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第二話 スライムも可愛い子には弱いのか ルカ、心の俳句

「でもそのスライムにどうしたの? 何かのクエスト?」

「実はこいつはーー」

「俺はルカの仲間だ。クエストモンスターじゃない」


俺の言葉を遮り、少しキレ気味に説明する。

ぶっきらぼう顏をヤケに強調して怒っているのは、遠回しにキレていることを感じさせたいためだろうか。

………不愉快だ。

俺の時は真っ向から怒るくせにリサには回りくどくそれを伝えようとしている。

この歴然とした扱いの差は確実に差別と呼べるだろう。

しかも俺は(嫌々なったとはいえ)仲間だというのにも関わらず。

それともなんだ、スライムでも女の子、それもリサみたいに可愛い子にはあまり正面からは怒れないってか。

さっきあれ程ウザそうにしてたのも演技なのか?

俺女の子苦手なんですわ、なんていう今はやりの草食系(スライム)をアピールしてるのか?

雑食のくせして随分と生意気じゃねぇか。

生意気なのは会った時からわかってたけど。


「うわっ! スライムがしゃべった! しかも生意気口調! だけど可愛い!」


けれどそんな回りくどい言い方をしてもリサには伝わらなかったようだ。

残念だったな。

完全に話してる内容は無視だぞ。

お前の思惑通りにはいかないんだよ。

内心ほくそ笑みながら心の中でガッツポーズ。

世の中お前の思う通りにはいかないんだよ。←(自分でも相当性格が悪いとは思うがレオに対してはこれくらいでもいいと思う)

レオは作戦が失敗して悔しがっているかと思ったのだがそうではなく、何だか純粋にウザそうな顔をしていた。

あれ? こいつもしかして女の子苦手だったりする……?


「(なぁ、俺こういうタイプ苦手なんだけど…。人の話を聞かずに話すやつ。何とかならないのか?)」

「(お前はスライムだけどな。でも我慢してくれ。リサも普段は落ち着いてる子だ。スライムが普通に喋ってること自体が珍しいんだし相手のテンションが高くなるのも無理はない)」


俺の耳元でこそこそと何を言ってくるのかと思えば。

なるほどそういうことか。

自分の話を聞いてもらえないとこいつは嫌なのか。

元が偉そうにしているやつだからプライドが許さないんだろうな。

だからって初対面だしいきなり怒るのも印象が悪くなるだろうからよくない。

それでイライラしてるってわけね。

あれ? だったら俺の時は何でいきなりキレたんだ……?

…………うん。

きっと俺は優しい人間に見えたんだろう。

そうに違いない。

最初に見た瞬間からこいつは俺を受け入れてくれるだけの大きな器を持っている稀有な人間に違いない、って直感で察したんだな。

中々いい目をもってるぜこいつは。

と、今のところはそう思っておくことにしておこう。

さて、それじゃここらで助け舟の一つくらい出してやろうかな。

いくらなんでも関係が悪いままってのはマズイし、これ以上は本気でキレかねん。


「というわけだリサ。こいつは俺の新しい仲間。まぁ他に仲間がいないし、パートナーって表現の方が合うかもな」

「うわっ、こいつパートナーなんて言ってる。気持ち悪い」

「俺お前のために言ってるんだけど!?」

「冗談だよ。まさかそこまで言ってくれるとは思ってなかっただけだ。実は嬉しい」

「それ本当だろうな……?」


それが嘘だったらマジで後ろから斬るぞ。


「な、仲間!? スライムが!? ルカそんな下まで行って何をしてたの……?」

「下には行ってないぞ。すぐ近くのダンジョンだ。そこで出会った」

「あそこってスライム出るの…?」

「俺も知らなかった。それどころかスライム自体久しぶりに見たよ」

「だ、だよね……」


リサは今度は不思議そうにレオを見つめはじめた。

誰だって高レベルダンジョンに出たスライムなんて言われれば、リサみたいな反応をするか、信じないでバカにするかどちらかだ。

それも、普通に考えれば後者の方が多いはずなのだから最初から疑わずに俺の言うことを信じてスライムを見ているリサは親しいことを考慮してもやはり純粋でいい子だ。

仲間にした俺ですら未だに不思議だし、最悪別のモンスターが呪文で化けてるんじゃないかとまで思っている。

でも呪文で化けていたとしても表示までスライムになることはないだろうし、ダンジョンから出た時点でそれは解除されるはずだ。

だからもう深くは考えないようにしている。

そっちの方が頭使わないで楽だし。


「不思議だろうがこれが事実だ。本当はこいつの存在はしばらく隠そうと思ってたんだが……仕方ない。もうリサにバレたし隠すのはやめることにするよ」


両手を上げ、お手上げを体で表現する。

耳元で『そんなこと考えてたのかよ、あぁ?』なんていう丸でスライムが怒ったかのような声が聞こえてきたがきっと俺の気のせいだろう。

もう隠すのは諦めようって言ったわけだし、どうせなら今日の処理は今日の内に済ませるとしよう。


「だから予定が変わったよリサ。いつも通り今日の冒険の戦果の整理をするから査定を頼む」

「りょーかい! じゃあ私のお店にいこっ!」






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