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怠惰な日々

 気づけば愛生は五日も外に出ていなかった。無論それは裏方八九郎というラボラトリ最強のフェーズ7に命を狙われているせいであり、仕方のないことではある。しかしそれでも五日も何もせずに自宅という城の中でうだうだとしていると、妙な焦りが沸いてくる。この時間がまるで無駄なような気がしてきて、不安になってくるのだ。仕方のない籠城だと自分に言い聞かせるが効果はない。何をやっているのかという不安は日増しに大きくなっていく。愛生はそんな不安を振り払うこともせず、ただゆっくりと押しつぶされていく自分を感じながら六日目の朝を迎えた。

 目を開ける。体は重かった。部屋にこもりっぱなしで、あまり動いていないからだろうか。体を起こそうとしたが、胸の辺りがもっと重たい気がしてやめた。どうせ今日も特にやることはないのだ。このまま二度寝としゃれ込もうと仰向けだった体を横に向ける。すると、目の前にリナリアの寝顔があった。少し前まではベッドに潜り込まれる度に文句を言っていたが、何度言っても潜り込んできてしまうので、最近では愛生も諦めてしまっている。基本的に言われたことは聞く子なのに、どうしてこういうところだけ頑固なんだろうかと考えたがわからなくて、それも諦めた。

 すうすうと穏やかな寝息を立てて灰髪の幼女は眠っている。人形のように整った顔。なんとなくほっぺたを突いてみる。ぷにっとした子供の頬。その柔らかさがくせになり、何度か突いているとリナリアはぐずるような声を出して枕に顔をうずめてしまった。愛生がくすりと笑いながら頭を撫でてやると、リナリアはすぐにまた穏やかな寝息を立て始めた。

 そんな彼女を見ながら、愛生は目を閉じた。

 もう六日目か……。

 瞼の裏の暗闇の中で、愛生はふとそんなことを考えた。

 六日目。亜霧が目を覚ましてから、広永と話をしてから六日が立った。勿論、その間学校は休んでいる。前回リナリアを護衛していた時のこともあるので、そろそろ学校から何か言われるかもしれないが、あまり気にはならなかった。ただ、きっと千歳には怒られるんだろうなと思うと多少は憂鬱になる。

 いや、今は亜霧さんにも怒られるのかな。

 亜霧佳苗。

 その名前を思い出すたびに、愛生はどうしてか胸が痛くなる。

 あいつのことを助けてあげて。

 そう言われたのにも関わらず、自分が五日も何もせず、誰かが解決してくれることを待っていることが愛生の胸を確かな痛みとともに傷つける。しかし別にそれは構わなかった。傷つけられることは慣れているのだ。それも彼女が望んだことならば。

 その時、愛生の携帯の着信音がなった。遠くから囁くように聞こえる音は、この部屋からのものではなかった。扉を一枚挟んだ向こう側、リビングから聞こえてくるのだ。そういえば置きっぱなしだったなと愛生は昨日の無意味な生活を思い出しながら、リナリアを起こさないように静かにベッドから降りてリビングに向かった。

 リビング。愛生が帝から貰った黒いソファの上に愛生の携帯は置いてあった。ストラップも何もつけられていない地味な携帯が千歳が勝手に設定した流行りの曲を奏でている。画面を確認すると、千歳の名前が表示されていた。

 そういえばもう随分話していない気がする。なんとなく高揚する気分のまま電話に出る。

「馬鹿なんですかあほなんですか死ぬんですか死ね」

 出た瞬間暴言を浴びせられた。高揚した気分が一気に沈んでいくのを感じながら、愛生は反射的に謝った。

「ごめんなさい……」

「その言葉が出たのなら、自分が何をしたかくらいはわかっているんでしょうね?」

「いや、ごめんわからない。僕また千歳を怒らせるようなことしたっけ?」

 電話口の向こうで大きなため息が聞こえてくる。愛生は誰に見えるはずもないのに困ったような笑みを浮かべていた。

「学校を連続無断欠勤しておいて、何をしたのかわからない。一体どんな頭の構造をしていればそんなクズみたいになれるんですかね。未来に生きてるんですかあなたは」

「僕は紛れもなく現代に生きている人類だけど……というか、どうして僕が無断欠勤していることを知ってるんだ?」

 怒られると思って黙っていたのに、と続けそうになって危うく口を塞いだ。千歳はその続きがどんな言葉だったのかわかっていたかのように一度低い声で「死ね」と呟いた後に答えた。

