳴りと地面の震えが俺達のバランスを崩させる。


「……主殿、これを受け止めるのは少々無理があるぞ?」

「同意です。マスター、ここは一度引くべきかと」


 まるで爆発しているような音がテンポよく、どんどん近づいてくる。もちろん、その地ならしをしている主の陰は凄まじく大きくなる。


「こ、これは……不味いのではないでしょうか」

「来て早々だが……ちょっと火が回っていない場所まで逃げた方が良さそうだ」

「「グォァォォモァッ!!!」」


 俺達は来てきた方向から、左に向かって逃げだす。それも全力で。

 俺が言いたいことはただ一つ。


「お前デカすぎるんだよ!!」



二日更新といったのに一日もたたずに更新する人です。なんとか二時間程度時間がとれたのでこの間に書きました。時間がなかったので短めです。ご了承下さい。


明日は……よくわかりません。遅くても明後日には更新します。


高覧感謝です♪

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