ノゾミノハテ
願いと望みは同義語で、欲と願いは違うと。
なら、その判断はどこで?
でも、だから、故に、
そんな後付けの理由で何かを求め、願うのは罪か。
きっと罪ではないと、
きっと罪だろうと、
きれいごとと建前を照らし合わせて見つかったものはなく。
それを知る糧として与えられたのが、尽きることを知らない命。
見て来たものは、生き物の性。基本的欲求は勿論、それ以上の望み。楽したい
傷つけたい
謝りたい
欺きたい
苦しめたい
幸せにしたい
護りたい
目覚めたくない
死にたい
死にたいなら死ねばいいし、楽したいなら今努力すればいい。
護りたいなら死に物狂いで動けばいいし、傷つけたいなら嘘と演技を塗り固めればどうにかなる。
けれども、それらの上には誰かの妥協が絶対不可欠で、個人で成り立つものはない。
人を欺き、傷つけ、それを覚悟した上で自分の願いを叶える。
それだけで、願うのは罪。
同じ条件で何かを望み、同じ条件で願いを手にして
同じ条件で、罪になる。
そんな理由で何かを望み、求めるのは罪か。
“ ”
木の囁きが彼を呼んだ。
エルフの少年は淡色の夜空から視線を剥がし、呼び声の方を向いた。
声は、名を呼んだだけ。
その意味する所は、願う愚者の来訪を に伝える。
願いの果てを見て幾百年。
未だ答は見つけられず。