「そんなこと、幼なじみなら当然です。何故なら私は愛生の幼なじみであり、愛生は私の幼なじみだからです」

「そっかー、幼なじみだからかー」

 全く理由になっていなかったが、愛生としてもあまり詮索したくない話題だったのでテキトーに返事をしてあとは黙っておいた。

 そういえば前に、まだ愛生が今ほど生徒たちから見捨てられていなかった頃、文化祭の打ち上げのようなものに誘われた時も何故か千歳はその日時まで正確に把握していて前日に友達作りのためのアドバイスを三時間にも亘って聞かせられたことがあった。まあそのアドバイスも愛生が打ち上げに遅刻したことで全ておじゃんとなったのだが。

 昔のことを思いだして少し愛生が懐かしくなっている中、千歳の文句はやまない。

「大体、この前も半月ほど学校を休んだのですよ、あなたは。仕方のないこととはいえ、これ以上休んだら大変だって私言いましたよね? 私言いましたよね? それとも聞いていなかったのですか? この私のありがたい忠告を愛生は全く聞いていなかったと?」

「聞いてはいたけどさ、ちょっと非常事態だから今回も仕方のないことというか……」

「言い訳なんか聞きたくありません。今すぐ呼吸をやめなさい」

「……あの、話しくらいは聞いてください」

 千歳には見えるわけはないが、頭を下げて愛生は頼む。今回も本当に非常事態なのだから、話せばわかってもらえると愛生は思っていた。

「ふむ。では宇宙よりも寛大な心を持ち、地球よりも青く清らかで……えっと…………死ね」

「途中で思いつかなくなったからって僕を罵るのはやめてくれ」

「まあとにかく、私が愛生くんの言い訳とやらを聞いてあげましょう」

 言い訳ではないんだけどなぁ、と愛生は苦笑しながら答える。

「実は今凄いやつに命を狙われててさ、そのせいで学校を休まざるを得なくて」

「…………………………………………それっていつものことなんじゃ………………」

「ああ、うんそうなんだけど」

 千歳に言われて愛生も気づく。確かにその程度いつものことなのだと。先日のチームとのいざこざもそうだし、自分は基本的にいつも誰かと対立して命を狙われているなぁと愛生は嘆息。危ない橋だけ選んで渡っているような気もしてさらに落ち込む。

「どうせいつものことなんですから、素直に学校でもなんでも言ってくればいいんですよ。そのマンションは安全なんでしょう? だったらリナリアちゃんの心配もいらないじゃありませんか」

「でも今回の相手はちょっと洒落にならないんだよ。学校も巻き込みかねない」

「能力者ですか?」

「うん」

 千歳は一呼吸おいてから尋ねる。

「フェーズは?」

「6くらい。詳しくはわからないけど」

 フェーズ7だとは言わなかった。多分それを言えば、千歳は意地でもこの件に関わろうとすると愛生にはわかっていたからだ。

「それは確かに、愛生が引きこもりにならざるを得ない事態ですね。解決の目途はたっているのですか?」

「一応はね。僕が何もしなくても、この件は解決してくれる」

「解決の目途が立っているならよかったじゃないですか。しばらくすればまた学校にもいけるのでしょう?」

「そうなんだけどさ……」

 弱々しい響きを持った愛生の声に何か感じ取ったのか、千歳は声のトーンを低くして尋ねた。

「何かあったのですか?」

「…………」

 それから愛生は話した。あの一日で起きた沢山のことを。次の日の朝に亜霧や広永と話したことも含めて、八九郎がフェーズ7であるという事実には触れず、しかしそれ以外の全てを話した。千歳は黙って、時々相槌だけ打って話を聞いてくれていた。

