第1章 (5)
青とか寒色系大好きです。
でもそれより、
全てを消すことのできる「黒」と、すべてを無にする「白」、
そして気高く揺るぐことのない「紅」が好きです。
その刹那――――――――体育館を藍色の劫火が包み込んだ。
世界は一瞬にして青に変えられた。
鋭い閃光。
樹は思わず両腕で顔を覆う。
炎の中にいるはずなのに、特に体が燃えているわけではない。
樹はちらりと視線を変え、辺りを見回した。
「―――――っ!!?」
しかしそこにいたのは、見たこともない形の生き物で…
俗に“悪魔”と呼ぶような異形が、体育館に飛び回っていた。
そして先ほどまで校長が話していた壇上を見ると、樹は体に悪寒が走るのを感じた。
(―――――なんだよ、アレ!!)
見た目はどこかのサーカスにいそうなピエロの服を着ていて、一見普通だ。
しかし、その服が赤や白などではなく、黒1色なこと。
そして右手には死神の鎌を連想させるような大きな鎌を握りしめていた。
特に変わったことはない。
だが、樹はその異形をみると、心が握りつぶされるような感覚を覚えた。
(殺される。俺は、アイツに殺される!!)
何の根拠もないが、樹の脳内を警報が鳴り響いた。
そして、黒いピエロは口を開いた。
『貴殿の中に、“神器”が眠っているのですネ?』