 そうして一気に話終えてしまえば、それは確かに一日だけで起きた短い事件だったと愛生は再確認するのだった。

「今、愛生が置かれている状況の大体は今の話で理解しました」

 全てを話し終えた後、放心するように黙っていた愛生に千歳が告げた。

「私個人の感想は『愛生が他の女といちゃいちゃしていてムカついた』ですかね」

「なんだその身も蓋もない感想は」

「そうやってまた女子中学生といちゃいちゃして! そんなに女子中学生が好きなんですか!? この変態!」

「いや、亜霧さんは同級生だし、つまり女子中学生じゃなくて女子高校生だし……」

「亜霧さん!? さん付けなんて不潔です!」

「どうしろってんだよ!」

 一通りボケて満足したのか、千歳はコホン、なんてわざとらしく咳払いをして無理矢理空気を戻す。自由なやつだと思いながらも、これ以上ツッコむことはせずに愛生は千歳の次の発言を待った。

「で?」

 そうして告げられたのはたった一音の疑問。愛生はその意味がわからず聞き返してしまう。

「えっと、それってどういう……」

「その事件のことはわかりました。で、愛生は何をそんなに悩んでいるんですか」

 淡々と、当たり前のように千歳は言った。

 自分では悩んでいるつもりはなかった。しかし千歳に悩んでいると言われてしまうと、きっとそうなのだろうと愛生は思ってしまう。この六日間の胸の重さは自身の悩みによるものだったのかとようやく気付いた。そして、それを認めてしまえば自分が何に悩んでいるかなんて一目瞭然だったのだ。

「千歳はさ、自分の能力についてどう思ってる?」

 不意に投げかけられた質問。特に不審に思うこともせず千歳はすぐに答えた。

「まあ私の能力はフェーズも高ければ稀少性も高いですし、ラボラトリの中で暮らすなら政府からの援助もたんまりもらえて人生楽に過ごせそうだなー、とは思っていますね」

「凄い現実的な意見だな……」

 愛生が苦笑すると、千歳はそうですねと言って軽く笑った。

「でも、きっと私のように考えられる人はごく少数なんでしょうね」

 千歳の声が少しだけ小さくなったような気が愛生はした。

「私はラボラトリの外に繋がりがありません。母親は私を生んですぐ死んでしまいましたし、父親は元々いないようなものですから」

 家族。

 愛生がそれを失くしたように、千歳もそれを失くしている。それも、愛生よりもずっと早い時にだ。

「私にとって家族と言えるのはもう愛生くらいのものでしょうか。ですから私はこのラボラトリに閉じ込められることに特に不自由は感じないのです。でも他の多くの超能力者たちは違う。彼らは外に家族がいます。それだけでも、彼らがラボラトリから出たいと思う理由にはなるでしょう」

「出たい、か。そう思うってことは、みんなここに閉じ込められてるって感じてるってことだよな」

「実際そうですからね。ここは邪魔な超能力者を閉じ込めておく、そういう施設です」

 邪魔な超能力者。その響きがとても自虐的に聞こえたが、きっとそうなのだろう。千歳もまた口で言う程自分の能力を快くは思っていないのだ。

「外に出たい人からすれば、能力なんて邪魔でしかない。二十歳になれば外には出られますが、しかし出たところで待っているのは世間からの厳しすぎる風当たり。その風は家族を傷つける物だと、みんなわかっている。……それに、亜霧佳苗さんという方のように親から捨てられてしまう子たちや、その能力のせいで同じ能力者から煙たがれる人だって決して少なくはないのでしょう。そういう人たちにとっては能力なんて忌み嫌うものなんでしょうね」

 こんな力いらなかった。

 涙を流しながらそう言った亜霧の顔を愛生はきっと忘れられない。なぜなら、愛生にとって能力というものは――――

「僕はさ、超能力が欲しかったよ」

 愛生にとって能力、力とは望むものだった。望めば望むほど、喉の渇きのようにどうしようもない渇望と共に苦しみを与えるもの。きっと力さえ手に入れば苦しみもなくなるのだと思っていた。

 だから望んだ。その度に強くなる渇望を感じながら、それでも必死に求めた。あの世界最強のような力を求めてきた。強くなればきっと、もう何も失うこともないのだろうと、この弱い心も消してしまえるのだろうと信じてきたのだ。

「でも僕が欲しかった力を持った人たちは、みんな力なんかいらなかったって言うんだよな」

 それはわかっていたことだ。知識としては知っていた。多くの超能力者が自身の力を疎ましく思っていることくらい知っていたのだ。

 だけどそれを理解したのは初めてだった。

 みんなと一緒がよかった。力なんていらなかった。そう言って涙を流す人がいることを、愛生はようやく現実として見たのだ。

 お前が望む力は誰もが望まずに手に入れた力なんだぞ、と知らない誰かに言われたような気分だった。

「超能力なんていらなかった。それってさ、手なんかいらなかった。足なんかいらない。目なんて見えなくていいって言ってるのと同じなんだよな。生まれたときから持っている当たり前を否定しているってことだから」

 そんな意味を持った言葉が冗談ではなく本気だということは愛生にもわかった。もし超能力を消せる薬があったとしたら、みんなそれに群がるのだろう。きっと、自分以外は。

「結局、ないものねだりでしかないのかなぁってさ」

 自分が欲しいものをいらないという人がいる。

 そんな一見当然のような事実を突きつけられ愛生は悩んでいたのだ。自分の力に対する憧れが多くの超能力者の気持ちを裏切るようなものの気がして、自分がとても間違ったことを望んでいるような気がしてならないのだ。

 この六日間の胸の重さはきっと罪悪感だったのだろう。力を望み、力を手に入れてしまった愛生は抱く必要のない罪悪感を抱え込んでしまったのだ。

 こんな力いらなかった。

 彼女の言葉は愛生には重すぎたのだ。

「どうしたらいいのか、わからなくなっちゃったんだよなぁ」

 ため息のように吐かれた弱音の言葉。千歳はそれを聞いてまるで興味もなさそうに呟いた。

「まあ、好きにしたらいいんじゃないんですか?」

「お前、仮にも幼なじみが真面目に悩んでるんだから、もう少しなんかあってもいいだろう……」

「大丈夫ですよ。愛生が私に相談してくれているうちはまだ大丈夫です。本当に駄目な時は、あなたは何も言ってくれませんからね」

 その言葉も責められているように感じて、愛生はごめんとまた反射的に謝った。謝ってばかりですね、と千歳は電話の向こうでくすりと笑った。

「私としては予想が外れてちょっと驚いているくらいですがね」

「予想?」

「てっきり、その広永っていう人のことで悩んでいるんだとばかり」

 うーん、と愛生は難しそうに唸る。

「あの人とは悩むほど何かあったわけじゃないからなぁ」

「でも、護衛は断ったんですよね? いつもの愛生なら断りはしなかったんじゃないんですか? 流されるまま護衛を頼んでしまうのでは」

 流されるままというところで愛生は苦笑した。情けない話だが、自分自身きっとそうなるんだろうなという気はしたからだ。

「どうして支援団体の護衛を断ったんですか?」

「なんというか、信用できなくてさ」

 ただ、それは広永個人の問題であり、決して支援団体そのものを信用できなかったわけじゃない。むしろ今までの不信感が覆されたくらいだ。予想以上にきちんと活動している団体なのだと驚いている。

「だけど、あの広永って人のことは信用すべきじゃないような気がしたんだ」

 彼女の軽薄さやニコニコとした笑顔。愛生にはそれが全て仮面のように思えたのだ。

「広永桔梗」

 千歳がその名を呟いた。

「何度か雑誌でインタビューが乗っていることもありましたが、軽薄そうな印象は受けませんでしたね。言動というよりは声の調子や、態度がそうなのでしょうか? それにさっき愛生は帝さんに似ていると言っていましたが、それは本当ですか? 話しを聞く限りじゃ鋤崎さんに近いものを感じましたが」

「いや、鋤崎さんと一緒にしたら広永さんに失礼だろ。あの人ほど滅茶苦茶ではない。鋤崎小石以上の変人なんかいてたまるか。ありえないよ、ありえない」

「妙に突っかかりますね……まさか愛生の中では鋤崎さんは攻略対象なんですか?」

「キモいこと言わないでくれ。鳥肌たった」

「ま、そうですよね。メインはやっぱり幼なじみルートですよね」

「それもどうかと思うけどな」

「何か言いました?」

「いや何も言ってないよ」

「死ね」

「何も言っていないって言ったのに!」

 それで、と気を取り直すように千歳は言う。

「本当に広永桔梗は帝さんに似ていたんですか?」

「そうあらたまって聞かれても、僕もほんの一瞬そんな気がしたくらいのものだからイエスともノーともいえないよ。見た目だって広永さんは帝さんと似ても似つかなかった。背は低いし、足も短い」

「ちょいちょい失礼なことを言うあたり、本当に信用のおけない人物なんでしょうね…………まあなんにせよ、それくらいなら別にいいんです。本当に帝さんに似ているとすれば敵に回すべきではないと、そう言いたかっただけですから」

 その時、愛生の部屋の扉がゆっくりと開いた。小さく開かれた扉の隙間からでてきたのは灰髪の幼女。リナリアだ。寝起きのわりには妙にはっきりとした足取りで愛生の足元にやってきた。

「ああ、起きたのかリナリア」

 少しだけ受話器を離して、愛生は言った。リナリアは軽く頷くと、ソファに膝を抱えて座った。

「リナリアちゃんも起きたようですし、私もそろそろですかね」

 電話の向こうで千歳が言った。

「もう授業も始まってしまいますし」

「そっか、今日も学校だよな、普通は。ごめんな心配かけさせちゃって」

「いいですよ。久しぶりに話せて嬉しかったです。たまには愛生からも連絡してください。用がなくても構いませんから」

 わかった、と頷いた。これで話も終わりかと思っていたが、千歳が思い出したように「そうそう」と話を続けた。

「最後に一つだけアドバイス。力があろうとなかろうと、あなたが我王愛生だということをお忘れなく」

 それだけ言って電話は一方的に切られた。通話時間を表示する画面を愛生はしばらくの間見つめていた。すると不意にリナリアが愛生の袖を引っ張った。愛生の方ではなく、下を向いたままリナリアは愛生の袖を弱い力で引っ張っていた。

 お腹が空いたのだろうと、愛生は予想。

「待ってろ、今朝ご飯作るからな」

 そう言ってキッチンに行こうとしたが、リナリアは手を放さなかった。弱い力だが、しっかりと握っている。

 お腹が空いていたわけではないらしい、じゃあ一体どうしたのだろう。愛生はリナリアが何か言おうとしているのを待った。彼女はゆっくりと口を開いて言葉を吐く。

「あの、ね。話があるの」

 と言った瞬間、ぐぎゅるるるるるると唸るような音がリナリアのお腹からした。顔に似合わない豪快な腹の虫に愛生は思わず笑ってしまう。リナリアも自分で鳴らして自分でおかしくなってしまったのか肩をぷるぷる震わせていた。

「とりあえず、ご飯食べてからにするか?」

 そういうと、リナリアは顔を伏せたまま愛生の袖から手を放した。


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